Amazon『スティッキー ~大シロップ強盗団~』をネタバレあり・なしで考察『ブレイキング・バッド』風で痛快!

『スティッキー ~大シロップ強盗団~』の主人公が積み重ねた札束にメープルシロップをかけている
出展元:https://www.primevideo.com

Amazonプライム・ビデオの海外ドラマ『スティッキー ~大シロップ強盗団~』は、メープルシロップ版『ブレイキング・バッド』と呼びたい超痛快作! スリリングでブラックユーモア満載のドラマシリーズを、ネタバレあり・なしでダイブイン(考察)していきます♪



『スティッキー ~大シロップ強盗団~』の概要

製作:Amaoznプライム・ビデオ
ジャンル:犯罪、サスペンス、ダークコメディ
配信日:2024年12月6日
製作国:アメリカ
話数:全6話
クリエイター:ブライアン・ドノヴァン、エド・ヒーロ

『スティッキー ~大シロップ強盗団~』のあらすじ(ネタバレなし)

カナダのケベック州でメープルシロップ農家を営むルース・ランドリーは、メープルシロップ連盟の理事長レナードの嫌がらせで組合の精査が入り、自分が所有している土地でメープルシロップを収穫できなくなってしまう。そこで彼女は、ボストンの犯罪組織の下っ端マイク・バーンと、メープルシロップの貯蔵庫でセキュリティを務めるレミー・ブシャールとメープルシロップ強盗を企てるが……。

『スティッキー ~大シロップ強盗団~』の海外での評価&筆者の感想(ネタバレなし)

https://www.hollywoodreporter.com/

【Rotten Tomatoes】
批評家スコア80%
視聴者スコア73%
【筆者の評価】
総合評価:★★★★★
ストーリー:★★★★★
エンタメ性:★★★★★
感動:★★☆☆☆

本シリーズのエピソードの冒頭には、「ケベック州のメープルシロップ生産者は、シロップを戦略備蓄している。2011年、そのシロップを大量に盗んだ賊がいた。この物語は真実に基づかない。あの大シロップ強盗事件とは断じて無関係である」というテロップが流れます。こんな奇妙な説明があったら、逆に「絶対関係あるだろ!」と誰でも気になってしまうはず(笑)。

ということで調べてみると、「大シロップ強盗事件」とは、2011年から2012年にかけて数ヶ月にわたり、ケベック州のメープルシロップ生産者連盟が運営していた貯蔵施設から、約3,000トンものメープルシロップが盗まれた事件だそう。その価値は、1,870万カナダドル(現為替で約20億円)にも上るというから、トンでもない額ですね。

明らかに、この大掛かりな巨額ハイスト事件を基にした『スティッキー ~大シロップ強盗団~』は、1話約30分&全6話とコンパクトの構成ながらも、主人公ルースたちが強盗を企むてんやわんやの過程から、実際に計画を実行に移すシーンも手に汗握る展開で、か~なり濃い内容となっています。倉庫からメープルシロップを大量に盗むシーンは、『ブレイキング・バッド』で主人公ウォルターと相棒ジェシーが、列車のタンクからメスアンフェタミン精製に必用な材料を盗むハイストシーンを彷彿とさせます。またドラマ全体のトーンは、田舎町を舞台に実際に起きた奇妙な事件を描くドラマ『FARGO/ファーゴ』シリーズの趣きがあり、筆者の好みにド真ん中ストライクでした♪

