Apple TV+ドラマ『プルリブス』は、犯罪ドラマの金字塔『ブレイキング・バッド』を生み出した鬼才ヴィンス・ギリガンが手がけるシリーズ。世界が“幸福”を強制するウイルスに侵された世界で何が起きるのか、キャストやあらすじの紹介に加え、ネタバレなしの感想とネタバレありの考察でダイブインしていきます♪
※11月7日(金)に配信開始!各話の配信に合わせてあらすじ・感想を更新し、全話配信後に考察・見どころを追加予定です。
【本記事のポイント】
◉ネタバレなしで知りたい方へ
前半ではあらすじ・海外評価・筆者の感想を紹介。視聴前の参考にどうぞ。
◉ネタバレありで深掘りしたい方へ
後半では全あらすじと見どころ・考察をたっぷり紹介。視聴済みの方もおさらいに◎
※目次から各セクションにジャンプできます。
『プルリブス』の概要
基本情報を押さえておきましょう♪
原題:Pluribus
製作:Apple TV+
ジャンル:SF、ヒューマンドラマ
配信日:2025年11月7日
製作国:アメリカ
話数:全9話
クリエイター:ヴィンス・ギリガン
『プルリブス』のあらすじ(ネタバレなし)
傑作クライムドラマ『ブレイキング・バッド』のクリエイター、ヴィンス・ギリガンが手がける『プルリブス』は、謎めいた世界で一人の女性が“幸福”という疫病に立ち向かうSFシリーズ。
物語の舞台は、『ブレイキング・バッド』と同じニューメキシコ州アルバカーキ。世界に蔓延したウイルスが人々を常に満足し、楽観的な状態へと変えてしまう中で、唯一その影響を受けない主人公キャロルは“最も不幸な人”と呼ばれる存在として、世界を“幸福”から救う使命を背負うことになる──。
・終末的なダークなストーリーが好きな人は要チェック!
『プルリブス』の予告編を紹介
予告編では、世界中の人々が“幸せ”というウイルスに感染してしまうという不穏な世界が描かれています。主人公キャロルが「どうしたらあなたを幸せにできる?」と問いかけられ、ぎこちなく顔をこわばらせるシーンが印象的。飛行機の中で添乗員に「どうやったらこの状況を覆せるの?」と尋ねる彼女の姿からも、“幸せのウイルス”に抵抗していることが伝わってきます。
予告編は、さまざまな登場人物や出来事が次々に映し出されるモンタージュ構成で、何が起きているのかはまだ謎のまま。ただ、「この世界が本当に“幸せな人ばかり”になったら何が起きるのか?」という問いには、思わずゾクッとさせられます。
『ブレイキング・バッド』のヴィンス・ギリガンが、この奇妙な世界を通してどんなメッセージを届けてくれるのか──配信が待ちきれません!
『プルリブス』海外での評価&筆者の感想(ネタバレなし)
【Rotten Tomatoes】
批評家の評価:98%
観客の評価:69%
【筆者の評価】(視聴後に更新)
総合評価:★★★★★
ストーリー:★★★★★
エンタメ性:★★★★☆
感動:★★★★☆
『プルリブス』は、SFでありながら社会心理や個人の在り方について深く考えさせられるドラマだと思います。特に、全人類が“幸福と調和”というひとつの意識に統合される世界の設定は、単なるSF的なアイデアを超えて、同調圧力や個の尊厳という現代的なテーマを重ねて描いているところが秀逸です。
こんな設定の作品をドラマシリーズでも映画でも観たことがなかったので、『ブレイキング・バッド』という、ドラマ史に名を刻む最高傑作を生みだしたヴィンス・ギリガンの才能には唸されるばかりです。
また、主人公キャロルの魅力も見逃せません。集団と相反する孤独や苦悩を抱えた彼女を通して、「幸福とは何か」「個人の意思や尊厳とは」という問いが痛烈に突き刺さります。
