U-NEXT配信ドラマ『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル』は、毎シーズンごとに違う国のリゾートホテルチェーン「ホワイト・ロータス」を舞台に、一癖アリのキャラクターたちが繰り広げる人間模様をコメディタッチで描くアンソロジーシリーズ。タイを舞台にしたシーズン3で何が起こるのか、キャストやあらすじなどネタバレあり・なしでダイブイン(考察)していきます♪
【本記事の注目点】
・ネタバレを踏みたくない方へ
前半ではネタバレなしのあらすじ&海外評価・筆者の感想を紹介しますので、安心して作品を視聴すべきかどうか判断してみてください。
・ネタバレありで深掘りしたい方へ
後半ではネタバレありの全あらすじ&見どころ・考察で掘り下げ、作品の魅力を余すことなくお届け! すでに視聴済みの方も、おさらいとしてお楽しみください♪
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『ホワイト・ロータス』シーズン3の概要
『ホワイト・ロータス』シーズン3のあらすじ(ネタバレなし)
『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル』は、毎シーズンごとに違う国のリゾートホテルチェーン「ホワイト・ロータス」を舞台に、一癖アリの宿泊客たちとホテルの従業員が繰り広げる人間模様をブラックコメディタッチで描くアンソロジーシリーズ。
シーズン3の舞台は、エキゾチックなタイの人気リゾート地、サムイ島にあるホワイト・ロータス。シーズン1に登場したハワイのホワイト・ロータスの従業員で、自分のスパを経営する夢を持つベリンダ・リンジーが研修のためにタイを訪れる。
さらに、ホテルには投資家でリッチなティムを家長とするラティフ一家や、4年ぶりに再会してホリデーを楽しむ中年ガールズ3人組、年の差カップルのリック&チェルシーも到着。それぞれがバケーションを楽しむはずが、ちょっとした出来事や各自が抱える問題が原因で不協和音の連鎖が止まらなくなり、予想外の展開を迎えることに……!
『ホワイト・ロータス』シーズン3の海外での評価&筆者の感想(ネタバレなし)
なんといっても本シリーズの見どころは、全く接点のなかった宿泊客とホテルの従業員が、些細なことがきっかけで少しずつ絡み合い始め、グチャグチャと混乱の渦に呑み込まれていく様子がジワジワと描かれるところ。
なので、人によってはテンポがスロー過ぎて、しかも1話が1時間強という長尺なので好みが分かれるかもしれません。筆者は海外旅行が大好きなので、毎シーズン、異なる国の美しい景色や文化が楽しめる本シリーズを楽しみながら視聴しています。
また、リッチな白人エリート層を激しく風刺するトーンと、宿泊客と従業員の階級差にも切り込んでいくところも見逃せません。さらに、今シーズンはタイが舞台になっているため、観光パッケージ化された東洋思想を消費する白人富裕層を皮肉っている点もポイントです。その辺のところは、『ホワイト・ロータス』シーズン3の見どころ・考察(ネタバレあり)で掘り下げています。
本シリーズは、とにかく登場キャラクターがメチャクチャ多いのですが、にもかかわらず一人一人の描写が的確で、その脚本の匠に毎回唸らされてしまいます。
シーズン3は、銃撃戦の音を聞きつけた宿泊客と従業員が逃げ惑う衝撃的な展開で幕を明け、このラストシーンに向かって何が起こるのか、視聴者は不安と緊張を抱えたまま見届けることになります。筆者は、シーズン3もジワジワと引き込まれるブラックなストーリー展開を存分に堪能しました♪
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『ホワイト・ロータス』シーズン3の登場人物&キャスト
『ホワイト・ロータス』シーズン3の全あらすじ(ネタバレあリ)
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以下、物語の展開をキャラクターごとにまとめました。
・ティム(ラティフ家の父親)
・サクソン&ロック&パイパー(ラティフ家の子ども3人)
・リック&チェルシー(年の差カップル)
・ジャクリーン&ローリー&ケイト(中年ガールズ3人組)
・ガイトク&ムック(ホテルの従業員)
