フランス発のNetflixアクション映画『バスティオン36』は、エリート部隊BRIから解雇された主人公が、元仲間が次々に殺されていく謎の事件を独自に捜査していくというストーリー。本作で何が起こるのか、ネタバレあり・なしでダイブイン(考察)していきます!
『バスティオン36』の概要
『バスティオン36』のあらすじ
バリ警察の捜査介入部隊BRIはカリム・アムーディという男を追っていたが、追跡の末、逃してしまう。その後、チームメンバーのアントワーヌ・セルダはプライベートで不祥事を起こしてBRIを解雇され、別の署に左遷になってしまう。その半年後、BRIの元同僚たちが次々に殺される事件が起こり、彼は独自で捜査を開始する。
そんな中、BRIのチームメンバーだったリシャールが失踪し、アントワーヌが彼の足取りを追ううちに、彼が入院していた精神病院に辿り着く。リシャールが国際的な麻薬王に狙われているという、妙な妄想に取り憑かれていたことを知る。
さらに真相を追い続けるうちに、アントワーヌの元恋人でBRIのメンバーだったハナも何者かに襲われ、アントワーヌはさらなる手掛かりを追い、真相に近づいていくが……。
『バスティオン36』海外の評価&筆者の感想(ネタバレなし)

出展元;https://www.lepoint.fr
普段、映画もドラマシリーズもハリウッド作品を観ることが多い筆者にとって、フランス発のアクション映画は滅多に見ないジャンル。ということで、まず本作に、ハリウッド作品で定番のCGIを使いまくった超ド派手な爆発シーンや、車が道路を転げまわるカーチェイスなどがなかったのが逆に新鮮でした。
映画の冒頭で、BRIが敵のアムーディを追い詰めていながら、「公道で銃撃戦はしたくないだろ」と言われて已む無く相手を逃してしまうシーンなど、いかにもヨーロッパ的な展開だと思いました。ハリウッドのアクション映画だったら、公道だろうがどこだろうが、ここぞとばかりにドンパチをおっぱじめてしまいますからね(笑)。
ただ、事件の黒幕に繋がるストーリー展開が王道で特に驚きはなく、可も不可もない及第点といった印象でした。とはいえ、ヨーロッパの少しダークトーンの作品や、フィルムノワールが好きな人は楽しめるのではないでしょうか。
『バスティオン36』のキャスト
BRIの上官。
『バスティオン36』の全あらすじ(ネタバレあり)

出展元:https://www.gaumont.com
BRIを解雇されたアントワーヌ
バリ警察の捜査介入部隊BRIは、カリム・アムーディという男を追っていた。チームメンバーのアントワーヌ・セルダは、バイクで逃走するアムーディを追い詰めるが、「パリの公道で銃撃はしたくないだろ」と言われて已む無く逮捕を諦める。
アントワーヌは、幼少期のトラウマと対峙するために地下のファイトクラブで、抱えきれない闘争心を発散する日々を送っていた。ある日、彼は試合でノックアウトした相手と彼の仲間2人に襲われるが、逆にボコボコにして大怪我を負わせる。その不祥事が明るみに出て、アントワーヌはボビニー署に左遷になってしまう。
元同僚が次々に殺害される事件が発生
その半年後。アントワーヌはBRIの仲間と恋人ハナとも連絡を絶っていた。しかし、元同僚ヴィニーが銃殺されたことを知り、しかも彼は、アントワーヌに何か重大な告白をしようする留守電を残していた。その事件の直後、今度はBRIの仲間だったムリドも射殺死体で発見される。
事件に動揺するアントワーヌの元に、BRIの捜査官だったリシャールの妻ソフィアが現れ、精神的に弱っていたリシャールが入院していた病院からいなくなり、行方不明になっていると知らされる。
手掛かりを求めて精神病院を訪れたアントワーヌは、リシャールがパラノイアで入院していたと知り、隣の病室のヴィクトールという男と出会う。彼は元警官で、リシャールがBRIに加わる前に一緒に仕事をしていたという。
ヴィクトールはアントワーヌに、リシャールが国際的な麻薬王がBRIチームを狙っているという、奇妙な妄想的に取り憑かれていたと伝え、彼が緊急時のために残した電話番号を渡す。
手掛かりを追うアントワーヌ
その電話番号の持ち主は、リシャールと関係を持っていた娼婦クリスティーナだった。アントワーヌは彼女と会う約束を取り付けるが、その場に覆面の男が車で現れて二人を襲い、クリスティーナは殺される。
当局は、ヴィニーとムリド、クリスティーナが殺された事件の犯人は同一人物だとし、3人の殺害にリシャール名義の拳銃が使われていたことが発覚。クリスティーナの死の責任を負わされたアントワーヌは、無期の停職処分を食らってしまう。
アントワーヌはハナから、彼がBRIを解雇された後にチームは混乱状態となり、ハナも麻薬捜査班へ移動になったと知らされる。チームリーダーのサミは、BRIの上官チャールズや、特別捜査班のワグナー警部のやり方に不満を抱いていたという。
停職後もアントワーヌは諦めずに独自の捜査を続けるが、ハナも何者かに銃撃されてしまう。
事件の黒幕は……!?
