U-NEXT配信『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー “それ”が見えたら、終わり。』ネタバレ考察 ペニーワイズのオリジンを描く!

『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー "それ"が見えたら、終わり。』のポスター
出展元:https://www.superherohype.com

U-NEXT配信ドラマ『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー “それ”が見えたら、終わり。』は、映画『IT』シリーズの27年前を舞台にした前日譚。ペニーワイズの起源を描く本作で何が起こるのか、キャストやあらすじの紹介に加え、ネタバレなしの感想とネタバレありの考察でダイブインしていきます♪
※本ページにはアフィリエイト広告が含まれます



【本記事のポイント】

◉ネタバレなしで知りたい方へ
前半ではあらすじ・海外評価・筆者の感想を紹介。視聴前の参考にどうぞ。
◉ネタバレありで深掘りしたい方へ
後半では全あらすじと見どころ・考察をたっぷり紹介。視聴済みの方もおさらいに◎
※目次から各セクションにジャンプできます。

『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー』の概要

基本情報を押さえておきましょう♪

原題:IT: Welcome to Derry
製作:HBO Max
ジャンル:ホラー、ヒューマンドラマ、ミステリー
配信日:2025年10月27日(月)
製作国:アメリカ
話数:全7話
クリエイター:アンディ・ムスキエティ

『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー』のあらすじ(ネタバレなし)

物語の舞台は、映画シリーズの第1作『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の27年前となる1962のメイン州デリー。ピエロのモンスター、ペニーワイズの恐怖が町に再び忍び寄り、 黒人一家のハンロン家が軍事基地から移り住むと不穏な事件が起こり始め、子どもたちが次々に行方不明になる。

本シリーズは、スティーヴン・キング原作の「間奏章」からインスピレーションを得て、デリーの闇の歴史やペニーワイズのオリジンを掘り下げる。黒人地区のクラブ「ブラック・スポット」の焼失事件をはじめ、差別と暴力の歴史などホラー要素だけでなく、その背後にある社会構造も描く意欲作だ。

・家族が悪霊と闘うアクション・ホラーコメディ!

『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー』の予告編を紹介

予告編は、飛行機からメイン州に降り立ったハンロン家の父親リロイが、「8年間も軍事基地で暮らした家族に“普通”の生活をしてほしい」と同僚に説明するシーンからスタートします。その言葉を聞いた上司は、「“普通”を望んでいるなら、デリーのことが気に入るよ」と言いますが、リロイの妻シャーロットはあまり街のことが気に入らない様子……。

続いて、夫妻の息子が白人の生徒ばかりの教室でいじめを受け、デリーでは深刻な人種差別が蔓延っていることが明らかに。さらに、数多くの子どもが行方不明になっていることも描かれ、その不可解な現象について語る子どもたちが見つけた古いアルバムに、ペニーワイズに似た男性の写真が……! 彼が人間だった可能性が示唆されます。

さらに下水を探索する子どもたちのグループや廃屋、彗星らしき物体の衝突、街に迫る砂嵐など次々に怪現象や不気味なシーンが登場し、鳥肌が総立ちに……! 人種問題などにも深く切り込みつつ、恐怖の物語を楽しめる見応えある作品に仕上がっているようです。

『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー』海外での評価&筆者の感想(ネタバレなし)

【Rotten Tomatoes】
批評家の評価:79%
観客の評価:76%
【筆者の評価】(視聴後に更新)
総合評価★★★★☆
ストーリー★★★★☆
エンタメ性★★★★☆
感動★★★☆☆

現時点で第5話まで配信され、物語は少しずつ核心に近づきつつあります。本作は映画シリーズを踏襲した世界観の構築が巧みで、デリーという町が“生きてうごめく存在”として描かれている点が大きな魅力。70年代の雰囲気や不穏な映像美は、ホラーとしての緊張感を常に維持していて、観る者をじわじわと不安へ引き込んでいきます。

またキャラクターに焦点を当てた描写が多く、登場人物それぞれが抱える恐怖やトラウマが丁寧に積み重ねられている点も評価したいポイント。一方で、エピソードによってはテンポのムラやキャラクター行動に説得力が欠ける部分もあり、その点は賛否が分かれるところです。

それでも、シリーズを象徴する“あの存在”が本格的に影を落とし始めたことで物語の緊張感はさらに高まり、今後の展開への期待が大きく膨らんでいます。スティーヴン・キングの作品と『IT』シリーズ、そしてホラーが好きな人は見逃し厳禁です!

