Netflixドラマ『見捨てられし者の荒野』は、1854年を舞台に対照的な二家族の母親の運命がある事件で交差し、持てる者と持たざる者の闘いが描かれる西部劇。本作で何が起こるのか、キャストやあらすじの紹介に加え、ネタバレなしの感想とネタバレありの考察でダイブインしていきます♪
◉ネタバレなしで知りたい方へ
前半ではあらすじ・海外評価・筆者の感想を紹介。視聴前の参考にどうぞ。
◉ネタバレありで深掘りしたい方へ
後半では全あらすじと見どころ・考察をたっぷり紹介。視聴済みの方もおさらいに◎
※目次から各セクションにジャンプできます。
『見捨てられし者の荒野』の概要
基本情報を押さえておきましょう♪
『見捨てられし者の荒野』のあらすじ(ネタバレなし)
『見捨てられし者の荒野』は1854年のワシントン準州を舞台に、対照的な二つの家族の母親たちを中心に展開する。一方は血縁で結ばれた富と特権の家族、もう一方は愛と必要に応じて結ばれた孤児やはぐれ者たちで構成された家族だ。
両家族の運命は二つの犯罪や恐ろしい秘密、許されぬ恋、そして銀鉱を抱える土地をめぐる争いによって絡み合う。その衝突は、司法の手の届かない地で展開される、アメリカの富める者と持たざる者の闘争を描く。
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『見捨てられし者の荒野』海外での評価&筆者の感想(ネタバレなし)
『見捨てられし者の荒野』は、全くことなる立場にいる一家の女家長二人の対立を描き、まず西部劇で女性二人が主人公に据えられた作品は、かなり珍しいと思いました。
フィオナとコンスタンスは共に強く複雑な女性で、その迫力ある対立構図だけで十分に引き込まれます。また、土地と銀鉱を巡る争いや家族の絆、正義と生存の狭間が描かれる展開もスリリングで、荒野の時代に生きる人々の運命や葛藤がしっかり描かれていて、時代劇としてのドラマ性は十分に味わえます。
しかし、一方で気になる点もあります。ストーリー展開で時に説明過多・説明不足が混在している印象があり、登場人物の背景や動機が浅く感じられてしまう部分も。特に中盤から終盤にかけて物語の勢いが落ち、緊張感が持続しにくい場面があったように感じました。
本作は、無法者バイカー集団を描く硬派でワイルドなドラマ『サン・オブ・アナーキー』のクリエイター、カート・サッターが手がけているため、Netflixの西部劇ドラマ『アメリカ、夜明けの刻』のような骨太な作品をイメージしていたので、少し期待外れでした。
「西部劇ならではの骨太さ」を求める方には少し物足りないかもしれませんが、深く考えなければ総じて楽しめる作品ではないでしょうか。
・ある黒人青年の数奇な運命を描いたおすすめ時代劇
『見捨てられし者の荒野』の登場人物&キャスト
◉フィオナ・ノーラン(レナ・ヘディ)
実子を持てなかったアイルランド出身の未亡人で、4人の孤児を引き取り家族を築く。愛する家族と土地を守るために執念深く戦う。
◉コンスタンス・ヴァン・ネス(ジリアン・アンダーソン)
鉱山の財産を夫から継いだ未亡人。ヴァンネス家の血縁に基づく富と権力を守り、開拓地での覇権を拡大しようとする女家長。
◉エライアス・テラー(ニック・ロビンソン)
テラー家の息子で、父を亡くした後にフィオナに引き取られる。フィオナの計画に巻き込まれ、愛と家族の板挟みになる。
◉ダリア・テラー(ダイアナ・シルヴァース)
テラー家の娘でエライアスの妹。フィオナとヴァン・ネス家の確執をさらに深める事件を起こしてしまう。
◉トリシャ・ヴァンネス(アシュリン・フランチオージ)