アントワーヌは、マムーディの部下を追跡してアジトへと辿り着く。そこでマムーディが、彼の甥が殺害された事件で逃走した部下を尋問している場面に遭遇し、ついに事件の全貌と真相を知る。
最終的に事件の黒幕は、BRIや警察上層部のやり方に不満を抱いていたサミだった。警察に反発した彼が、BRIの捜査対象だったマムーディと取引したことで、負の連鎖に陥っていったことが明らかになる。
サミやリシャールたちはマムーディの組織のために動く一方で、組織から200万ユーロを盗む計画を立てた。しかし計画が脱線し、200万ユーロを強奪中にリシャールはマムーディの甥を射殺してしまい、甥の仲間は逃走。リシャールは、マムーディに対する恐怖とパニック、極度のストレスにより精神が衰弱していったのだった。
そのストレスに耐えられなくなったリシャールが自白すると言い出したため、サミがBRIの仲間を一人一人始末していったことが判明。サミは、最後の口封じのためにリシャールの自宅へ行き、彼と彼の妻も射殺した。
事件の全貌と真相を知ったアントワーヌは、サミに「マムーディに全部バレたぞ」と警告のメールを送る。サミが慌てて自宅へ戻ると、すでにマムーディがサミの妻に銃を向けていた。そこへアントワーヌも到着し、激しい銃撃戦が展開。マムーディは、銃撃に加わったBRIの上司チャールズに射殺される。腹を撃たれて重傷を負っていたサミは、アントワーヌに「息子たちには言わないでくれ」と最後のメッセージを託し、銃で自分の頭を撃って死ぬ。
警察に利用されただけだったアントワーヌ
事件の解決後、アントワーヌはリシャールの病室の隣人ヴィクトールを再び訪れ、リシャールがサミたちと手に染めた汚れ仕事について、全て書き残した書類を渡される。アントワーヌはヴィクトールから、BRIや特別捜査班はサミたちの汚職を知っていたが、上手く事を収めるためにアントワーヌを泳がせ、その騒ぎに乗じて全て片付けたと説明し、「お前は利用されたんだ」と告げる。
アントワーヌがチャールズに「全て知っていたんですね」と問い詰めると、「もう忘れろ」と言われてしまう。最終的に、全ての罪はマムーディに擦り付け、BRIが汚職に関わっていた事実は葬り去れることに……。
アントワーヌは怪我から回復したハナを見舞った後、車を運転中にファイトクラブでブチのめした3人組と遭遇し、報復として射殺されてしまう。その現場に駆け付けたチャールズは、助手席に置いてあったリシャールの“自白ノート”を回収。
アントワーヌの葬儀が大々的に執り行われ、国家勲章やレジオン・ドヌール勲章など数々の勲章が、彼に授与された。
『バスティオン36』の見どころ・考察(ネタバレあり)
エンディングに驚愕!
とりあえず、もうエンディングに驚愕でした! あれだけ事件の黒幕を暴くために奔走して、ついに真相を突き止めたアントワーヌが、ファイトクラブのチンピラたちにあっさり射殺されてしまう展開ってアリなんでしょうか……!?
別にハッピーエンドを期待していた訳ではないですが、危険を冒しながらも、あれだけ捜査を頑張ったアントワーヌを最後に殺すなら、せめて殉職にしてあげてよ~と思ってしまいました。
映画のエンドクレジットで、「○○に捧げる」と数名の名前が表示されたので、「えっ! これって実話が基なの!?」と思って調べたのですが、違うようです。これが実話だったら、「これだけ警察の汚職を暴露する映画を製作しちゃうフランスってすごい!」と感心するところでしたが(笑)。
フランス版『ジョン・ウィック』を目指してた?
『バスティオン36』を観終わって、まず筆者は、「フランス版『ジョン・ウィック』を目指してたのかな?」と思いました。
ダークでフィルムノワール的なトーン、頻繁に登場するナイトクラブのシーンや使用されているエレクトリックミュージックなど、『ジョン・ウィック』シリーズを彷彿とさせる要素が数多くあったからです。
また、主人公が死んでしまう展開も『ジョン・ウィック:コンセクエンス』と同じだったので、その路線を狙っていたのかなと思いました。
『バスティオン36』のまとめ
残念ながら、『バスティオン36』は『ジョン・ウィック』のレベルの足元にも及びませんが、ダークでハードボイルドな作品や、フランスのアクション映画が好きな人はチェックしてみてはどうでしょうか。