・お気に入りのホラードラマが絶対見つかる♪

◉スクロールに疲れた方へ
・ネタバレを知りたい方は、全あらすじ(ネタバレあり)へ飛ぶ
・ネタバレありの深堀りを読みた方は見どころ・考察(ネタバレあり)へ飛ぶ

『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー』の登場人物&キャスト

◉リロイ・ハンロン(ジョヴァン・アデポ)

ハンロン一家の父親。軍関係でデリーに移り住み、町の異様な出来事に巻き込まれていく。

◉シャーロット・ハンロン(テイロウ・ペイジ)

ハンロン家の母。リロイと共に新生活を始めるが、デリーの闇に直面する。

◉ディック・ホララン(クリス・チャーク)

スティーヴン・キング作品に登場するキャラクター。超常的能力をもつ人物として、デリーの異変に関わっていく

◉ペニーワイズ(ビル・スカルスガルド)

ピエロのモンスター。「It/それ」を操る悪の化身として子どもたちを恐怖に陥れる。

◉ショー大佐(ジェームズ・レマー)

リロイの上司で軍人。

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『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー』の全あらすじ(ネタバレあり)

 

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第1話:新たな恐怖

【あらすじ】

【要約】
◉ 映画館から逃げ出した少年が悪魔の赤ん坊に襲われる衝撃の幕開け
◉ 4ヶ月後、空軍基地に赴任した黒人軍人リロイと、失踪した少年マティを探す少女リリーの物語が交錯する
◉ リリーは排水口からマティの声を聞き、仲間とともに真相を追うが次々と惨劇が起こる。
◉ 閉館した映画館でマティの姿を見た瞬間、悪夢が再び現実となり、デリーの街が恐怖に包まれる

物語は映画館から始まる。ひとりの少年がチケットを買わずに映画を観ていたが、見つかって逃げ出す。外は雪の降るクリスマス。少年はヒッチハイクで乗せてもらうが、その家族の様子は次第に奇妙になり、車が「デリー」の標識を何度も通り過ぎる。恐怖に駆られた少年が車を止めようとした瞬間、母親が出産を迎えるが、腹から飛び出したのは人間ではなく、羽根を持つ悪魔のような赤ん坊だった。少年の叫びとともに場面は途切れる。

それから4ヶ月後の1962年春、空軍基地に新任の軍人リロイ・ハンロンが赴任する。彼は“普通の生活”を望んでいたが、黒人である彼に対して基地内では微妙な緊張が漂う。一方、地元の高校では、マティという少年の失踪事件が町の影を落としていた。彼の友人だった少女リリーは、浴室の排水口からマティの歌声を聞き、「帰ってきて」と呼びかけるが、「彼が許してくれない」という声とともに血まみれの指が現れる。

リリーは仲間の少年たちに相談するが信じてもらえず、怒って飛び出す。その夜、仲間の一人が自宅でランプの明かりが消えると、シェードの中にマティの顔が浮かび上がり、悲鳴とともに消える。翌日、子どもたちはマティの行方を調べ始め、最後に映画館で彼を見た少女ロニーに話を聞く。ロニーもまた、劇場から子どもの笑い声や泣き声を聞いたと怯えて語る。

同じ頃、基地ではリロイが覆面の男たちに襲われ、機密情報を渡せと脅される。抵抗の末に仲間の助けで危機を逃れるが、背後に何か大きな陰謀があることを示唆する。

子どもたちはマティの歌声の手がかりを追って閉館した映画館へ向かい、そこで上映された『ミュージックマン』の映像の中にマティの姿を見つける。彼は「君たちのせいで僕はここにいる」と言い残し、微笑むと画面から悪魔の赤ん坊が飛び出す。怪物は客席を飛び回り、仲間たちを次々と惨殺する。

血まみれのリリーは唯一生き残ったロニーと逃げ出すが、手に握っていたのは友人の妹の切断された手だった。スクリーンの向こうから蘇る“何か”が、デリーの街を再び呑み込み始めていた……。

【感想】

第1話は、冒頭から強烈なインパクトで始まります。雪の降る夜、道を歩いていた少年を拾った“普通の家族”が次第に狂気をあらわにしていく展開は、まるで短編ホラーのよう。特に、母親が悪魔のような“翼の生えた赤ん坊”を出産するシーンは、映画『エイリアン』で人間の腹部からのエイリアンが出て来るシーンを彷彿とさせるほどグロテスクで、この手の描写が苦手な人は要注意です。グロ描写が苦手な筆者は、スクリーンを手で覆い隠さないといけませんでした。

1962年を舞台にした物語は当時の音楽や衣装、街並みのディテールまで巧みに再現されている一方、表向きのノスタルジーと、その裏に潜む人種差別や暴力のコントラストが不穏なトーンを生み出しています。

物語は、行方不明になったマティを探す子どもたちの友情と恐怖を軸に進みますが、彼らが自転車で映画館へと向かうラストシーンは、Netflixドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン1で少年たちがチャリンコで疾走するシーンを思い出して、少しワクワクしてしまいました。

一体、あの悪魔の赤ん坊がどのようにピエロの“IT”と関係してくるのか、また、子どもたちの物語と並行して紹介された軍とその施設がどの物語に絡んでくるのか、今後の展開に注目です。

