Netflix韓国ドラマ『トリガー』ネタバレ考察 銃が映し出す人間の闇と社会の病理に迫る衝撃作

『トリガー』の切り抜き
出展元:https://www.netflix.com

Netflixドラマ『トリガー』は、銃の所持が厳格に規制された韓国で違法銃器が大量に流出し、黒幕を突き止めようとする警察官が、社会を混乱に陥れる脅威に立ち向かていく姿を追うシリーズ。この記事ではキャストやあらすじの紹介に加え、ネタバレなしの感想とネタバレありの考察でダイブインしていきます!



【本記事の注目点】
・ネタバレを踏みたくない方へ
前半ではネタバレなしのあらすじ&海外評価・筆者の感想を紹介しますので、安心して作品を視聴すべきかどうか判断してみてください。

・ネタバレありで深掘りしたい方へ
後半ではネタバレありの全あらすじ&見どころ・考察で掘り下げ、作品の魅力を余すことなくお届け! すでに視聴済みの方も、おさらいとしてお楽しみください♪

※目次のタイトルをクリックしたら、行きたいセクションへ飛ぶ仕組みです。

『トリガー』の概要

製作:Netflix
ジャンル:犯罪アクション、スリラー
配信日:2025年7月25日
製作国:韓国
話数:全10話
クリエイター:クォン・オスン

『トリガー』のあらすじ(ネタバレなし)

韓国では銃の購入・所持・使用が禁止されていて、銃が関係する犯罪はほとんど発生しない。ところが、ある時を境に状況は一変する。

出どころ不明の違法銃器が国内に流入し、銃犯罪が相次いで発生。軍の元狙撃者で正義感の強い警官イ・ドは、事件の真相を追い始める。

そんな彼の前に現れたのが、謎めいた青年ムン・ベク。軽妙な口調の裏に何かを隠す彼は、なぜかイの捜査に協力するようになり、銃の流通事件に関わるようになった二人の男の運命が交差していく──。

果たして、イは事件の黒幕を突き止めて、銃による社会の混乱を食い止めることが出来るのか……!?

『トリガー』海外での評価&筆者の感想(ネタバレなし)

【IMDb】
10点中8点
【筆者の評価】
総合評価:★★★★☆
ストーリー:★★★★☆
エンタメ性:★★★★☆
感動:★★☆☆☆

韓国発のスリラー『トリガー』は、銃がほぼ存在しない韓国で突然違法武器が蔓延し始めたらどうなるのか?という、斬新な仮定で幕を開けます。

主人公イ・ドは、かつて軍の狙撃手として99人を殺した過去を持ち、「二度と銃は持たない」と誓った正義感あふれる人物。その信念と葛藤が、彼の魅力をより一層際立たせています。また、ミステリアスな協力者ムン・ベクとのタッグが、程よい緊張感と化学反応を生んでいるのも見どころです。

少しムンの描写や設定にはマンガ的な誇張を感じる部分もありましたが、全編にわたる銃撃戦とスタイリッシュなカメラワークにより、アクションドラマとしての見応えも十分! テンポよく進む分かりやすいストーリー展開も合格点です。

何より、韓国と同じく銃が一般的に流通していない日本でも、もし同じことが起きたら……?と想像しながら視聴した筆者は、思わず戦慄を覚えました。きっと、それは筆者だけではないはず。

本作は、ただのフィクションでは済まされないリアルな恐怖を突きつけてくるシリーズです。もしかしたら、銃社会への入口は、意外にもすぐそばにあるのかもしれません……。

スクロールに疲れた方へ
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『トリガー』の登場人物&キャスト

イ・ド(キム・ナムギル)

軍隊時代に99人を殺した狙撃手で、銃を二度と手にしないと誓った警察官。過去に家族全員を殺された悲劇的な過去を持つ。

ムン・バク(キム・ヨングァン・フン)

軍事会社に勤めていた青年で、イ・ドの捜査に関わるようになる。

ク・ジョンマン(パク・フン)

コン・ソクホに仕えるチンピラ。組織でのし上がる野望を持っている。

コン・ソクホ(ヤン・スンリ)

グローリー組のボスで、野心を燃やすジョンマンに対しては慎重な姿勢を崩さず、大きな仕事を任せようとしない。

チョ・ヒョンシク(キム・ウォネ)