・ベリンダ&グレッグ(過去シーズンに登場したキャラクター)
ティム
リッチな投資家ティムは、ウォール・ストリート・ジャーナルの記者から電話を受け、数年前に某会社のために開設したファンドについて調査されていることを知る。ティムが関係者のケニーに連絡を取ると、彼のオフィスにFBIの捜査が入り、ティムの立場も危ないと警告される。
しばらくしてティムが再びケニーに連絡すると、彼はティムを売って全てFBIに話をしたと明かし、ティムは自分の資産が凍結されたことを知る。ティムは自殺しようと考え、駐車係がオフィスに保管している銃を盗み、何度か自死を試みるが決心がつかない。
しかし、妻が「シニアになってから貧乏な暮らしはしたくない」と言っていたことや、サクソンが「成功のない人生なんて無意味だ」と発した言葉を振り返り、家族を失望させることを恐れ、ついに自殺を決心するが、隠していた銃が無くなっていたため慌てて探す。
駐車係のガイトクが、銃を盗んだ犯人はティムだと推測してラティフ家の部屋に忍び込み、銃を奪い返していたのだ。
パイパーにも「質素な暮らしは出来ない」言われたティムは、ホテルの庭に実っている毒の種を持つフルーツを集めてブレンダーで種を粉砕し、未成年のロック以外の家族に毒入りピニャコラーダを作る。しかし、家族が少し飲んだところでティムがドリンクを回収。ところが翌朝、ロックがブレンダーを洗わずにプロテインシェイクを作って飲み、死にかけてしまう。
プールサイドに倒れているロックを見つけたティムは激しく動揺するが、しばらくするとロックは息を吹き返し、一命を取り留めた。
サクソン&ロック&パイパー
サクソンとロックは、グレッグの恋人クロエに誘われてフルムーンパーティーに参加する。二人は酒とドラッグで記憶を失うほどベロベロになってしまうが、クロエと一緒に兄弟で3Pをしたことを翌日に知らされて驚愕。少しずつ記憶が蘇り、激しく動揺してしまう。
ラティフ家のタイ旅行はパイパーの卒論のためだったが、実は他に理由があった。彼女はタイの寺院に1年暮らして仏教の修行を積みたいと考えていて、卒論を理由に家族をタイに連れ出したのだった。ついに両親に事実を明かすと、母のヴィクトリアが大袈裟に騒ぎ立てて猛反対する。
パイパーは試しに寺院で一泊してホテルに戻るが、寺院の小さな部屋や質素な食事に1年間も耐えられるかどうか分からないと思った自分が恥ずかしいと、泣きながら両親に言う。娘にも、「質素な暮らしは無理」だと言われたティムは再び動揺する。
リック&チェルシー
チェルシーはホテルのバーでモデルのクロエと知り合い、お互いにかなり年上の恋人がいることで意気投合する。翌日、二人がホテルのショップで買い物をしていると強盗が押し入り、二人に怪我はなかったが突然の惨事に大きなショックを受ける。
リックは、ホワイト・ロータスを経営している元女優スリタラに映画のプロジェクトがあると持ち掛け、もうすぐバンコクに戻るという彼女の連絡先を聞き出す。
リックは幼少時代に父親を殺され、母親から犯人の名前は「ジム・ホリンガー」だと教えられていた。その男はスリタラの夫で、復讐の機会を得るために彼女に近づいたのだった。
リックはチェルシーにバンコクへ行くことと、その理由を打ち明ける。リックは友人フランクに映画監督の振りをしてもらい、一緒にスリタラの家を訪問。リックは理由をつけてジムと二人きりになり、父親の死について責め立てるが殺すことは出来なかった。
その後、ホテルを訪問したジム・ホリンガーと再会したリックは、母親のことを侮辱されて激怒するが、彼に銃で脅されて引き下がる。しかし、彼のボディガードが持ち場を離れた隙を見て、リックはホリンガーの銃を奪って彼を射殺。
夫を殺されて泣き叫ぶスリタラに、リックはホリンガーが実の父親だと明かされる。銃声を聞きつけたボディガードがリックに発砲して銃的戦が勃発し、リックを追いかけて来たチェルシーが現れて巻き添えになってしまう。そこへ、銃を手にしたガイトクが現場に到着し、チェルシーを抱えて逃げようとしていたリックを背後から撃ち、二人は池に落ちて死んでしまう。
ジャクリーン&ローリー&ケイト
ハリウッド女優のジャクリーン、離婚したばかりの弁護士ローリー、専業主婦のケイトは4年ぶりに再会してバケーションへ。旅費は人気女優のジャクリーン持ちだ。親友同士のはずの3人だが、誰か一人いないと、残りの二人がコソコソと噂話をしたりディスったりの繰り返しで、フレネミー的な関係であることが明らかになっていく。