シーズン1は毎週月曜日にU-NEXTで配信ですが、第2話だけはハロウィンに合わせて10月31日(金)に配信となります。

第2話:闇に潜むモノ

第2話のあらすじと感想

【あらすじ】

【要約】
◉ リリーは映画館の惨劇の悪夢にうなされ、ロニーの父ハンクが容疑者として逮捕される
◉ 転入してきた軍人ハンロン一家は、暴力に鈍感な町の空気に違和感を覚える
◉ ロニーとリリーはそれぞれ幻覚に苦しみ、リリーはジュニパー・ヒルズへ送られてしまう
◉ 一方、軍では“恐怖”を兵器化する極秘計画が進行し、〈それ(IT)〉の存在がほのめかされる

第2話は、リリーが映画館での“CGIの赤ん坊”との遭遇を繰り返す悪夢から目覚める場面で始まる。だが、それは夢ではなく、実際に起きた惨劇だった。ロニーの父で劇場主のハンクが容疑者として警察にマークされるが、彼にはアリバイがあった。

一方、軍人リロイ・ハンロンの妻シャーロットと息子ウィルがデリーに到着。リロイは前回の軍基地での襲撃事件を忘れられず、上官のフラー大佐が真相を隠しているのではと疑う。

学校では、惨劇の生存者ロニーが“噂の的”となり、リリーの友人マージは人気者になるためロニーと距離を置く。ウィルも転校初日からいじめの標的となり、母シャーロットは、町の暴力に無関心な住民たちに不安を募らせる。

やがてロニーは、母親の胎内で溺れる悪夢を見て苦しむ。母の腹は歯を持つ怪物と化し、ロニーを飲み込もうとするが、父ハンクの声で現実に戻る。警察署では、ボウアーズ署長が市民に圧力をかけられ、結局ハンクが逮捕されてしまう。リリーは精神病院ジュニパー・ヒルズ送りをちらつかされ、ロニーが現場にいなかったという証言を撤回してしまったのだ。

その頃、リロイは襲撃犯が差別主義者の同僚マスターズではなかったと突き止め、上官ショー将軍に報告する。しかし、ショーこそが真犯人で、彼はリロイが“恐怖”を利用した兵器開発の極秘任務の適任者かどうかテストしたと説明し、彼にプロジェクトへの参加を持ちかける。

一方、買い物中のリリーは再び恐ろしい幻覚に襲われて錯乱状態に陥り、ついにジュニパー・ヒルズへ送られてしまう。

ラストではショーたちが掘削現場で骸骨の入った車を発見。軍の“恐怖を操る実験”が、“それ(IT)”へと繋がっていくことが示唆される。

【感想】

先週、「第2話は月曜日ではなく、ハロウィンの10月31日(金)に配信されますよ」と自分で伝えておきながら、そのことをすっかり忘れていました💦

第2話は終盤で、軍が“イット”の力を冷戦に利用しようとしていることが明らかになる一方で、彼らがその危険性をまったく理解していないことが示唆されます。

劇場での惨劇はリリーたちを苦しめ続け、リロイの息子へのいじめやハンクの逮捕など、人種差別が引き金になった展開が暗い影を落とし、こういった描写は本当に見ていて心が沈んでしまいます……。

これまでのところ、リリーが最も際立っているキャラクターで、彼女が父の死に対して抱く罪悪感や、恐怖に蝕まれていく様子が圧巻でした。同じく、スティーヴン・キングの作品となる『シャイニング』でも子どもの存在が鍵となっていましたが、『ウェルカム・トゥ・デリー』でも子どもという無垢な存在を中心に置くことで、いっそう恐怖が倍増しているように感じます。

また、ロニーとリリーが見る幻覚のシーンはあまりにもおぞましく、ハロウィンにぴったりの回だったと思います。CGIとはいえ、あのような描写を子役が演じることで、精神的な影響がないか少し心配になってしまいました。まだ、軍の陰謀パートについては全貌が見えませんが、物語全体にどう絡むのか今後の展開が楽しみです。

第3話:目に見えるもの

第3話のあらすじと感想

【あらすじ】

【要約】
◉ 1930年代、少年フランシスが“怪物の家”で恐怖に遭遇
◉ 現代、少女リリーが療養施設で「見てはならないもの」を見たと告げられる
◉ 軍の発掘現場でショー将軍とディックが過去の“悪”を呼び覚ます
◉ リリーたちが真相を探る中、再び“ピエロ”の影が街を覆う

第3話は、1930年代のカーニバルから始まる。少年フランシス(若きショー将軍)は「フリークショーの家」で鏡の回廊に迷い込み、片目の老人に遭遇する。老人は怪物となって彼を追いかけるが、その前に出会っていた先住民の少女ローズがパチンコで助け、一緒に森の外へ逃げ出す。

時は流れ、現在。少女リリーはジュニパー・ヒルの療養施設に戻り、従業員に「あなたが見たものを信じる」と言われ、友人ロニーとの関係を取り戻そうと決意する。一方、ロニーの父ハンクは殺人事件の容疑で拘束され、バウアーズ署長に尋問されていた。