警察所長でイ・ドの上司。家族を亡くしたイ・ドにとって父親のような存在。



『トリガー』の全あらすじ(ネタバレあり)

 

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以下、物語の展開を時系列順にまとめました。
・追い詰められた青年と銃の流通
・銃流通ルートを追うイの捜査
・ムンの過去と計画
・高校での銃襲撃事件
・浮かび上がる黒幕と銃流通の真相
・所長との別れ
・ムンの最期とイの再出発

追い詰められた青年と広がる銃の闇

ストレスが増す韓国社会で、受験生のジョンテは精神的に追い詰められていた。彼はついに隣室に向けて発砲し、次々と迷惑をかけられた住人を殺害していく。

警察官イ・ドは現場検証で、ジョンテの部屋から複数のマシンガンを発見。ジョンテが使用した銃と、他の男の自殺現場で見つかった銃弾が同一のものであることが判明する。ジョンテは銃が宅配便で届いたと証言し、銃の流通ルートを調査し始めたイは、銃を受け取った別の人物ウォンソンの行動を追う。

裏社会では組織のボス、ソクホと彼に仕えるジョンマンが権力争いを繰り広げ、銃をめぐる闇取引が浮き彫りになっていく。イは調査のために訪れたウォンソンの家で、ムン・ベクという謎の青年と遭遇する。

銃流通ルートを追うイの捜査

そこへグローリー組のボス、コン・ソクホの部下ジョンマンの仲間ウテが現れ、ムンの協力でウテを拘束。イとムンは、ウォンソンがマシンガンを持って警察署へ向かっているとの情報を知らされ、現地へ向かう。ウォンソンはマシンガンで警官や職員を襲撃し、イは銃撃戦の末に彼を射殺し、仲間の警官を救出した。

イは内部調査で、軍隊時代に99人を狙撃した過去を理由に3ヶ月の停職処分を受けるが、所長の協力で逃げたウテの情報を入手。イは捜査を続け、銃流通への関与が疑われながらも、死んだとされていたキム・ドクヒョン社長が生きていることを突き止める。

ムンと再会したイは、癌を患うムンの余命がわずかで、銃での自殺を考えていたことを知る。そして、ムンが銃弾と一緒に受け取った銃の購入者リストに名前が載っていた女性は、イの知る人物だった。

二人が彼女の家へ向かうと、そこにはウテと彼の仲間がいた。イとムンは協力してチンピラ一味を撃退。ウテも銃購入者のリストを持っており、イは一連の事件が組織的犯罪ではないかと推測する。



ムンの過去と計画

イと連絡を取るようになった、ムンの過去も明らかになる。彼は幼少期に親に捨てられ、臓器売買の危機からFBIに救出されていた。左目を失った彼は武器売買組織のボス、ジャックに拾われた後、青い義眼を得て組織の仲間になっていた。

ムンは、自分を捨てた韓国を銃による混乱の舞台として選んだのだ。社会問題が山積で、一触即発の空気が漂うこの国では、多くが兵役で銃の扱いに慣れているため、銃さえ出回れば一気に混乱が広がると考えたのだ。

高校での銃襲撃事件

そんななか、いじめられていた高校生ギュジュンは、偶然出会ったムンにゲームセンターでBB銃の撃ち方を教えてもらう。キム社長が死んだと思っているムンは、銃を流通させるためにソクホに匿名で銃の在りかを教え、ソクホはキム社長が倉庫に隠していた大量の銃を見つけて驚く。

イに銃のリストを渡したムンは、そこに高校生が含まれているため様子を見に行くべきだと主張。学校では、宅配された銃を手にしたギュジュンが登校していたが、別の生徒が銃で襲撃を開始して次々と生徒を殺害。イが介入して銃襲撃事件を制圧する。

浮かび上がる黒幕と銃流通の真相

警察が監視映像を確認すると、銃が宅配された全ての家にムンの姿が映っていることが判明。イは、銃の流通にムンが関わっていることを確信する。

一方ソクホは、犯罪組織が銃に手を出そうとしないため銃の処分に困り、イに連絡。キム社長をかくまっていると思われる、ジョンマンをあぶり出すことに協力すると申し出る。その結果、イと警察がジョンマンのアジトを一掃し、対決となったキムとソクホは撃ち合いになり、互いの銃弾に倒れる。

