Amazonドラマ『バラード 未解決事件捜査班』は、人気犯罪ドラマ『BOSCH/ボッシュ』のスピンオフ第2弾。ロサンゼルス市警で未解決事件に挑むレネイ・バラード刑事を中心に、緊迫の捜査と濃密な人間ドラマが展開します。本作で何が起きるのか、キャストやあらすじなどを絡めながら、ネタバレあり・なしでダイブイン(考察)していきます!
【本記事の注目点】
・ネタバレを踏みたくない方へ
前半ではネタバレなしのあらすじ&海外評価・筆者の感想を紹介しますので、安心して作品を視聴すべきかどうか判断してみてください。
・ネタバレありで深掘りしたい方へ
後半ではネタバレありの全あらすじ&見どころ・考察で掘り下げ、作品の魅力を余すことなくお届け! すでに視聴済みの方も、おさらいとしてお楽しみください♪
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『バラード 未解決事件捜査班』の概要
『バラード 未解決事件捜査班』のあらすじ(ネタバレなし)
ロサンゼルス市警の刑事レネイ・バラードは、同僚警官の不正を告発したことで降格処分を受けた。そんな彼女に、市会議員ジェイク・パールマンが20年以上前に殺害された妹サラの事件の再捜査を依頼。バラードは、新たに設置された未解決事件捜査班のリーダーとなる。
しかし、捜査班の予算は限られており、メンバーは予備警官や引退後に復帰した元相棒、インターン、そしてボランティアたちという異色の構成だ。
チームはサラの事件と並行して、2001年に山中で赤いニット帽をかぶったまま遺体で発見された、身元不明男性の事件も再調査することに。バラードは、この事件の捜査中に警察を去ったサミラ・パーカーに接触し、協力を要請する。
捜査が進むにつれ、次々と信じがたい証拠や事実が浮かび上がり、バラードたちはやがて警察内部に蔓延する深い汚職の実態へと迫っていく。
さらに、バラードとパーカーが共有した、あるおぞましい過去の出来事も明らかになっていく──。
・こちらも未解決事件の捜査班を描く秀作ドラマ!
『バラード 未解決事件捜査班』海外での評価&筆者の感想(ネタバレなし)
『バラード』は、全10話を通して複数の事件が描かれているにもかかわらず、ストーリー展開がスムーズで、筆者を混乱させることなく最後まで引き込んでくれました。
描かれるのは、市会議員の妹サラの殺人事件、過去にパーカーが担当していた未解決事件、そして1話完結型の殺人事件2件です。ですが、それぞれの事件が明確に区切られて丁寧に描かれているため、ゴチャゴチャした印象はまったくありません。むしろテンポがよく、次の展開が気になってイッキ見したくなるような中毒性があります。
また、キャラクターも魅力的で、彼らが見せるケミストリーも抜群に良かったと思います。未解決捜査班は、元刑事の復帰組やインターン、ボランティアといった一見頼りなさそうなメンバーで構成されていますが、彼らはそれぞれが真摯に捜査に向き合っていて、大きな共感を抱きました。
それに対して、現役の警官や刑事たちが汚職や腐敗にまみれているという構図が皮肉で、このコントラストが際立っていたと思います。
重いテーマを扱いながらも、脚本が緻密で無駄がなく、キャラクターたちの成長や人間関係の描写にも温かさがあり、社会派ドラマとしても一級品! このチームの活躍を見たいと再び思わせる良作で、大きなクリフハンガーで終了したのでシーズン2に期待です♪
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『バラード 未解決事件捜査班』の登場人物&キャスト
レネイ・バラード(マギー・Q)
ロサンゼルス市警殺人課の刑事だったが、上司を告発したことで未解決事件班に左遷となる。
トーマス・ラフォン(ジョン・キャロル・リンチ)