軍の発掘現場では、ショー将軍の部下ディック・ハロランが超能力を使って探索を進める。彼が手にした古びた箱には、少年時代のフランシスのパチンコが入っていた。触れた途端に彼は幻視に襲われ、ヘリの中で下水道にいるかのような幻を見る。そこには「踊るピエロ」ペニーワイズのサーカスのワゴンがあり、死体の山の中に自分の祖母まで見える。ディックは現実に戻ると「何かに見られた」と警告し、ショーは彼を保護することを約束する。

一方、リリーとロニーは事件の真実を証明するため、仲間のウィルとリッチに協力を求める。4人は墓地で悪霊を呼び出す儀式を行うが、死んだ友人たちの亡霊に襲われ、恐怖の中でリリーは必死に写真を撮る。ウィルは霊廟で姿を消すが、後に無事戻り、彼も超常現象を信じざるを得なくなる。

現像室で写真を確認すると、そこにはぼんやりと光る目を持つ存在が写っていた。ウィルが「ピエロだ」と呟き、こうして過去と現在をつなぐ“恐怖の源”が再び姿を現したところが終了する。

【感想】

第3話は、IT(それ)のオリジンに関する物語が始まる重要な回となっているだけでなく、かなり恐怖描写の連続で、スティーヴン・キングの作品の真髄を感じられるエピソードとなっています。

冒頭では1908年に遡り、フリークショーの“怪物”に追われる少年の姿から始まり、これだけでも短編ホラーとして成り立ちそうなほどで、映像と演出の完成度が際立っていたと思います。そして、物語は1962年の現在へと繋がり、いつも仏頂面のショー将軍の子ども時代と、彼にとって重要な人間関係の一つを垣間見せることで、彼の人間味がアップしたのではないでしょうか。

さらに、『シャイニング』の原作小説と映画に登場するディック・ハロランが本格的に物語に絡み、デリーの“闇”を可視化して存在感を放っていました。ちなみにディックは、“シャイニング”と呼ばれるテレパシー能力を持ち、舞台となるオーバールック・ホテルの料理長として登場。今後、彼が行方不明の子どもたちを見つける力となるのでしょうか。近いうちに、ディックがリリーたちと関わり合いを持つようになるかもしれません。とにかく、ロニーの父親の容疑が早く晴れることと願うばかりです。

ラストで子どもたち4人組が墓地で霊を呼び出すシーンは、映画『IT』シリーズの世界観を踏襲していて、写真に写っていたピエロの姿に背筋が寒くなってしまいました。いよいよ、第4話から本格的にITのオリジンが描かれる展開となるようなので楽しみです!

第4話:それの始まり

第4話のあらすじと感想

【あらすじ】

【要約】
◉ 子どもたちは怪物の証拠を警察に示すが信じてもらえず、自分たちが“恐怖で遊ばれている”と気づく
◉ 町では赤い風船と共に怪物の影が現れ、子どもたちが次々と危険にさらされる
◉ 過去の記憶から、怪物を封じた“星の欠片の結界”とニーボルト家の存在が浮かび上がる
◉ 大人たちが動かない中、子どもたちは迫る脅威の核心へと近づいていく

子どもたちは町で起きた異様な出来事を警察に訴えようと、現像した写真を持って署に向かう。しかし、写真には死んだ子どもたちの霊も目撃した怪物も写っておらず、警察は相手にしなかった。子どもたちは、自分たちは殺されてもおかしくなかったはずなのに、怪物があえて“怖がらせる”ことを楽しんでいるのではないかと気づく。

唯一大人で信じてくれそうなのは、精神病院の看護師であるイングリッドだった。彼女は過去にも子どもの失踪があったことを思い出すが、今回とは違うとしつつも、リリーに真実を探るよう励ます。

一方、町では不穏な気配が広がっていく。少年ウィルは川辺で父と釣りをしている最中、怪物が“焼けただれた父親”の姿で現れ、水中へ引きずり込まれそうになる。父に救われたものの、腕には傷痕が残り、川には赤い風船が漂っていた。

町の別の少女マージは、表向きはリリーにフレンドリーに接しつつ、女友達が立てた陰湿な計画をリリーに対して行おうとしていた。ところが、その最中に怪物がマージの罪悪感を利用して襲いかかり、錯乱状態に陥ったマージは自らの目を抉ろうとして重傷を負う。混乱の中、助けようとした少女リリーが逆に“加害者”だと誤解されてしまう。

夜、ウィルは寝つけずに外を見ると、庭の木陰に静かに立つピエロの影を目撃する。父が確認に行くが姿は消え、木の上には赤い風船だけが残されていた。

同じ頃にハロランは、軍の取調室で超能力を使ってローズの甥タニエルの記憶にアクセスし、先住民族が語り継ぐ“怪物の起源”を知る。遥か昔、空から落ちてきた邪悪な存在が森に棲みつき、恐怖を糧に力を増していった。村人たちは戦いのため“星の欠片”から作った短剣を用いたが、怪物は森の外にまで狩場を広げ、対抗できなくなってしまう。