第6話まで視聴した今、この先に待つ“真実の開示”や“登場人物たちの決断”にも強く期待しています。本作はSFが好きな人だけでなく、人間の心理や社会について思索するのが好きな人にも刺さる、オリジナリティにあふれる作品。ハリウッドではリメイクやリブート作品があふれ返っているので、こういう作品がもっと増えてくれることを祈るばかりです。
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『プルリブス』の登場人物&キャスト
◉キャロル・スターカ(レイ・シーホーン)
最も“悲しい人物”と言われる主人公。世界が“幸福”を強制するウイルスに侵される中、自分だけがその影響を受けず、世界を元に戻すために立ち上がることを求められる人物。
◉ゾーシャ(カロリーナ・ヴィドラ)
世界が幸福ウィルスに感染後、キャロルの付添人となる人物。
◉マヌソス(カルロス・マヌエル・ヴェスガ)
社会や“幸福ウイルス”の影響をめぐる対立や協力の軸となる可能性のある人物。
◉ヘレン(ミリアム・ショア)
キャロルのマネージャーで恋人。
『プルリブス』の全あらすじ(ネタバレあり)
第1話:我々とは私たち
【あらすじ】
【要約】
◉ NASAが宇宙からの信号を受信、人類支配のカウントダウンが始まる
◉ 人気作家キャロルだけが未知のウイルスに感染しない
◉ 世界中の人々が「一つの意識」でつながる異様な同化現象が発生
◉ 政府は“地球外テクノロジー”による集合意識の実験を明かす
第1話は、「人類が完全に支配されるまであと439日19時間」というカウントダウンから始まる。NASAのサーバーには未知の宇宙信号が届き、それが600年前の過去から送られたものだと判明する。研究者たちはその意味を解読しようとするが、ある男だけがそのコードの正体を理解しているようだ。
時は進み、残り71日。人気恋愛小説家キャロル・スターカは、自作を「くだらない」と感じつつも、恋人ヘレンと共に成功の波に乗っていた。だが残り29日となった頃、研究所では未知のウイルスが発生。感染は唾液を媒介に広がり、職員たちは無言で同調するように動き出す。感染した研究員は、さらにドーナツを舐めてウイルスを拡散させ、恐るべき伝染力を見せる。
そして運命の3時間前。キャロルはヘレンとバーで過ごしていたが、空を見上げると無数の飛行機雲が整然と並んでいるのに気づく。やがて街では次々と人々が発作を起こし、炎に包まれる。ヘレンも感染し、キャロルは唯一感染しないまま混乱の中を逃げ出す。ヘレンの死後、周囲の人々は一斉に正気を取り戻すが、全員が同じ声で「助けたいんだ、キャロル」と語りかけ、彼女を取り囲む。
キャロルは自宅に戻るが、テレビには「準備ができたら電話を」と彼女宛てのメッセージが映し出される。政府高官との通話で、彼らが“地球外テクノロジーの恩恵を受けた者たち”だと知らされる。14ヶ月前に受信された信号は再現可能な「レシピ」で、人類を一つの意識で結ぶ“精神的接着剤”だというのだ。
感染を免れた者は世界でわずか11人。キャロルは、集合意識に取り込まれることを拒む“最後の人間”になってしまったのだった。
【感想】
第1話は、まるで静かに迫る黙示録のような始まりでした。人類が「ひとつの意識」に同化していくというアイデアはSF風ながらも、SNSやメディアによる精神操作や洗脳といった現代社会への鋭い風刺にも感じられます。特に印象的だったのは、感染した人々が無言で同調し、まるで群れのように動く不気味さです。ゾンビのように個人の意思が個性が消え、全員が“ひとつ”になっていく光景にはゾッとしました。
また、キャロルという作家を主人公に据えたのも興味深い点です。彼女が「自分の書く物語はくだらない」と感じながらも、皮肉にも終末的な世界の“物語”の中心に置かれていく展開が超メタ的です。