バラードの元相棒で引退していたが、バラードに頼まれて未解決捜査班を手伝うために復職する。
サミア・パーカー(コートニー・テイラー)
ロサンゼルス市警の刑事だったが、ある事件を理由に退職。バラードにリクルートされて復職する。
テッド・ロウルズ(マイケル・モスリー)
民間警備会社の予備警官。パールマン議員から依頼されて、バラードを援助するために捜査班に参加。
コリーン・ハッテラス(レベッカ・フィールド)
主婦のボランティアだが勘が鋭く、超ポジティブな性格。
マルティナ・カストロ(ヴィクトリア・モロレス)
法科志望のインター ンで書類整理係。
ジェイク・パールマン議員(ノア・ビーン)
市会議員。20年以上前に殺害された妹の未解決事件の再捜査をバラードに依頼したことで、未解決捜査班が設立される。
ロバート・オリーヴァス(リカルド・チャヴィラ)
ロサンゼルス市警殺人課の警官で、パーカーの元相棒。バラードとパーカーと因縁がある。
『バラード 未解決事件捜査班』の全あらすじ(ネタバレあり)
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・過去の事件が繋ぐ真実と腐敗
・警察内部の闇
・ドリスコルとイバラの繋がり
・バラードの告白
・被害者の証拠品に潜む謎
・暴かれたオリーヴァスの正体
・連続殺人事件の犯人が判明
・オリーヴァスが無罪放免に
過去の事件が繋ぐ真実と腐敗
ロサンゼルス市警のレネイ・バラード刑事は、同僚の警官を告発したことで降格となったが、市会議員ジェイク・パールマンから、20年以上前に殺害された妹サラの事件を解決してほしいと依頼され、新たに設置された未解決捜査班を率いている。
バラードのチームはサラの事件と並行して、2001年に山中で赤いニット帽をかぶって遺体で発見された、身元不明男性の殺人事件を再び洗い直すことになった。バラードは、その事件を担当した後に警察を退職したサミラ・パーカーに接触。当時の報告書を確認してもらうと、いくつか記録が消えていることが発覚。バラードに説得され、パーカーは未解決班に参加することを決める。
パーカーが復職したことを知った元相棒の警官ロバート・オリヴァースが未解決班のオフィスを訪れるが、バラードの彼に対する態度は冷たい。彼女はパーカーに、オリヴァースを告発したことで未解決班に降格になったと打ち明ける。
バラードはサラの事件で見つかったDNAが、ローラ・ウィルソンという少女の殺人事件で採取されたDNAと一致していることを発見。これは連続殺人犯の可能性を示唆していた。そして、ローラの事件を担当したのは、なんとバラードの恩師ハリー・ボッシュだった。バラードはボッシュに会い、事件に役立ちそうな情報を得る。
証拠を追い続けていたパーカーは、以前の捜査で赤い帽子の男から摘出し、鑑識に回していた弾頭が紛失したことを知り、市警の誰かがその事件を未解決に仕立て上げたと悟る。それは市警内の汚職を意味していた。
警察内部の闇
バーカーの調べにより、赤い帽子の男性はメキシコ人のルイス・イバラだと判明する。
インターンのマルティナは同級生とAIを駆使して、イバラが殺された事件の弾丸を復元。それを照合したところ、郡刑務所に服役中のハビエル・フエンテスという男が浮上する。
バラードとパーカーがハビエルを尋問した結果、彼は警官から銃を買ったと告白。さらに、ロス市警の通称“モンタナ”という警官が、メキシコのカルテルに銃やドラッグを横流ししていることも打ち明ける。ハビエルはイバラを撃った犯人ではなく、問題の銃は何度も警察とカルテル内でたらい回しにされていたのだ。
ラフォンの調査により、怪しい6人の警官の中からアンソニー・ドリスコルが“モンタナ”ではないかと推測し、写真を見たハビエルも「ドリスコルがモンタナだ」と認める。