ヴァンネス家の娘の一人。強さとしなやかさを兼ね備えた女性で、家と愛、忠誠の間で葛藤する。
◉ギャレット・ヴァンネス(ルーカス・ティル)
ヴァンネス家の息子。家族への忠義と法を守りたいという思いに揺れ動く。
◉ザビエル・ローチ(ミキール・ハースマン)
盗賊レッドマスクのリーダーで、コンスタンスに裏の仕事を依頼されて部下となる。
『見捨てられし者の荒野』の全あらすじ(ネタバレあり)
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◉ヴァン・ネス家と開拓者たちの対立
◉司祭の裏切りと暴かれる過去
◉墓が暴いた真実と連鎖する裏切り
◉炎に包まれる復讐の館
ヴァン・ネス家と開拓者たちの対立
◉ 銀鉱を巡り、支配するヴァン・ネス家と開拓者側が対立する
◉ フィオナの養女がヴァン・ネス家の長男に襲われて殺人事件に発展
◉ 秘密の埋葬が行われ、町全体を巻き込む争いへと突入していく
物語の舞台は、1850年代前半のワシントン準州エンジェルズ・リッジ。銀鉱で支配力を持つヴァン・ネス家と、彼らに抗う開拓者たちの対立を描く物語。
鉱脈の枯渇に焦る当主コンスタンスは、豊富な銀を抱える土地「ジャスパー・ホロウ」の取得を狙うが、地主の一人であるアイルランド移民フィオナ・ノーランは養子たちとともに売却を拒む。報復として家畜を殺され、フィオナは法の無力さを知る。
やがてコンスタンスの息子ウィレムが養女ダリアを襲おうとし、彼は彼女に刺され致命傷を負い、フィオナは娘を守るため彼にとどめを刺す。ホロウの住民たちと遺体処理を巡る投票は膠着するが、愛犬を殺された孤独な地主ウォルターが復讐心からウィレムの死を沈黙することに投票し、遺体は密かにウォルターの愛犬と一緒に埋められる。
司祭の裏切りと暴かれる過去
◉ 司祭の裏切りが判明し、フィオナがかたをつける
◉ コンスタンスが奪った銃器を巡り、町で大規模な銃撃戦が発生する
◉ 酒店主のマイルズの正体が“逃亡保安官”だと判明する
ウィレムの遺体が密かに埋められたあと、襲われかけたダリアは自責の念に苛まれ、フィオナの勧めで町の司祭ダフィーに告解する。だがフィオナは、教会が困窮する一方で彼の生活が裕福であることに疑念を抱き、彼がヴァン・ネス家の手先として町の秘密を流している事実に気づく。フィオナは屋敷へ向かう途中のダフィーを止め、自らの手で殺して事故に見せかける。
一方コンスタンスは、ジャスパー・ホロウを排除するため先住民の反乱集団と取引し、ロシア人商人から銃を調達する。しかし、その銃は別の犯罪集団から盗まれたものだった。銃を追って彼らが町に現れ、激しい銃撃戦が勃発する。その中で酒場を営むマイルズが意外な銃の腕前で多数の男を撃ち倒す。コンスタンスの息子ギャレットは、賊が彼を“ウィンストン”と呼んだのを聞き、正体を探り始める。
マイルズはかつて特別保安官アダム・ウィンストンとして反逆事件を起こして逃亡し、妻への愛ゆえに軍を裏切った過去を持つ男だった。その後は犯罪の世界から離れ、娘サマラと静かに生きてきたのだった。
墓が暴いた真実と連鎖する裏切り
◉ ギャレットの脅迫で、サマラが墓の秘密を明かす
◉ 裏切りと口封じで、コンスタンス側にも犠牲が出る
◉ ウィレムの遺体発見が復讐と決別の引き金となる
ギャレットはマイルズの正体を知ると、それを材料に脅迫し、土地売却と引き換えに過去の罪を帳消しにすると彼の娘サマラに持ちかける。父を救いたい一心で信じたサマラは、ホロウの住民が隠してきたウィレム殺害と遺体埋葬の事実を打ち明け、ギャレットを墓へ案内する。遺体の発見で事態は一変し、マイルズはヴァン・ネス家に再び銃を向ける決意を固める。