SFと心理ドラマのバランスが絶妙で、最後の「11人だけが自由」という設定も強烈な引きでした。随所にブラックユーモアを効かせながら、静けさと狂気が同居する第1話として、今後の展開を期待を抱かずにはいられません。
第2話:女海賊
第2話のあらすじと感想
【要約】
◉ 世界は“集合意識”に支配されて同化し、キャロルだけが孤立する
◉ キャロルの怒りが世界中のコレクティブに影響を及ぼす
◉ 生存者たちが集まり、自由か統一かの思想的対立が生まれる
◉ キャロルはゾーシャの中に“個人の意志”の芽を見出す
第2話は、世界が“集合意識”に支配されてから11時間後の中東から始まる。人々は同か化した存在として行動しており、ある女性は遺体を回収した後、飛行機を操縦してアメリカへ向かう。彼女が到着すると、同じ意識を共有する者たちが彼女を迎える。
一方、キャロルは酒に酔って眠り込んだまま、恋人ヘレンの死を受け入れられずにいた。彼女は自宅の裏庭に穴を掘り始めてヘレンを埋葬しようとするが、その様子は上空4万フィートの軍用ドローンに監視されていた。やがて現れたゾーシャという女性は、キャロルの小説に登場するキャラクター“ラバン”に瓜二つの女性で、彼女もまた同化者の一員だった。ゾーシャの中には死んだヘレンの記憶も存在している。
キャロルが怒りを爆発させると、世界中の同化者が一斉にフリーズし、大勢が死亡するという副作用が起きる。罪悪感に苛まれながらもキャロルは回復し、ゾーシャから感染を免れた11人のうち5人は英語を話せると知らされる。
キャロルはほかの非同化者たちと会うため、スペインのビルバオへ向かう。空港で出会ったのは、中国人のシウ・メイ、インドのラクシュミ、モンゴルのオトゴンバヤル、南米のクシマユ、そしてモーリタニアのクンバら5人。彼らはそれぞれ家族を集合意識に奪われながらも異なる考えを持っていた。
ラクシュミは、キャロルの怒りのせいで祖父を失ったと非難し、クンバは「人種差別も犯罪も消えた」と同化の利点を語る。しかしキャロルは、個の自由を失う世界を受け入れられず、再び怒りを爆発させてしまう。その結果、再び世界がフリーズ状態に陥る。
翌日、キャロルは孤立し、唯一残ったクンバからゾーシャをラスベガスに連れて行く許可を求められる。キャロルはゾーシャに「自分の意志で選べ」と促し、わずかながら彼女の中に自我の芽生えを感じ取る。最終的にキャロルは独りで帰国するはずの飛行機から降り、クンバの乗った機を止めるシーンで終了する。
【感想】
第2話ではキャラクター描写が一段と深まり、“同化者”そのものの輪郭も少しずつ明らかになってきました。特に終盤でゾーシャが見せた心の揺らぎは印象的で、彼女がキャロルとクンバのどちらか選べと迫られた時に一瞬ためらう場面には、同化者の中にも個の意識が残っている可能性が示唆されています。
また、キャロルの怒りで同化者の大勢に死者が出てしまうという破壊的な影響は、身体的な暴力や流血がなくとも、ネットやSNSの誹謗中傷により人を自死に追い込むなどの行為を痛烈に風刺しているように感じました。一方で、キャロルの怒りが人類を目覚めさせるトリガーになる可能性も否定できないかもしれません。
ウィルスのパンデミックにより犯罪や暴力は消えたものの、8億人もの命が失われたという現実は恐ろしく、キャロル以外の非同化者たちがその重大さに気づいていない点も不穏です。それに、人類が完全に従順な存在になってしまえば、外部から侵略を受け入れてしまうかもしれません。
まだ謎の部分が多いですが、ヴィンス・ギリガンらしい緻密な構成と社会風刺が光るエピソードで、第3話の配信が待ち切れません!