ただ、『スティッキー ~大シロップ強盗団~』という冴えない邦題のせいで、メチャクチャ損をしていると思います……(涙)。



『スティッキー ~大シロップ強盗団~』のキャスト

ルース・ランドリー(マーゴ・マーティンデイル)
カナダのケベック州でメープルシロップ農家を営んでいるが、メープルシロップ連盟から嫌がらせを受け、シロップの収穫が出来なくなる。
レミー・ブシャール(ギヨーム・シール)
メープルシロップの貯蔵庫で、セキュリティとして勤務している。
マイク・バーン(クリス・ディアマントポロス)
リッチな企業家を装っているが、実はボストンの犯罪組織の下っ端。
レナード(ギィ・ナドン)
メープルシロップ連盟の会長。ルースの土地を狙っている。
レオ(ミカエル・グアン)
レナードの息子で連盟の仕事をしている。
ヴァレリー・ナドー刑事
レミーの親友アマールが殺された事件を捜査している。
テディ・グリーン(ギータ・ミラー)
ナドー刑事と一緒に事件を捜査している地元の保安官。
ボー(ジェイミー・リー・カーティス)
ボストンの犯罪組織の殺し屋で、マイクのボス。
モーリス・ブシャール(マイケル・ペロン)
レミーと同居している父親。息子想いの優しい性格。

『スティッキー ~大シロップ強盗団~』の全あらすじ(ネタバレあり)

https://www.cbc.ca/

カナダのケベック州でメープルシロップ農家を営むルース・ランドリーは、メープルシロップ連盟の理事長レナードの嫌がらせで、メープルシロップ組合の精査が入る。ルースの夫マーティは長年昏睡状態のまま寝たきりで、ルースの名義になっていない土地では、ルースがメープルシロップを収穫できないと言いがかりをつけられ、自分が所有している土地でメープルシロップを採取できなくなってしまう。

いい歳をして父親と同居しているレミーは、メープルシロップ連盟の倉庫のセキュリティとして勤務している。メープルシロップを少しくすねて、親友アマールと一緒に売りさばいで小金を稼いでいた。しかし、キャリアで成功したいと夢見るレミーは、巨大な倉庫でセキュリティが自分独りであることをいいことに、メープルシロップの強盗計画を思いつく。

レミーはその強盗計画を、メープルシロップ連盟に恨みを抱く友人ルースに持ち掛け、さらに偶然レストランで見かけた、やり手ビジネスマン風のマークも誘う。実はルースとマイクも顔見知りで、3人で着々と強盗計画を練り始めるが、連盟の嫌がらせに堪忍袋の緒が切れたルースが、自分の土地のメープルシロップの木を切り倒してトラックで引きずり、連盟のビルの入り口にブチ込む奇行に走ってしまう。ルースは器物損壊で逮捕されてしまい、そんななかメープルシロップが入ったドラム缶から発見された遺体の捜査で、ナドー刑事とグリーン保安官がルースたちを探り始める。

その遺体はオマールだと明らかになり、レミーは親友の死にショックを受ける。それと同時にレミーは、マイクが殺人事件の犯人ではないかと疑うようになるが、3人は協力して警察の捜査をかわさざるを得なくなる。レミーが疑った通り、オマールを殺したのはマイクで、オマールの血が付いたレミーの手袋を現場に置き、レミーに殺人容疑がかかるよう細工していた。しかも、貯蔵庫に新しく加わったセキュリティを始末するために、マイクが彼をバットで殴り、次々に罪を重ねていく。

ルースとレミーが強盗計画を話し合うためにマイクの邸宅に行くと、ボーという怪しい女がいた。実のところ、ボーはボストンの犯罪組織の殺し屋で、マイクは組織の単なるパシリなうえ、ボスのチャーリーの邸宅で単に留守番役を務めていただけだと明らかに。高級車も高級スーツも全てチャーリーの物で、正体を偽っていたのだ。

3人の計画を知ったボーは興味を持ち、もっと強盗の規模を大きくするべきだと自分のバージョンを語るが、マイクが反論する。いきなりボーが計画に参加することになってマイクが動揺していると、2階でチャーリーに電話をしていたボーが、足を滑らせて2階から転落してしまう。脈をチェックしてボーの死を確認した3人は冷凍庫に遺体を隠し、メープルシロップの収穫祭で連盟の注意が貯蔵庫からそれる隙を見て、タンクローリーでシロップを吸い上げて強盗を成功させる。ルースは、夫マ-ティが昏睡状態から目を覚ましたとの連絡を受ける。

しかし、エンドクレジットの途中で、ボロボロの姿になったボーが病院で寝ているマーティの元へ現れ、「久しぶりね。近況報告の時間はたっぷりある」と言い、マーティと組織が関連していることを匂わして終了した。



『スティッキー ~大シロップ強盗団~』の見どころ・考察(ネタバレあり)

メープルシロップが大金になるなんて意外!