若い少女は諦めず、森の地下にある古い井戸から続く洞窟へ向かい、星の欠片を集めて“怪物を封じ込める檻”を作る。それは森を囲むように13の欠片を埋めた結界だった。

その記憶を追体験したハロランは、怪物を封じた場所を探るため地下のトンネルを目指す。その先にあるのは、かつて悪夢の中心となった朽ち果てた家──“ニーボルト家”だった。

【感想】

第4話は、子どもたちより“大人パート”がストーリーの推進力を持つ珍しい構造になっていますが、今回はその強みがしっかりと発揮されていたと思います。町に潜む存在の背景や、これまで語られてこなかった神話的な設定が一気に開示され、シリーズ全体のスケールがぐっと広がっています。また、政府の影や特殊な感応能力など、映画シリーズで十分扱われなかった要素が物語に深みを与え、世界観がより立体的になっていると感じました。

個人的にネイティブ・アメリカンの儀式や伝承に興味があり、ホピ族は宇宙との繋がりが深く、世界の創造主は宇宙から来たと言われているので、そういった伝承がインスピレーションの源になっているのかな?と思いました。

今回、子どもパートは既視感のある展開が目立ち、やや新鮮味には欠いていましたが、マージが目を抉るシーンは目を背けてしまうほどおぞましく、また赤い風船が静かに漂うシーンも背筋が寒くなり、恐怖演出は相変わらず強烈です。

そして、終盤で描かれる核心部分は必見で、物語を一段階上へ押し上げる重要なパートに。過去の出来事が現在のストーリーと巧みに絡み合い、第5話への期待を自然と高めてくれる内容になっていたと思います。

第5話:ニーボルト通り29番地

第5話のあらすじと感想

【あらすじ】

【要約】
◉ネイボルト通り29番地の井戸から“13本の柱”への入口が判明し、軍が突入を開始する
◉リリーたちはマティからフィル生存を聞き、みんなで下水へ向かう
◉下水でペニーワイズの幻覚攻撃が激化し、マティが本性を現して子どもたちを罠にかける
◉パウリーが犠牲となり、ペニーワイズは“光る短剣”の力を恐れ撤退する

第5話は、ディックが幻視から我に返り、タニエルが泡を吹いて倒れる場面から始まる。タニエルは危険な状態だが、ディックは“必要な情報はすべて得た”と告げる。前話で描かれたフラッシュバックの内容を将軍がリロイに説明し、ついに「13本の柱」の場所が判明する。それは荒れ果てた家、ニーボルト通り29番地の井戸から地下へ続く道だ。翌朝、リロイとフラー大佐は少人数の部隊を率いて突入し、“それ(イット)”の周囲を封鎖する作戦に出る。

一方、リリーは入院中のマージを訪ね、マージはリリーの幻視を信じなかったを謝る。学校後、仲間たちが屋上のテントで見つけたのは、下水道から戻って来たマティだった。彼は衰弱しきっていて、イットが夜に捕食し昼に眠るため、隙をついて脱出したのだと語る。スージーとテディは死んだが、フィルはまだ生きていると告げ、子どもたちは救出を決意する。

同時期、ショーシャンクへ移送中だったハンクのバスが襲われて彼が逃走する事件が発生し、彼が会いに行ったのはイングリッド・カーシュだった。二人は愛人関係にあったのだ。

リリーはマージをルーザーズ・クラブに加え、下水道へ向かう準備を始める。一方、軍も井戸から突入を開始し、タニエルがローズから受け取った“光る魔法の短剣”がイットを倒す鍵となる可能性が示唆される。しかし下水では幻覚が激化し、ディックは意識を失って別の幻視世界へ迷い込む。その隙にイットは兵士たちに襲いかかり、リロイも妻シャーロットの姿”で精神を揺さぶられる。

子どもたちも下水でマティに導かれるが、それは罠だった。マティは、ついに本性を現してペニーワイズへ変貌する。混乱の中、リロイは幻覚に惑わされて遭遇した息子ウィルを撃ちかけ、それを身を挺して止めた相棒パウリーが命を落としてしまう。

子どもたちは地上に逃げ戻るが、リリーだけが取り残される。そこへペニーワイズが迫るが、タニエルが落とした“光る短剣”が水中で輝き、怪物の接近を阻むため、ペニーワイズは撤退する。最後にディックがボロボロの状態で地上へ這い出るが、その背後ではパウリーの霊が下水の闇へ消えていった。

【感想】

第5話は緊張感のある展開が続く一方で、キャラクター描写や物語運びの粗さが少し気になる回でした。特にリロイは「恐れを知らない男」という設定にもかかわらず、幻覚に追い詰められた途端に判断を大きく誤り、パウリーの制止も聞かずに相棒を撃ってしまう展開には、キャラの整合性がやや弱く、説得力に欠ける印象を受けました。