第3話:手りゅう弾
第3話のあらすじと感想
【要約】
◉ キャロルとヘレンがノルウェーの氷の宮殿で過去を過ごす
◉ キャロルは独立性を貫き、同化者に従わない姿勢を見せる
◉ スーパーや町の管理で同化者の力を目の当たりにする
◉ 手りゅう弾事件で倫理と自由の対立が鮮明になる
第3話はウイルスの拡散前、2617日前の過去から始まる。キャロルとヘレンはノルウェーの氷のホテルに滞在するが、ヘレンは景色を楽しむ一方、キャロルはその美しさを完全には楽しめず、北極光を窓越しに眺めながら複雑な感情を抱く。
現代に戻ると、世界の同一化現象から3日が経過し、キャロルはエコノミークラスで移動中。ゾーシャも同行し、キャロルは非同化者に科学分野の専門家がいないことに苛立ち、ウイルスの治療法を必死に探そうとしていた。パラグアイの非同化者に接触を試みるも電話でのやり取りは失敗に終わる。家に帰ると、以前にヘレンが注文したマッサージ器が届いていたが、キャロルはヘレンの記憶を消すようゾーシャに指示する。
翌日、キャロルは配達された食料を拒否してスーパーへ行くと、店舗は空になっていた。同化者は資源を集中管理しており、キャロルが自立した個人として行動する意思を示すと、迅速に人員とトラックが動員され、店は瞬く間に元通りに整備される。キャロルは独りで買い物を済ませる。
その夜、町全体の電力が落ちる。同化者は節電のため夜間は活動せず、犯罪も起きないため問題ないと説明する。怒ったキャロルが皮肉で手りゅう弾を持ってくるよう命じると、実際にゾーシャが届ける。キャロルはゾーシャを中に招いてお酒を一緒に飲み始めるが、キャロルが冗談半分で手りゅう弾のピンを引いた際、ゾーシャは爆発からキャロルを守るため窓の外に手りゅう弾を投げ、ゾーシャが負傷してしまう。手りゅう弾は本物だったのだ。
病院でキャロルが待っていると同化者の者が現れ、彼に「マシンガンや核爆弾を頼んだら渡してくれるのか?」と質問すると、彼は「イエス」と返答。キャロルが、人間に武器などを気軽に調達する同化者に、道徳的な制限がないのかという疑問を抱いたところで幕を閉じる。
【感想】
第3話は、全体的にややスローペースで進む回でしたが、キャロルの自立心と倫理観が改めて試される内容となっていました。同化者が資源を集中管理して街の電力を制御する様子など、自由と統制の対立が鮮明になっています。もしかしたら、同化者たちは節約した電力を使って、何かを企んでいるのかもしれません。
また、手りゅう弾や原子爆弾の話題は、理論上キャロルが同化者に何でも命令できる可能性を示唆していて、道徳的ジレンマが描かれているのが印象的でした。「自分が命令すれば何でも手に入る世界」って一見夢のようなので1週間ぐらいなら体験してみたいですが、何でも簡単に願いが叶ってしまうと達成感を味わえないため、充実感がなくなっていまいそうだと思いました。
衝撃的だった第1・2話に比べると第3話は刺激が控え目ですが、キャロルの苛立ちや皮肉たっぷりのやり取りを通して、心理描写やドラマ性は健在。そして、第2話のラストでゾーシャを取り戻したキャロルが少しずつ打ち解けていく様子や、ますます深まる同化者の謎に興味を掻き立てられ、これから物語がどのように動いていくのか楽しみです!