ドリスコルとイバラの繋がり
ラフォンはドリスコルの休職中に大規模なドラッグ摘発があったことに気づき、彼が潜入捜査していた可能性を疑い、摘発を指揮した刑事に話を聞く。刑事によると、情報屋の裏切りでカルテルの本命を逃し、その情報屋が赤い帽子のイバラだと判明。それ以来イバラは行方不明だと言い、バラードたちはドリスコルがイバラを殺したと確信する。
バラードの告白
バラードはパーカーに、パーティーでオリーヴァスに襲われたが何とか逃げ出したものの、その直後に助けを求めた元相棒ケン・チャステインがバラードの告発を裏付けてくれなかったため、オリーヴァスは不問になり、自分は未解決班に降格になったと打ち明ける。
その話を聞いたパーカーは泣き出してしまう。なんと彼女もオリヴァースにパーティーで酔わされ、性的暴行を受けていたのだ。
被害者の証拠品に潜む謎
コリーンとロウルズが、ローレンの殺人事件で目撃された青いバンを探すうちに、貸倉庫に辿り着く。そこには、ローレンをはじめとする14人の被害者の持ち物が、犯人のトロフィーとして箱に保管されていた。
チームが重大な発見をしたにもかかわらず、連続殺人事件は未解決班の手を離れ、殺人課に移されることになる。倉庫で見つかった証拠品の中に、すでに解決済みの事件と結びつく金のブレスレットが含まれていた。その事件では、被害者の恋人が有罪判決を受けて服役中だった。バラードは、彼が無実である可能性と連続殺人事件との関連性を部長に訴え、未解決班が再び捜査を続けることが認められた。
暴かれたオリーヴァスの正体
バラードが自宅にいると突然覆面の男が現れて格闘になり、マスクを取るとそれはドリスコルだった。最終的に彼は命を落とし、バラードは彼の携帯電話を盗んでラフォンに預ける。
ラフォンの依頼でボッシュがドリスコルの携帯を調べ、その中にオリーヴァスの番号があることが判明。一方オリーヴァスは、バラードたちの捜査の手が自分たちに及びつつあることを察し、マルティナに接近していた警官トーレスに、さらに情報を引き出すよう指示する。
トーレスの正体を知らずにデートを重ねていたマルティナは、ついに彼が汚職警官だと気づいてバラードに報告。次のデートを約束してトーレスを待ち伏せして捕え、オリーヴァスたちの悪事を全て吐かせることに成功する。
その翌日、オリーヴァスは警察に逮捕される。
連続殺人事件の犯人が判明
バラードは、共通点がないように見える被害者14人が、キャリアで成功する寸前だったことに気づく。さらに、サラの殺人現場から見つかった証拠を辿り、同様の手口で犯人に襲われたナオミ・ベネットという女性が生きていることを突き止める。
ナオミに協力してもらった結果、なんと14人の女性を殺害した犯人は、パールマン議員の父親ゲイリーだと明らかになる。そうとは知らず、パールマン家を訪れていたロウルズがゲイリーに撃たれ、病院に搬送されるが死亡してしまう。
ゲイリーはサラの実の父親ではなく、被害者の証拠品を見つけたサラに浮気を疑われ、殺したことが判明。幼少時に母親に捨てられたゲイリーは、キャリアが前進していた13名の被害者については、「女は家で従順にしているべきだ」という自分の考えに合わないから殺したと陳述する。
オリーヴァスが無罪放免に
バラードはボッシュから、大番審で警官6名が裁かれることになったが、オリーヴァスは警察の内部情報提供する代わりに無罪放免になったと知らされる。
動揺したバラードは、オリーヴァスの家を訪れて激しい口論に発展。その後まもなくオリーヴァスが何者かに射殺され、警察はバラードの家に来て彼女を逮捕。彼女が訪れた直後に起きた事件の容疑が、バラードにかけられたのだった。その大きなクリフハンガーでシーズン1が終了する。
・ニコール・キッドマン主演のサスペンスタッチの群像劇!