一方、コンスタンスは反乱分子や無法者ローチェ一味と手を組むが、部下のデュパールが裏切り、違法取引の証拠をつかむ。デュパールは始末されるものの、その内容を聞いた使用人ジェニーは口止めのため殺され、現場を目撃した娘トリシャは沈黙のため監禁されてしまう。
しかし、脱出したトリシャは町へ戻るが、兄の遺体発見を知り、恋人エイリアスに真相を迫る。エイリアスはウィレムがダリアに性的暴行を加えたことを明かし、犯行に関与を認める。
炎に包まれる復讐の館
◉ ダリアが報復でギャレットを襲撃する
◉ フィオナたちが屋敷を急襲し炎上する
◉ 生存者と復讐の火種が残される
不正と不公平に満ちた社会に憤ったダリアは、町で拉致されるトリシャを見て、背後にヴァン・ネス家がいると確信し、ギャレットを刃物で襲って怪我を負わせる。
コンスタンスは部下に命じてダリアを屋敷に連行。その頃、フィオナとジャスパー・ホロウの住民たちは、武力で対抗せねば生き残れないと判断し、屋敷への襲撃を決行する。フィオナは交渉を装って屋敷に入り、仲間は裏手から侵入して護衛たちを制圧する。混乱の中でダリアは救出され、屋敷は炎に包まれる。フィオナは最後にコンスタンスと対峙し、燃え落ちる屋内で激しく争う。
やがて炎の中から姿を現すのは一人の女のみで、その正体は明かされない。一方、屋敷にいなかったギャレットは生存し、ヴァン・ネス家の行方と復讐の火種を残したまま物語は幕を閉じる。
・聖書をもとにした見応えある時代劇をチェック♪
『見捨てられし者の荒野』の見どころ・考察(ネタバレあり)

出展元:https://www.netflix.com/
◉気になる設定の割に掘り下げられない人物像
◉母性に潜む光と影
◉シーズン2へ更新されるか?
気になる設定の割に掘り下げられない人物像
本作を観ていて特に気になったのは、魅力的な設定が提示されながらも、その人物背景が十分に掘り下げられないまま終わってしまう点です。例えば、コンスタンスが雇った無法者ローチは、粗暴な外見とは裏腹にシューベルトなどのクラシック音楽に精通していて、トリシャとピアノを連弾するという印象的な場面が描かれます。
このシーンは、彼の過去や教養の由来、あるいは抑圧された感性といった内面が今後明らかになる伏線のようにも思えました。ところがその後、彼の人物像が深掘りされることはほとんどなく、その設定は単なるアクセントとして消費されてしまった印象が残りました。
また、コンスタンスの息子ギャレットが、娼館で若い女性ではなく年上のマダムを相手に選ぶ場面も唐突に描かれ、そこに至る心理的背景の説明はほぼありませんでした。彼は過度に支配的な母のもとで育ったため、そこから生じたコンプレックス、あるいは母性的存在への歪んだ執着が読み取れそうな設定ですが、物語はそこに踏み込むことなく先へと進んでしまいます。そのため観る側として、「なぜこの行動に至ったのか」を想像する余地はあるものの、人物の動機が曖昧なままに感じられてしまうのです。
こうした点から、本作は登場人物たちに興味深い要素を配置しながらも、それを物語の中で十分に活かし切れていない場面が多々あり、結果的に人物の背景や動機が浅く感じられてしまったのが残念でした。もし、これらの要素が丁寧に掘り下げられていれば、物語はさらに奥行きのある人間ドラマとして際立っていたのではないでしょうか。
母性に潜む光と影