3人は、マッサージ・セラピストでイケメンのヴァレンティンと彼の友達2人と街へ繰り出し、かなりパーティーハードに弾けまくる。その後、ヴァレンティンがジャクリーンの部屋に泊まり、翌日にケイトが彼女の部屋から出ていくヴァレンティンを目撃。そのことをローリーに報告する。
ローリーは、やたらとヴァレンティンと楽しむよう勧めていたジャクリーンが、最終的に彼と寝たことに気分を害し、ディナーの席で「昔から同じパターンの繰り返し」だと非難。お互いに本音をぶっちゃけ合って、険悪な雰囲気になってしまう。
ローリーは一人でムエタイの試合へ行き、ヴァレンティンたちと合流。その後、ローリーが友達アレクセイの家へ行った時に、クローゼットにホテルのショップで盗まれたジェエリ―があるのを発見する。
ジャクリーンはローリーにヴァレンティンのことを謝り、ディナーの席で3人は、お互いの悪いところも指摘し合える友達がいることに感謝し、このバケーションに来て本当に良かったと話をして仲直りをする。
ガイトク&ムック
ホテルのショップに押し入った強盗が逃げる際、犯人と揉み合いになったガイトクは頭を怪我してしまう。その事件後、ガイトクの上司が護身のために銃を導入する。
ある日、ガイトクが保管場所に銃がないことに気づき、監視カメラの映像により、宿泊客のティムが盗んだと推測する。ガイトクは、ラティフ家が留守の間に彼らの部屋に忍び込み、銃を探して奪い返す。
ムックとの初デートでムエタイの試合へ行った時、ガイトクはヴァレンティンと彼の友達アレクセイを見つけ、体の特徴などからアレクセイがホテル強盗の犯人だと悟る。
ガイトクがヴァレンティンに事件の犯人を知っていると示唆すると、彼はロシアに強制送還になったら殺されると訴え、結局ガイトクは事件について誰にも報告しなかった。ガイトクは、ホリンガーを殺したリックを射殺したことでスリタラに認められ、彼女のパーソナル・ボディガードに昇格する。
ベリンダ&グレッグ
ホテルでグレッグを見かけたベリンダは、彼がハワイのホワイト・ロータスの宿泊客で、ベリンダをスパのビジネスパートナーとして誘っていた裕福なトーニャと親しくしていたことを思い出す。
ベリンダはグレッグに話かけるが、面識がない振りをされてしまう。不思議に思った彼女がインターネットで調べると、ハワイ旅行の後にグレッグの妻になったトーニャが不審な水難事故で亡くなり、当局がグレッグを調査していたことを知る。
しばらくして、グレッグはベリンダにハワイで会ったことを認め、ターニャの死とは関係ないと主張する。グレッグの家で開かれたパーティーに招待されたベリンダは息子と一緒に参加し、グレッグから「10万ドルをあげるから、自分のビジネスを始めたらいい」と提案されるが、考えさせてほしいと答える。
ベリンダは息子に説得されて、再びグレッグに会いに行く。ビジネスを学んでいる息子が交渉を進め、10万ドルではビジネスを始めるには足りないと言い、5億円で手を打つと打診する。グレッグは少し考える時間が必要だったが、最終的にベリンダに5億円を支払い、いきなり彼女はミリオネアに。ベリンダは、恋仲になったタイ人のポーンチャイと一緒にビジネスを始める話をしていたが、その計画を断り、翌日サムイ島を去る。
『ホワイト・ロータス』シーズン3の見どころ・考察(ネタバレあり)
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以下のポイントに注目して考察を深掘りしていきます。
・「女の友情ごっこ」の醜い裏側
・ティムが象徴するアメリカン・ドリームの末路
・皮肉と悲劇に満ちたリックの人生
・東洋思想を観光パッケージ化する西洋的な視点
「女の友情ごっこ」の醜い裏側
シーズン3も、相変わらず白人富裕層の偽善と傲慢さが痛烈に風刺されていましたが、やはり女性の筆者が一番「うわぁ~、これ分かるわ~……!」と唸ってしまったのが、ジャクリーンとローリー、ケイトの関係です。
ハリウッド女優と弁護士、裕福な主婦という、いわゆる“上流階級女性”が繰り広げるフレネミー関係は、フェミニズムや女性の連帯を謳いつつも裏では嫉妬と裏切りが渦巻いているという、表面的な「女性同士の支え合い」へのアイロニーのように感じました。階級にかかわらず、女性なら“女の友情”について身に覚えがある点が少なくないはず(笑)。