第4話:お願い キャロル
第4話のあらすじと感想
【要約】
◉ 同化逆転の可能性が示されるが、キャロルは方法をまだ習得できず
◉ キャロルが自白剤を使い、ゾーシャから情報取得を試みる
◉同化者が介入し、ゾーシャが倒れるクリフハンガーで終了
第4話は、前話でキャロルが電話話をしたパラグアイの非同化者マヌソス・オビエドの視点から始まる。マヌソスはキャロルからの電話を無視し、彼女を同化者だと疑っていた。しかし、キャロルが電話越しに怒鳴ることで、彼は自分が一人ではないことに気づく。以降、マヌソスの描写はほとんどなく、物語は再びキャロルに焦点が戻る。
キャロルは手榴弾の爆発後、同化者がその後始末をしている様子に衝撃を受ける。彼らはキャロルが指示したかのように行動し、病院に運ばれたゾーシャの介助も行う。この時、キャロルは同化者が嘘をつけないことを確認する。
キャロルは後に病院でゾーシャを訪ね、同化を逆転できるか尋ねる。ゾーシャの沈黙から、キャロルは逆転が可能であることを悟る。キャロルは、この集合意識が自身の過去の転換療法キャンプの経験を思い起こさせると語り、ゾーシャは同化者は個を受け入れる存在であると指摘する。しかし、キャロルは自由を失うことを拒み、二人の意見は膠着状態に陥る。
キャロルが病院の薬局からソディウム・チオペンタール(自白剤)を盗み、自宅で自分に注射する。自身の正直な姿をカメラに記録した後、ゾーシャにも注射して外に連れ出す。キャロルは同化を解く方法をゾーシャに尋ねるが、やがて他の同化者が現れて二人を取り囲む。ゾーシャは意識を失い、医師たちが彼女を蘇生させようとするところでエピソードは幕を閉じる。
【感想】
第4話では同化を逆転させる可能性と、キャロルが自由を守るために奔走する姿が描かれます。
第4話を見て、このエピソードがシリーズに新たな奥行きをもたらしていると感じました。まず、これまで声だけで登場していたパラグアイの謎の男マノソスがようやく画面に登場。彼は他者を徹底的に拒絶する孤独な人物で、自分の信念を曲げずに犬の缶詰を食べて生き延びているという描写が強烈です。
一方、キャロルは他者が嘘をつけないという事実を確かめ、新たな実験に踏み切る展開も興味深かったです。ソディウム・チオペンタール、いわゆる自白剤を使って効果を試した後にゾーシャに薬を投与して、同化を逆転させる方法を聞き出そうする大胆な行動にビックリ! よく、こんな手を思いついたな思いました。
この回は、“個の尊厳”と“団体の抑圧”いうテーマを深掘りしていて、キャロルがどこまで自分を貫き通せるのか、そしてマノソスとの接点が今後どう展開するのかが楽しみです。
また、自分に自白剤を投与したキャロルが、ゾーシャに性的魅力を感じていると明かしたことで、二人の関係が見張り役&非同化者以上の関係に発展していくのかにも注目です。
第5話:ミルク飲んでる?
第5話のあらすじと感想
【要約】
◉ キャロルがゾーシャから情報を得ようと薬物を使用するが、彼女が瀕死状態になり世界中で泣き声が響く
◉ アザーズたちはキャロルを避け、町ごと移動。彼女は孤独になりながらも非同化者たちに団結を訴える動画を送り、反転策を模索
◉ 探索の過程で工場を発見し、同化者が粉末状の謎の食料を摂取していることを突き止める
◉ 庭に現れた狼からヘレンの墓を守り、孤独の中で真実を追求するキャロルの決意が描かれる。
キャロルは、ゾーシャから情報を得ようと薬物を使ったが、結果は悲惨なものになった。彼女は瀕死状態に陥り、その痛みは“アザーズ(同化者)”全体へと波及し、世界中で泣き声が響く事態となった。これを知った非同化者のラクシュミは激怒し、息子も泣いていたことからキャロルを強く非難する。
コミュニティの大半はキャロルを冷遇し始めるが、キャロルはゾーシャの容体を見守るため病院を離れない。やがてソファで眠りに落ちた瞬間を狙い、アザーズは病院を封鎖し、救急車やトラックに荷物を載せて街ごと移動してしまう。キャロルが目覚めた時、町は完全に無人となっていて、電話サービスの録音メッセージにも“距離を置きたい”と告げられる。
孤独になったキャロルは、事態を逆転できる方法があると信じて動画を撮影し、他の非同化者たちに団結して事態を反転させようと訴える。