また、軍がペニーワイズを兵器として利用しようとする計画も無謀そのもので、制御不能な存在を戦略に組み込むという発想自体が危険すぎます。もし実現したとしても、世界規模で恐怖をばらまくだけでは…と背筋が冷たくなる要素でした。

一方で、ディック・ハロランの「箱」がついに開かれ、彼が抑えてきた心の闇や記憶が流れ出す描写は非常に不穏で、物語全体の緊張感を一段階引き上げています。ここからペニーワイズがそのエネルギーをどう利用してくるのか、恐怖の予感がじわじわ迫ります。

そしてついに、ビル・スカルスガルド演じるペニーワイズが本格登場。演出のタイミングが抜群で、シリーズファンに向けた“待ってました”感のある盛り上がりでした。

全体としてややアンバランスな印象はありつつも、物語は折り返し地点を迎え、ここから一気に佳境へ。残り3話でどんな地獄と真相が描かれるのか、期待が高まる回でした。

第6話:父を求めて

第6話のあらすじと感想

【あらすじ】

【要約】
◉ 1935年、イングリッドが少女をペニーワイズへ差し出していた過去が示される
◉ 現代ではリロイとウィルが衝突し、仲間も分裂して孤立が深まる
◉ リリーは真実に辿り着くが、町は暴走しハンク狩りへと向かう

1935年のジュニパー・ヒルズでは、少女メイベルが看護師イングリッド・カーシュに導かれて地下へ連れて行かれ、赤い風船とともに現れたペニーワイズに引き渡されてしまう。

時は現代。ポーリーの死に動揺するリロイは息子ウィルを責め、口論の末に手を上げてしまい、ウィルは家を飛び出す。リリーはペニーワイズを退けた魔法の短剣を手に、皆で下水道へ戻り討伐しようと主張するが、ロニーと衝突して仲間たちは分裂する。

一方ディックは黒人酒場「ブラック・スポット」で幻覚に苦しみ、死者の声に取り憑かれていた。死者はペニーワイズの居場所を知っている可能性があるとリロイは疑うが、ディックは彼を拒絶する。逃亡中のハンクは同じ酒場に身を潜めていて、ロニーは父親と再会する。シャーロットはハンクを町外へ逃がす計画をリロイに伝え、まずは息子と向き合うよう促す。

学校ではリリーが再び幻覚を見て孤立し、マージはルーザーズ・クラブ側につく決意を固める。居場所を失ったリリーはイングリッドの家へ向かい、写真や遺品から彼女が墓地で子どもたちを見張り、ピエロに扮していたことを突き止める。

イングリッドは、自身の父が「ペニーワイズ」と名乗る道化師だったと語り、父への執着心から怪物に操られ、多くの子どもを犠牲にしてきた事実が明らかになる。真実を知ったリリーは家を飛び出して絶叫する。

その頃、住民たちは“密告”を受け、ハンクを捕らえるために黒人酒場に到着する。

【感想】

第6話は過去と現在の恐怖が交錯し、物語が一変する“裏切りと分断”の回となりました。冒頭の1935年のモノクロ回想──幼いイングリッドがペニーワイズに出会う場面は、ビジュアルも強烈で、単なるホラー要素だけでなく「血縁」と「執着」をテーマに据えた恐怖がじわじわと迫ってくる感覚に襲われました。

現代では、ウィルと父の激しい対立、仲間たちの分裂が描かれ、そして再び孤立してしまったリリーが信じていた人が、実は怪物の手先だった…という事実が明るみに。イングリッドは何か裏があるなと思ってはいましたが、それでも恐ろしい事実が明かされる展開はショッキングでした。

そして、黒人たちが憩いの場所である黒人酒場で楽しんでいるところへ、マスクを被った暴徒が現れるシーンは現実世界の恐怖が描かれ、ホラーよりも恐ろしい……。人種差別の問題にも切り込む展開は、このドラマがただのホラーを超えたメッセージを発信しようとしていることを示していて、今後のエピソードでどこまで掘り下げられるのかに注目です。

第7話:ブラック・スポット

第7話のあらすじと感想

【あらすじ】

【要約】
◉1908年、ペニーワイズが森へ消え、惨劇の因縁が始まる
◉現代のデリーで「黒人酒場焼き討ち事件」が発生
◉柱の発見と焼却で封印が弱まり、恐怖が再覚醒する
◉極秘計画の正体が判明し、街に新たな危機が迫る

物語は1908年のデリーから始まる。見世物小屋で「踊る道化」ペニーワイズ(ボブ・グレイ)が子どもたちを楽しませるが、闇に包まれた子どもに誘われ森へ消え、血に染まったハンカチだけが残る。