ジャクリーンは、独身のローリーに「ヴァレンティンと楽しみなよ」と勧めていながら、密かに自分が彼を寝取りました。この展開は、「性を自由に楽しむ女性」や「バケーションで自分を再発見する」といったポジティブな筋書きにも見えますが、実は優越感や虚栄心の発散に過ぎないとの皮肉が込められているのではないでしょうか。
『ホワイト・ロータス』は、クリエイターのマイク・ホワイトが独りで脚本を全て手掛けているのですが、こういう女同士の微妙な友情や関係を繊細かつ鋭く描いていて、その手腕に脱帽してしまいました。
ティムが象徴するアメリカン・ドリームの末路
ティムは典型的な「ウォール街出身のエリート」で、これまでの成功にすがり、現在直面している危機に向き合えず、身の破滅へと向かっていく人物として描かれています。彼の「自殺未遂」の繰り返しは、死ぬことすら思い通りに出来ない、栄光に固執する男の“壊れゆくプライド”を表しているのかもしれません。
妻ヴィクトリアと息子サクソンも「お金が全て」という発言をしていましたが、愛し合っている家族なら、どんなことがあっても父親の経済的危機を支えてくれるはず。資産が凍結されても、家族の愛が凍結された訳ではありませんからね。
それなのに、家族の愛とサポートを信じることが出来ず、自殺どころか家族まで道連れにしようとした彼は、「金があってこその自分」という価値観を持つ、アメリカ的成功主義の空虚さを浮き彫りにしているように思いました。
皮肉と悲劇に満ちたリックの人生
リックの人生は、皮肉と悲劇に満ちていました。父親を殺したとされるジム・ホリンガーに対する彼の復讐劇は、実は彼が実父だったという真実へと反転します。母の言葉を信じ続けたリックは、「父を殺された息子」として怒りに突き動かされて生きてきましたが、復讐を果たした直後に自身の存在を揺るがす真実に直面してしまいました。
リックの物語は、いかに復讐が人を盲目にし、真実を見誤らせるかを描いていたように思います。彼が真実に辿り着いた時には、実父を殺して愛するチェルシーも死に、全てを失ってしまいました。彼の悲劇的な人生は、「真実に近づくことが必ずしも救いではない」という教えを説いていたのかもしれません。
そして、リックが死んだ瞬間に、毒入りのドリンクを飲んだロックが息を吹き返したシーンは、輪廻転生を象徴しているように感じました。
東洋思想を観光パッケージ化する西洋的な視点
そしてシーズン3の重要なテーマは、「東洋思想の商業化」です。舞台がタイになったことで、ヨガや禅、仏教といった東洋の精神文化がリゾートの“商品”として、白人富裕層に消費されている様子が痛烈に風刺されています。
パイパーが「仏教寺院で修行したい」と家族に打ち明ける展開は、若い世代の自己発見や精神の成長への憧れを示す一方で、それが実際には、“観光パッケージとしての体験”になっている点を皮肉っているのではないかと思いました。実際、彼女は寺院の質素な生活に1年も耐えられないと思い、修行計画を諦めてしまいましたからね。
また、ベリンダがスパ・ビジネスの夢見る一方で、グレッグは彼女の口を封じるために10万ドルで買収しようとしました。この構図にも、本来なら癒しや精神性に根差すはずのビジネスが金で左右されるという、西洋的な合理主義と東洋的な価値観の衝突が見て取れ、グレッグは、「東洋思想を食い物にする白人男性の象徴」として描かれているように感じました。
『ホワイト・ロータス』シーズン3のまとめ
シーズン3は、アジアに行けば「自分を見つけられる」、「癒される」、「リセットできる」といった、欧米人が抱きがちな思い込みを痛烈に風刺した視点で描かれました。
タイを訪れた白人富裕層たちは“本当の自分”や“魂の解放”を求める一方で、実際にはほとんどの人が変わることができず、むしろ裏の本性が露わになっていきました。そんな展開こそ、『ホワイト・ロータス』らしい痛烈な風刺の真骨頂だと言えるのではないでしょうか。
エピソードが進むごとに“ジワジワ”と面白さが増していく『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル』シーズン3を、ぜひU-NEXTでチェックしてみてください♪