キャロルはゴミの収集でドローンを使用するがドローンが墜落し、散乱したゴミを回収する過程で、ゴミ箱の中に大量の牛乳パックが捨てられているのを発見する。それがアザーズが消費した物だと気付いたキャロルは探索を開始し、彼らが工場で“粉末を水で溶いた不思議な食糧”を生産していることを突き止める。しかし正体は依然として不明のままだ。
一方、自宅の庭には狼が侵入し、ヘレンの墓を荒らそうとする。キャロルはパトカーで追い払った後、ホームセンターから石を運び、墓をしっかりと守るため覆いを作り、墓碑を置いてヘレンを弔う。
その後、粉末食の容器を見つめていたキャロルは、新たな手掛かりを求め再び工場へ向かう。そこで他者が食べている“ある物”をついに目撃し、衝撃を受ける。しかしその全容は、次回以降への謎として残される。
【感想】
第5話は、これまでの“謎のアザーズ(同化者)”の裏にある闇がグっと深まる回でした。キャロルが孤立した状態でも、街中に散乱するミルクの空きパックに注目し、その謎を追いかける過程はサスペンスタッチで好奇心を掻き立てられました。
調査の末、それはただのミルクではなく、水に白い粉を混ぜた奇妙な液体だと知り、アザーズの集合意識を支える何か、あるいは彼らの“栄養源”に関わる重大な秘密に近づいた可能性にワクワクしてしまいました。
しかも、ラストはキャロルが謎の食品の正体を知って驚愕するクリフハンガーで終わり、早く答えが知りたくてたまりません! とはいえ、期待が高まると同時に不安も感じてしまいます。
また、キャロルと同じ非同化者に団結を訴える動画のメッセージに応えて、協力する人が現れるのかも気になるところ。第5話はキャロル以外の人がほとんど登場しない、ほぼ一人劇と言ってもよい構成でしたが、まったく退屈することなく楽しめました。
キャロルがアザーズの謎に一歩迫ると、その謎が一段階深まり、今後の展開からますます目が離せません!
第6話:HDP
第6話のあらすじと感想
【要約】
◉ “ミルク”の正体が、人間の遺体由来だと判明する
◉ 他の生存者たちは真実を知っていて、キャロルだけが排除されていたことが判明
◉ マヌソスがキャロルを探すため、行動を開始する
前話の直後、キャロルは工場から逃げ出し、そこで見たものの正体を確かめようと再び内部を記録する。倉庫内では、人間の遺体が細かく分解され、ビニールに包まれた状態で粉砕機に送られ、“ミルク”と呼ばれる粉末の原料として処理されていた。人々が日々口にしていた栄養源は、死者の身体だったのだ。キャロルはその事実を伝えようとビデオの準備をするが、確実に届けるため自ら動くことを選ぶ。
場面はラスベガスへ移り、ディアバテが高級ホテルでハーレムのような生活を送っている様子が描かれる。やがて到着したキャロルを彼は迎えるが、なんと彼はすでに“ミルク”の正体を知っていた。しかも他の非同化者たちも承知の上で、より良い世界を作るため定期的に会合を続けていたこと、そしてキャロルだけが排除されていたことが判明する。
さらに、幸せウィルスに感染するには幹細胞を採取する同意が必要で、同意しなければ同化者になることはないとも分かる。まだディアバテも同意はしておらず、キャロルも再び拒否する意思を固める。帰路についた彼女は、孤独の中でも「自分のままでいる」選択に、ひとまずの確信を得る。
一方、孤立していたマヌソスの元にキャロルのビデオテープが届く。彼はその内容に心を動かされ、拠点を出る決意。彼はキャロルを探す旅へ旅立つシーンで終了する。
【感想】
この回では、なんと同化者たちが人肉を“生命維持の資源”としているという衝撃の事実が明らかになり、この展開にかなりビビってしまいました。同化者は生きている動物は食さず、果物も地面に落ちた物しか食べないというポリシーがあるとはいえ、『プルリブス』は現在、実際に世界中で懸念されている人口増加による食糧不足に切り込んでいるのかなと思いました。
ウィルスにより8億人が亡くなったこともコロナウィルスを連想させるし、このドラマは地球規模で起こっている出来事に関連させて、問題を提起しているようにも感じます。