現在に戻ると、町人たちが黒人酒場(ブラック・スポット)を襲撃し、火炎瓶で建物を焼き払う惨劇が起きる。その混乱の中でペニーワイズが現れて人々を襲い、ウィルとロニー、彼女の父ハンク、マージは何とか脱出するが、リッチがマージを守って犠牲となる。さらに、車の故障で立ち往生したスタンリーが、亡き母の芸名「ペリウィンクル」の衣装をまとったイングリッドと遭遇するも、背後からペニーワイズに襲われ命を落とす。真実に気づいたイングリッドは発狂寸前の状態に陥る。

町では「違法酒場の電気火災」という偽の報道が流れ、ハンクは死亡したと処理される。一方ディックは死者の幻影に悩まされつつ、“彼女”と呼ぶ先住民の少女の霊に導かれ、柱の在り処を突き止める。発掘された柱は魔法の短剣と同じ素材でできていたが、上層部の命令により研究目的で焼却されてしまう。

実はこの作戦は、恐怖を拡散させて国を統制する極秘計画の一環だった。柱の破壊により封印が弱まり、冬眠中だったはずのペニーワイズが目覚め、再びデリーに恐怖が迫る。

【感想】

第7話は、今シーズン屈指の衝撃と悲劇を描いたエピソードとなりました。まず1908年の回想で、幼い子どもたちに慕われていた道化師ボブ・グレイ(後のペニーワイズ)の不穏な過去が描かれ、彼が闇の存在に呑み込まれた経緯が描かれました。

現代では、黒人兵たちが集う酒場が白人至上主義者の暴徒に襲われ、火炎瓶と銃撃の地獄と化す悲劇が発生…。多くの無実の人々が犠牲になる中、ペニーワイズが復活し、恐怖と混沌をさらに拡大する展開に。

この焼き討ち事件で、リッチがマージを助けるために命を落とし、その展開は涙なくしては観られませんでした。ルーザーズ・クラブで一番小柄で本当に可愛らしい少年だったのに、あまりにも早すぎる、そして勇敢な最期で、個人的にペニーワイズのストーリーがあまり頭に入ってきませんでした。

さらに今回は、軍部の陰謀──恐怖を使って国家を統制しようとする計画が明らかになり、単なる怪物ホラーを越えた社会的・政治的テーマが印象に残ります。また、封じられていた存在が再び解き放たれ、シリーズ全体の恐怖が強化されたように感じました。

総じて、エピソード7は残虐で悲劇的な展開ながらも、キャラクターの葛藤や犠牲、裏切り、そして社会的背景を重層的に描くことで、「ただ怖いだけ」のホラーではなく、心に刺さる物語だったと思います。

第8話:冬の炎

第8話のあらすじと感想

【あらすじ】

【要約】
◉ 柱の喪失でペニーワイズが復活し、デリーは濃霧と恐怖に包まれる
◉ 少女たちは呪われた短剣を手に、浮遊させられた子どもたちを追う
◉ 大人たちと合流し、過去と恐怖を巡る最終対決が始まる
◉ 犠牲の末に怪物は滅びるが、恐怖の連鎖は完全には断たれない

柱の一つが失われたことで、ペニーワイズは再び完全な自由を得る。濃霧がデリーの町を覆い、高校では道化師が校長の声を使って生徒を体育館に集め、操り人形と化した校長を惨殺する。恐怖に支配された子どもたちはデッドライトを見せられ、宙に浮かんだままサーカスの馬車へと導かれていく。

一方、リリー、マージ、ロニーは霧と行方不明者のポスターに異変を察知し、学校へ向かう。自転車では追いつけず、廃棄されたトラックで仲間を追うが、リリーが持つ短剣は持ち主の精神を蝕み始めていた。

基地ではウィルを失った恐怖を突かれ、リロイはハロランに救出を依頼する。自殺寸前だったハロランはローズの導きで能力を取り戻し、短剣の場所と少女たちの姿を幻視する。大人たちは子どもたちを追うが、短剣は元の場所から離れるほど狂気を呼ぶ存在だった。

少女たちは浮遊する生徒たちの列に追いつき、ウィルを救い出す。しかしペニーワイズはマージを捕らえ、彼女の未来――リッチー・トージアーの母になる運命――を語り、存在そのものを脅かす。だがその瞬間、何者かに精神を拘束されて動きを止める。

軍の介入で仲間が犠牲になる中、ウィルは短剣を託され、ロザーズ・ツリーへ向かう。ハロランの精神攻撃によって、ペニーワイズは1908年の過去に縛られ、自身の起源と向き合わされる。やがて彼は解放されるが、恐怖を見抜かれて将軍を捕食する。

最後の抵抗の中、リッチーの霊が現れ、仲間と共に短剣を地中へ埋め戻す。柱が再び輝き、ペニーワイズは幾多の姿を剥がされ、塵となって消滅。リッチーの存在を感じながら、ルーザーズは再会を果たす。

別れと再生の時を経て、人々は前へ進む。しかし26年後、ジュニパー・ヒル精神病院では悲鳴が響き、ミセス・カーシュが「ここで死んだ者は、決して本当には死なない」と告げて物語は幕を閉じる。