イは、銃撃戦の現場で発見された小型デバイスを分析し、押収された銃すべてにGPSが仕込まれていると知る。国家安全保障会議では、武器密輸の背後にIRUと呼ばれる組織と、銃を流通させている“ブルーブラウン”の存在が浮上。ブルーブラウンはムンだった。

自殺死体の家で発見された銃弾は韓国破壊のシグナルで、死んでいた男は、ムンを人身売買した犯人だったのだ。



所長との別れ

その頃、不動産詐欺に遭ったことを苦に自殺した娘の復讐を果たすために、警察所長チョが銃を手に入れ、詐欺の首謀者のもとへ現れる。そのことを知ったイが現場へ駆けつけ、子どもだった自分が、銃で家族の復讐に走ろうとした際に止めてくれた所長との過去を語り、説得を試みる。

所長が発砲を思いとどまりかけたその瞬間、ムンが現れて二人に向けて発砲し、イの盾になった所長が命を落とす。

ムンは、記者に撮影させた映像で、銃を無料で提供すると宣言。その映像は拡散されて街には恐怖が広がり、ついに国家非常事態が宣言される。イは一命を取り留めたが、所長の死を深く悲しむ。

ムンの最期とイの再出発

街で銃の賛否を巡るデモが激化する中、イはムンと再会。ムンは、過去に99人を殺しながら銃を手放したイに興味を持ったと打ち明け、彼との共通点として“悲惨な子ども時代”と“復讐心”を語る。

集会の最中、トラックから大量の銃が支給されて混乱は頂点に達し、イがムンと対決しようとしている時に、ムンは何者かに撃たれて倒れる。混乱の中、イは一人の少年を救う。

70人が犠牲となった惨事を受け、銃を自主返却する市民が大勢現れる。ムンは病院に搬送されるが、ジャックの命令で女性の殺し屋に命を狙われる。

物語は、イがデモで救出した少年と手を取り合って歩く姿で幕を閉じる。

『トリガー』の見どころ・考察(ネタバレあり)

『トリガー』の切り抜き

出展元:https://www.netflix.com

以下のポイントに注目して考察を深掘りしていきます。
・“銃”を通して描く社会と人間ドラマ
・銃というメタファーが映し出す現代韓国のリアル
・悲劇が分かつ二つの道
・アメリカにおける銃社会ドラマの可能性と課題

“銃”を通して描く社会と人間ドラマ

『トリガー』は、銃社会ではないはずの韓国を舞台に、違法銃器が急速に広がっていく過程を描きながら、銃と人間の関係に鋭く切り込んでいくシリーズ。作品を通して浮かび上がるのは、「銃を持つことは本当に必要なのか?」という問いです。

一方、劇中では銃によって命を守る瞬間も描かれます。絶望の中で銃に頼る者、自らを守る手段として手に取る者、そして正義のために銃を使う者。彼らの行動からは、銃の“力”の魅力と危うさの両方が浮き彫りになっていると感じました。

同時に、銃によって崩れていく秩序や人間関係の崩壊、暴力の連鎖も容赦なく描かれます。銃がもたらす“力の均衡”は、実は均衡ではなく、新たな混乱を生むことを物語は示唆しています。

『トリガー』は単なるスリラーではなく、現代社会における暴力と正義、自由と恐怖の危うい境界線を問い直す社会派ドラマでもあります。銃を持つことの是非に対する答えを一方的に押し付けるのではなく、視聴者に考えさせる余白がしっかり残されているのが良かったと思いました。

銃というメタファーが映し出す現代韓国のリアル

劇中で描かれる“銃”は単なるの凶器ではなく、社会の様々な問題を象徴しているメタファーだとも感じました。

昔は麻薬を手に入れるのも難しかったのに、今では簡単に買えるようになったという変化が、社会の不安定さやルールの崩壊を表しています。それに加えて、自殺率の高さや学業のストレス、通り魔事件や動物虐待の増加についても言及されていましたが、そういったリアルな問題が背景にあることで、“銃”は爆発しそうな怒りや不満を表すシンボルになっている気がします。