また、数少ない非同化者の仲間12人は頻繁に連絡を取っているのに、みんなと違う意見を持つキャロルだけ除け者にされているという事実は、彼女にとっては大きなショックだったはず…。さらに、孤独の辛さを痛感させられたのではないでしょうか。
しかし、キャロルのビデオを見て彼女のメッセージに感銘を受けたマヌソスが、ついに彼女を探しに出る展開となりました。二人はこれから結託して、元の世界に戻すミッションに奔走することになりそうですが、二人の関係がどのように描かれるのか楽しみです。
第7話:深い溝
第7話のあらすじと感想
【要約】
◉ キャロルは孤独を紛らわせるような行動を続ける
◉ マヌソスは同化を拒絶しながら、命がけでキャロルを追う
◉ キャロルは限界に近づき“。戻ってきて”と地面にメッセージを書く
◉ ゾーシャが現れ、彼女の願が届く
エピソード7は、ウィルス拡散の発生から12日後となるキャロルが帰宅の途中でガソリンを補給する場面から始まる。彼女は赤いゲータレードを注文しつつ、車には大量の花火を積み込む。キャロルは再び自宅に戻り、狼の遠吠えに混じって花火を打ち上げるなど、孤独を紛らわせるような行動を続ける。その後、故障したパトカーを乗り換え、温泉地に寄り道し、ギャラリーで芸術を眺めながら歌うなど、彼女は“日常らしさ”を演じるように旅をする。夜には、亡きヘレンとの記念日を祝うかのように、歴代の思い出の料理を並べて一人で食事をする。
一方マヌソスは、キャロルに会うための旅を続けており、同化者になる申し出を頑なに拒む。車の燃料を盗み取りながら進み、英語学習のフレーズを唱え続け、ついにはジャングルへ徒歩で突入するも、途中で負傷し衰弱してしまい、ヘリに救助される。
そして48日と16時間後、キャロルは花火やゴルフを繰り返すだけの虚ろな日々を過ごし、歌うことさえやめてしまう。翌朝ゾーシャが姿を現すと、キャロルは涙ながらに抱きつく。彼女は地面に“come back”と塗料で書いていて、彼女はその呼びかけに応えて戻ってきたのだった。
【感想】
第7話は劇的な展開は描かれませんが、“孤独”と“人間らしさ”に焦点を当てた静かな名エピソードです。ますます孤立していくキャロルと、危険な熱帯雨林を越えて彼女に会おうとするマヌソスの対比が印象的で、会話が少ない分、二人の言動や心の動きが訴えかけてきました。
キャロルが孤独を紛らわすために花火を上げる場面や、彼女と会った時にコミュニケーションが取れるよう、マヌソスが英語の勉強を続ける続ける姿が印象的です。マヌソスは道中、乗り捨てられた車からガソリンを抜くと、ちゃんとお金をワイパーに挟み、また地道に英語学習をするなど、彼の行動から超真面目で気高い人物だと分かります。
ちなみに、彼がジャングルを進むシーンで、細菌だらけの20センチのトゲを持つ木(そんな木が生息してるなんて驚き)に突き刺さってしまうシーンは、悲鳴を上げそうになってしまいました。彼の厳しい旅は、ダニエル・ラドクリフ主演の実話をもとにした映画『ジャングル ギンズバーグ19日間の軌跡』(おすすめ!)の遭難シーンを連想しました。権威に屈しない二人が出会うことで、どう物語が展開してくのか楽しみです。
第8話:2025年12月19日配信
※視聴後に追記予定です。
第9話:2025年12月26日配信
※視聴後に追記予定です。
・セラピストの危険な人体実験を描くドラマをチェック!
『プルリブス』の見どころ・考察(ネタバレあり)

出展元:https://tv.apple.com
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・痛烈な風刺が効いたオススメ群像劇♪
『プルリブス』のまとめ
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【報告】YouTubeを始めました!
このたび、ブログでご紹介している海外ドラマの世界観や見どころを、より分かりやすくお届けするために、YouTubeアカウントを開設しました。
主におすすめドラマのまとめ動画を発信していく予定です。ブログと併せて楽しんでいただける内容を目指しますので、ぜひチェックしてみてください♪
『プルリブス』系のおすすめドラマ3選
『プルリブス』のようにウィルス蔓延を描いたドラマが好きな人は、以下の作品をチェックしてみてください♪