映画やドラマシリーズのハイスト物といえば、狙われるのは現金や金塊、絵画が定番ですが、メープルシロップとは何とも奇想天外! しかも、実際に起きた事件がインスピレーションの源になっているなんて面白すぎます♪

2011年から2012年にかけて起きた「大シロップ強盗事件」は、強盗の発覚まで半年ほど要したようです。メープルシロップ連盟の精査官が在庫確認で樽に登ったところ、本来なら一つ270キログラムもある樽は安定しているはずが、空だったためグラグラして転落しそうになったのだとか。こうして事件が発覚した後、警察はニューブランズウィック州ケジウィックに拠点を置く輸出業者から、数百樽のシロップを回収したとのこと。

この強盗計画に関与した犯人は4名で、それぞれが8ヶ月から8年の懲役刑と、85万ドルから120万ドルの罰金を言い渡されたそうです。

ルース役のマーゴ・マーティンデイルが最高!

 

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ルース役を演じたマーゴ・マーティンデイルは、数多くの人気ドラマシリーズに出演しているベテラン俳優。スパイドラマ『ジ・アメリカン』で演じたロシアのスパイ役や、詐欺ドラマ『スニーキー・ピート』で演じた豪快な保釈金業者など、ヤバイ稼業を営んでいる肝っ玉かあちゃんを演じさせたら天下一品! 彼女の右に出る者はいないでしょう。

『スティッキー』でも、メープルシロップ連盟の嫌がらせにブチ切れて、切り倒した木をトラックで引きずり回して町を爆走し、連盟のビルの玄関に「これでも食らいやがれ──!!」とブチ込んじゃうシーンが痛快すぎて爆笑! マーゴさん、今回もやらかしてくれました(笑)。

『FARGO/ファーゴ』系のドラマが好きな人にお勧め!

タンクローリーに取り付けたホースでメープルシロップを吸い上げて盗む展開は、『ブレイキング・バッド』を彷彿とさせながらも、全体的なトーンは『FARGO/ファーゴ』の世界観が濃厚なので、この系統のドラマが好きな人は絶対にハマるはず!

雪に包まれた静かな田舎町と次々に起こるヤバイ事件のコントラストと、きな臭いのに何だか笑えちゃうキャラクターたち、随所に投入されるブラックユーモアも冴えていて、かなり満足できる犯罪ダークコメディドラマに仕上がっています。



『スティッキー ~大シロップ強盗団~』で気になったキャスト

ギヨーム・シール

レミー役を演じた恰幅のいい俳優、ギヨーム・シールを今まで映画やドラマシリーズで見かけたことがなかったので、「この人誰だろう?」と気になったので調べてみました。

ギヨームはケベック出身とのことで、どうやら現地でキャスティングされた俳優のようです。これまで、ドラマ『アウトブレイク -感染拡大-』などカナダのドラマシリーズを中心に活動していて、今後ハリウッドでも活躍の場が増えるか注目です。

『スティッキー ~大シロップ強盗団~』のまとめ

『ブレイキング・バッド』と『FARGO/ファーゴ』が大好きな筆者にとって、『スティッキー ~大シロップ強盗団~』は、久々にガツンと刺さる犯罪コメディドラマでした。全6話をアっという間に視聴してしまったので、少し物足りなかったほど。エンドクレジットに挿入されたシーンは明らかにクリフハンガーですが、現時点でシーズン2へは更新されていないようです。

強盗を成功させた3人のその後がどうなるかも知りたいので、シーズン2が製作されることを願うばかり。ブラックユーモアが効いた犯罪ドラマが好きな人は、ぜひAmazonプライム・ビデオで『スティッキー ~大シロップ強盗団~』をチェックしてみてくださいね♪

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