本作で強く浮かび上がるテーマのひとつが、「親子関係において血の繋がりは本当に絶対なのか?」という問いです。女当主コンスタンスは、実子に恵まれなかったフィオナに、「あなたは子どもを産んでいないから真に母親の気持ちはわからない」と何度も冷たく言い放っていましたが、その言葉と裏腹に、秘密を知った娘トリシャにアヘンを盛って軟禁したり、出来の良くない息子ウィレムとギャレットを区別して接していました。コンスタンスにとって、子どもたちよりも地位や財産、権力の方が重要であることは明らかです。
対するフィオナは養子たちや仲間を守り、共に生き抜こうとします。彼女の行動は、血縁ではなく「選び取った絆」こそが本当の家族を形作ることを示しています。血縁があるという事実よりも、どのように相手を想い、守ろうとするかが、親子関係の本質なのだと問いかけているように感じました。
しかし、彼女は血の繋がりのない子どもたちを守り抜こうとする一方で、「あなたたちは私の家族だ」「私が守る」という強い思いが、次第に“支配”や“精神的な操作”へと変質していく瞬間が何度も描かれます。特に暴力や嘘、殺人といった極端な選択にまで踏み込んでしまう点は、本当の意味で子どもたちを尊重しているとは言い難い部分だと思います。
興味深いのは、コンスタンスが“血”を根拠に子どもを支配しようとしたのに対し、フィオナは“愛”を根拠に支配してしまうという対比です。どちらも「子どものため」と信じて行動しているのに、その結果、子どもたちの人生や選択肢を奪ってしまう可能性がある。この構造は、本作が単純な善悪ではなく、「母性そのものの危うさ」を描いているように感じました。
つまり本作は、「血のつながりに意味はあるのか?」だけでなく、「愛であっても、それが過剰になった時に支配に変わってしまうのではないか?」という、さらに深い問いを投げかけているのかもしれません。
シーズン2へ更新されるか?
筆者は、本作はリミテッドシリーズだと勝手に思い込んでいたので、 ラストで燃えるヴァン・ネス家から出て来た女性が、 コンスタンスなのかフィオなのか分からないクリフハンガーで幕を閉じて驚きました。
おそらくシーズン2を想定しているのだと思いますが、作品としてクオリティやRotten Tomatoeseの低いスコア(後で数字が伸びる可能性もありますが)を考えると、 シーズン2への更新は難しいのではないかと思います。
・現代の西部を舞台に描くメロドラマ♪
『見捨てられし者の荒野』のまとめ
『見捨てられし者の荒野』は、登場人物の背景や動機が浅く感じられてしまう部分がありますが、「西部劇ならではの骨太さ」をそこまで求めていない、メロドラマ調の人間関係を楽しめる人にはお勧めしたいシリーズ。
人によって評価が分かれる作品だと思うので、自分はどっちか確かめるためにもNetflixでチェックしてみてください♪
【報告】YouTubeを始めました!
このたび、ブログでご紹介している海外ドラマの世界観や見どころを、より分かりやすくお届けするために、YouTubeアカウントを開設しました。
主におすすめドラマのまとめ動画を発信していく予定です。ブログと併せて楽しんでいただける内容を目指しますので、ぜひチェックしてみてください♪
『見捨てられし者の荒野』の視聴方法
『見捨てられし者の荒野』を視聴できるのはNetflixだけ! VODの中でもダントツにコンテンツ量が多いNetflix。使ったことがない方も、この機会にぜひ♪
この他にもNetflixでは同シリーズ系統のドラマが多数配信中です。「次に観たい作品が見つからない…」という方は、以下の記事も合わせてどうぞ。
『見捨てられし者の荒野』系のNetflixおすすめドラマ3選
『見捨てられし者の荒野』のほか、Netflixには見応えある西部劇や時代劇が配信されています! ぜひ下の作品もチェックしてみてくださいね♪