『バラード 未解決事件捜査班』の見どころ・考察(ネタバレあり)
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・男性優位の組織で声を上げるということ
・社会に根深く残る女性蔑視と戦う物語
・未解決班が育んだ、年齢も立場も超えた絆
・ボッシュとバラード、正義を受け継ぐ師弟関係
男性優位の組織で声を上げるということ
『バラード』は、単なる刑事ドラマではありません。物語の核にあるのは、女性が組織の中で声を上げることの難しさ、そしてそれに伴う代償です。
主人公レネイ・バラードは、上司である警官オリーヴァスの性的暴行を告発したことで、殺人課から未解決班に左遷されてしまいました。彼女は、職場でたびたび「女だから」と見下されるような言動を取られ、男性が支配する警察組織のなかで孤立しながらも、自分の正義を貫こうとします。
そんなバラードと出会うサミラ・パーカーもまた、かつてオリーヴァスに性的暴行を受けていたという衝撃の過去を抱えていました。
二人が互いの過去を共有し、力を合わせて真実を暴いていく姿は、まさに「出会うべくして出会った」連帯の物語だと言えるのではないでしょうか。そんな二人の勇気が組織の腐敗をあぶり出していく展開に、同じ女性として共感せずにはいられませんでした。
社会に根深く残る女性蔑視と戦う物語
また、14人の女性が犠牲になった連続殺人事件の犯人が、「女は男に従順であるべきだ」という歪んだ価値観を持つゲイリー・パールマンだった点も、番組が女性蔑視の問題にフォーカスしていることを示していると思います。
被害者はいずれも、キャリアや人生を自分の力で切り開こうとしていた女性たちです。犯人が、そうした女性たちを“出過ぎた存在”とみなして殺害していったという理由に、筆者は胸が悪くなってしまいました……。
また、1話完結の大学の寮で起きた転落死事件でも、友愛会の男子学生たちが女性の裸の写真や個人情報を、“戦利品”としてアルバムにまとめていたというおぞましい事実が明るみに出ます。
これらの描写は、職場でも学びの場でも女性が常に性の対象として扱われ、尊厳を踏みにじられている現実を鋭く浮かび上がらせています。
『バラード』は女性として生きることの難しさ、そして、それでも声を上げて立ち向かう強さを描いた意義深い作品だと感じました。
未解決班が育んだ、年齢も立場も超えた絆
『バラード』で描かれる未解決捜査班は、ただの捜査チームではなく、年齢や性別、経歴の違いを超えて深い絆で結ばれた、“家族”のような存在に成長していくのも見どころのひとつ。
かつて同じ男性警官から性的暴行を受けたバラードとパーカーが、過去を共有しながら信頼と友情を築いていく過程に胸を打たれたし、バラードと温厚なラフォンの父娘のような関係もハートウォーミングです。
また、ネガティブ思考のロウルズが、勘が鋭く前向きなコリーンの影響を受けて変わっていく様子や、中年主婦のコリーンに大学生のマルティナがテキーラショットを勧める微笑ましい場面など、世代を超えた繋がりも丁寧に描かれました。
こうした人間関係を通して、バラードが次第に殺人課への復帰に興味を失い、未解決班に残りたいと願うようになるのも自然で共感できる流れです。過酷な事件のなかで築かれた小さな信頼と温もりが、このドラマの大きな魅力になっていると思います。
ボッシュとバラード、正義を受け継ぐ師弟関係
『バラード』は『BOSCH/ボッシュ』のスピンオフとして製作され、ファンにとって大きな見どころのひとつは、ハリー・ボッシュの登場でしょう。
全10話のうち3話で姿を現すボッシュは、出番こそ短いものの、物語の核心に関わる重要な場面で存在感を発揮していました。原作小説でボッシュはバラードと師弟関係を育み、彼女に捜査の哲学や姿勢を伝えるメンター的存在。ドラマでもその関係性が反映されていて、バラードが彼に敬意を抱きつつ、自分の信念を貫こうとする姿勢が印象的です。
二人の師弟関係は、警察という腐敗した組織の中で“正義”を貫く姿勢を、次の世代にどう受け渡していくかを示す、シリーズ全体のテーマにもつながっているようにも感じました。
・上司のセクハラ告発を描いた医療ドラマ
『バラード 未解決事件捜査班』のまとめ
『バラード 未解決事件捜査班』は、女性刑事たちの連帯と、警察内部の腐敗に立ち向かう姿が力強く描かれた社会派クライムドラマ。
複数の事件が交錯しながらもテンポよく進み、人間ドラマとしても見応えタップリ。 『BOSCH/ボッシュ』のファンはもちろんのこと、良質の犯罪捜査ドラマを求めている人にもおすすめです!
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