このドラマで、銃は単なる暴力のツールとしてだけではなく、“社会の脆さや人の心の闇を映し出す鏡のような役割を果たしているのではないでしょうか。



悲劇が分かつ二つの道

ムン・ベクとイ・ドは、“悲惨な子ども時代”と“復讐心”という共通点を持ちながらも、まったく違う道を歩んでいます。この対比は、『トリガー』の中で特に印象的でした。

ムンは幼少期に親に捨てられ、臓器売買の犠牲にもなった過去を持ちながら、その痛みと怒りを社会への復讐として昇華させ、祖国を混乱に陥れる存在になりました。一方、イは同じような辛い過去を抱えながらも、正義感と強い意志で警察官という道を選び、社会秩序を守ろうと奮闘しています。

この対比は、「同じ出発点でも、人はどう生きるかでまったく違う結果を生む」というメッセージを伝えているように感じます。環境や運命に翻弄されながらも、所長というロールモデルに導かれたイは、自身の復讐心を正義に向けることが出来ました。逆にムンはその復讐心に飲み込まれ、破壊と混乱を選んだのです。

この設定は、個人の選択の重要性だけでなく、社会が抱える問題の複雑さも示していると思います。悲惨な過去を持つ人々が、適切なサポートや理解を得られずに道を誤るリスクがある一方で、希望や正義の道を歩むこともできるという両義性。社会が彼らにどう関わって、どう支えるかで未来は大きく変わるということを表していると言えるでしょう。

『トリガー』は単なる犯罪スリラーではなく、悲劇の連鎖を断ち切るために、私たち一人ひとりが出来ることは何かを問いかけているように感じました。

アメリカにおける銃社会ドラマの可能性と課題

ハリウッド作品を数多く視聴する筆者としては、銃襲撃事件が多発する銃社会のアメリカで、『トリガー』のような作品が制作される可能性はあるのか考えてしまいました。

こうした作品が誕生すれば、銃規制派と銃所持権支持派の対立が激しいアメリカでは、政治的な論争の火種になることは間違いないでしょう。一方で、銃社会の問題を掘り下げる社会派作品も製作されているため、まったく不可能ではないかもしれません。

ですが、被害者や遺族への配慮は不可欠であり、製作側はテーマの重さを十分に理解したうえで、慎重に演出を進める必要があるでしょう。特に、高校での銃襲撃事件のシーンは非常に繊細で真に迫っていたため、アメリカの視聴者の反応が気になるところです。

『トリガー』のまとめ

『トリガー』は、銃を通じて現代社会の闇や人間の葛藤を鋭く抉り出す見応えある作品です。

緊迫感あふれるストーリーと深いキャラクター描写が魅力で、社会問題にも真摯に向き合っているのも大きな見どころのひとつ。ぜひ、Netflixでチェックしてみてください!

『トリガー』視聴者のリアルな声は?

配信直後からSNSでも大きな話題となっている『トリガー』。この秀作スリラーを楽しんだ視聴者たちの声を、SNSからいくつか紹介します♪

「これは初っ端から惹きつけられて面白い…‼︎ 開始15分で面白さわかる睡眠時間削るやつきた😇@miko_kandora
→ → 冒頭から強烈に引き込まれ、早くも夢中になる視聴者が続出しています!

「韓国ドラマ「トリガー」が面白すぎる!今朝5時まで見てしまった」@zugotta
→ 夢中で一気見したくなるほどの中毒性に、多くの視聴者が熱狂しています!

「色んな種類の銃火器が見られるみたいだからガンヲタ、ミリオタ向けドラマかもしれん」@milspec_mi
→ 銃器ファンやミリタリーマニアにとっても見どころ満載のドラマとして注目されていますね。

『トリガー』の視聴方法

『トリガー』はNetflixで独占配信中! VODの中でもダントツにコンテンツ量が多いNetflix。使ったことがない方も、この機会にぜひ♪

この他にもNetflixでは同シリーズ系統のドラマが多数配信中です。「次に観たい作品が見つからない…」という方は、以下の記事も合わせてどうぞ。

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『トリガー』のような犯罪アクションやスリラーが好きな人は、以下の作品をチェックしてみてください♪

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