【感想】

第8話は、シリーズ前半の集大成とも言える回で、物語と感情の両面を大きく前進させるエピソードで、恐怖演出とキャラクター描写のバランス感が秀逸だと思います。

ホラーの恐怖感だけでなく、登場人物たちが抱えてきた喪失や罪悪感、恐怖とどう向き合うかが丁寧に描かれていて、心理ドラマとしての完成度が一段と高まった印象です。マージが将来、自分の息子に「リッチー」と名付けることが分かって、また目がウルウルしてしまった筆者。派手な見せ場に頼らず、緊張感を積み重ねていく演出は『IT』のシリーズらしさを感じました。

また、原作や映画版を知るファンほどニヤリとする要素が随所に散りばめられている一方で、初見の視聴者でも置いていかれない構成になっている点もポイント。恐怖の正体そのものより、「恐怖が人をどう支配するか」を描いた回として、シリーズの方向性を明確に示す重要なエピソードだと言えるのではないでしょうか。

・『ウォーキング・デッド』のマギーを主人公に描くスピンオフ

『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー』の見どころ・考察(ネタバレあり)

『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー "それ"が見えたら、終わり。』のポスター

出展元:https://www.superherohype.com

【深掘り考察の目次】
◉ペニーワイズという「恐怖の連鎖」
◉恐怖を生み出すのは人間社会
◉忘却の町デリー、記憶を選んだ彼ら

ペニーワイズという「恐怖の連鎖」

ペニーワイズは単に人を襲う怪物ではなく、「恐怖そのものが循環する存在」であることが特徴です。彼は特定の時代や姿に縛られず、過去・現在・未来を行き来しながら、人々の恐怖を糧に生き続けてきました。そのため倒されたように見えても、完全な終焉が訪れたとは言い切れません。

劇中で語られる「死が誕生である」「ここで死んだ者は本当には死なない」という言葉は、人々が恐怖と向き合わず、忘却を選び続けてきた結果として、恐怖が消滅せずに形を変えて受け継がれていくことを象徴しています。犠牲となった子どもたちは、記憶や幻影、霊的存在として町に残り、恐怖の連鎖を断ち切れなかったデリーの歴史そのものを体現しています。

つまりペニーワイズとは、恐怖を生み出す原因であると同時に、社会が長年抱え込み、見過ごしてきた差別や沈黙、無関心が具現化した存在だと言えるのではないでしょうか。人々が恐怖から目を背け、過去を忘れ去ろうとする限り、彼は何度でも“蘇る”。このシリーズは、怪物を倒す物語である以上に、恐怖を直視し、記憶し続けることこそが支配を拒む行為なのだと強く突きつけているように感じました。

恐怖を生み出すのは人間社会

人種問題に切り込んだホラー作品には『ゲット・アウト』や『キャンディマン』などがありますが、本作は社会派ホラーとして、1960年代に実際に起きた黒人酒場焼き討ち事件をストーリーに盛り込んでいる点も見逃せません。

当時の社会が抱えていた人種差別問題や暴力と結びつけ、黒人酒場「ブラック・スポット」が白人至上主義者によって焼き払われるシーンは、簡単には忘れられません。人種差別や沈黙、見て見ぬふりといった集団の無関心が積み重なった結果、町は恐怖を養分にした土壌となり、ペニーワイズにとって格好の“生息地”になったと言えるかもしれません。

ペニーワイズは恐怖を食い物にしていますが、恐怖そのものを最初に生み出しているのは人間社会だという構図が、ここではっきりと示されているように感じました。

忘却の町デリー、記憶を選んだ彼ら

そして、本作が示す「勝利」は怪物を物理的に倒すことではありません。ペニーワイズは形を失ってもなお、恐怖そのものとして残り続ける存在だからです。だからこそ、彼らにとって本当の勝利とは「忘れないこと」なのではないでしょうか。

劇中で亡くなった子どもたちは、単なる犠牲者ではありません。名前を呼ばれて思い出に残り、語り継がれることで、恐怖の中に埋もれることのない存在です。

デリーから去ると、そこにいた時の記憶がなくなるという描写が何度も出てきます。彼らが恐怖を共有して犠牲を心に刻み続けたことで、恐怖は個人の内側に閉じ込められずに記憶へと変わります。記憶はペニーワイズを完全に倒すことはできなくても、支配を拒む力になります。本作は、忘却ではなく記憶こそが、恐怖への最も強い抵抗であると語りかけているのではないかと思いました。

・アダムス・ファミリーが巻き起こすホラーコメディは超おすすめ♪

『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー』のまとめ

『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー “それ”が見えたら、終わり。』は、ペニーワイズが巻き起こす恐怖だけでなく、差別や沈黙といった社会の闇そのものを描いた社会派ホラーの面も見どころとなるシリーズ。

ホラーとしての緊張感と社会的メッセージを同時に味わいたい方に、強くお勧めできる一作です。ぜひ、U-NEXTでチェックしてみてくださいね♪

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