Netflix『オリンポ』ネタバレ考察 【新感覚スポーツ青春ミステリー】エリートアスリートたちの光と闇

『オリンポ』のポスター
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Netflixドラマ『オリンポ』は、スペイン屈指のアスリートたちが集まる名門トレーニング施設を舞台に、複数の選手の急成長に疑問を抱き始めたエリート選手、アマイアが真相に迫っていく展開がスリリングに描かれるシリーズ。この異色スポーツ青春ドラマで何が起きるのか、ネタバレあり・なしでダイブイン(考察)していきます♪


【本記事の注目点】
・ネタバレを踏みたくない方へ
前半ではネタバレなしのあらすじ&海外評価・筆者の感想を紹介しますので、安心して作品を視聴すべきかどうか判断してみてください。

・ネタバレありで深掘りしたい方へ
後半ではネタバレありの全あらすじ&見どころ・考察で掘り下げ、作品の魅力を余すことなくお届け! すでに視聴済みの方も、おさらいとしてお楽しみください♪

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『オリンポ』の概要

製作:Netflix
ジャンル:青春、ミステリー、スポーツ
配信日:2025年6月20日
製作国:スペイン
話数:全8話
クリエイター:ジャン・マテル、ライラ・フォゲット、イバイ・アバド

『オリンポ』のあらすじ(ネタバレなし)

『オリンポ』の舞台は、スペイン屈指のアスリートたちが集まる名門トレーニング施設「ハイパフォーマンス・センター」。選手たちは、ファッションブランド「オリンポ」のスポンサーに選ばれることを渇望している。スポンサーがつけば一躍注目されるだけでなく、選手として収入も倍増するからだ。

アーティスティック・スイミングのナショナルチームのキャプテン、アマイアは完璧を目指す人一倍の努力家だが、デュオのパートナーで親友のヌリアが、不可解なほど急激に能力を伸ばしていることに不信感を抱くようになる。

ある日、アマイアはヌリアに水中で何回スピンできるかを競う挑戦状を叩きつけるが、ヌリアが自己記録を破った後にプールに沈み、病院に搬送される事故が起きてしまう。その後、ヌリアの行方が分からなくなる。

責任を感じたアマイアが、ヌリアの安否を確認しようと独自で捜索を進める中、他の選手たちの異変にも気づき始める。一体、ヌリアに何が起きたのか? アマイアは真相を突き止めることが出来るのだろうか……!?

・スリリングな青春ドラマを観たい人に超おすすめ!



『オリンポ』海外での評価&筆者の感想(ネタバレなし)

【IMDb】
10点中6点
【筆者の評価】
総合評価:★★★☆☆
ストーリー:★★★☆☆
エンタメ性:★★★★☆
感動:★★☆☆☆

『オリンポ』は、Netlixによるスペイン発の人気青春ドラマ『エリート』の製作陣が贈る、新感覚の異色スポーツ青春ドラマ。

とにかく設定がユニークで、思春期のホルモンが爆発するティーンエイジャーで、しかも血気盛んなアスリートが共同生活を送る名門トレーニング施設が舞台になるというのだから、何も起こらない訳がありません(笑)。

普通の青春ドラマなら、アスリートたちが繰り広げる恋愛模様や友情、厳しい訓練、自分との葛藤などが感動的に描かれるでしょう。しかし、『オリンポ』ではこういった要素を盛り込みつつも、中心になるのはミステリー要素です。

『ゴシップガール』と『殺人を無罪にする方法』を掛け合わせたような『エリート』でも、サスペンス&ミステリーの要素が濃厚でしたが、『オリンポ』では行方不明になったヌリアを探し、選手たちに起こり始めた異変をアマイアが探る展開がスリリングに描かれます。

物語は次第に青春スポーツドラマの枠を超え、背後にうごめく陰謀や隠された真実に迫っていくことに……。やがてアマイアの追及は、オリンピックを目指す純粋な夢が、いかに狂気と化していくかという領域に踏み込んでいきます。

エリート・アスリートたちが共同生活を送る、名門トレーニング施設を舞台に描く青春ドラマを初めて観たので、その新鮮なアイデアとサスペンス仕立てのストーリー展開にグイグイと引き込まれていきました。

少し気になったマイナス点(ネタバレありの見どころ・考察で詳述)もありましたが、新感覚の青春ドラマやミステリーを楽しみたいという人におすすめです!

『オリンポ』は、ヨーロッパを中心にスマッシュヒットを放ちそうな予感。シーズン2へ更新される可能性が高そうです。

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スクロールに疲れた方へ
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『オリンポ』の登場人物&キャスト

アマイア・オラベリア(クララ・ギャレ)

ハイパフォーマンス・センターで訓練を積む、アーティスティックスイミングのナショナルチームのキャプテン。ヌリアとは14歳の頃からの親友。

ヌリア・ボルヘス(マリア・ロマニロス)

アーティスティックスイミングチームのメンバー。アマイアの親友でデュオのパートナー。

ソエ・モラル(ニラ・オシャイア)

ハイパフォーマンス・センターに新しく参加した陸上選手。他の選手に比べてモチベーションが低い。

クリスティアン・デララヴェ(ヌノ・ガジェゴ)

アマイアの彼氏でラグビー選手。国民的スター選手イケルの弟。

ロケ・ペレス(オーガスティン・デラ・コルテ)

ラグビーチームのキャプテンでゲイ。



『オリンポ』の全あらすじ(ネタバレあり)

 

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以下、物語の展開を時系列順にまとめました。
・名門トレーニング施設の光と闇
・真実を探るアマイア
・反ドーピング機構の調査
・輝くはずの舞台で壊されていく夢
・栄光の裏で崩れゆく肉体と信念
・真実に立ち向かう者と夢に溺れる者

名門トレーニング施設の光と闇

『オリンポ』の舞台は、スペイン屈指のアスリートたちが集まる名門トレーニング施設「ハイパフォーマンス・センター(以下HPC)」。

選手たちは、ファッションブランド「オリンポ」のスポンサーに選ばれることを渇望している。選ばれれば一躍注目を集め、選手としての収入も倍増するからだ。ただし、その座を手にできるのは、ほんの3人にすぎない。

アーティスティック・スイミングのナショナルチームのキャプテン、アマイアは完璧を目指す人一倍の努力家。しかし、デュオのパートナーで親友のヌリアが、肩を壊したという理由だけで1週間も練習を休んでいたことに不満を抱く。

アマイアは練習で組まされたペケが、こっそり正体不明の薬を摂取していること知る。アマイアは薬を取り上げるが、ペケに懇願されたためコーチには報告しなかった。

オリンポのスポンサーに選ばれた一人目は、なんとHPCに来たばかりの陸上選手のソエだった。しかし、スポンサーに選ばれたことで他の選手から悪質な嫌がらせを受けた彼女は、特にオリンピックを目指してる訳でもないため、家に帰ろうとする。そこへ担当のウーゴが現れて熱心に説得され、ソエは読みもせずに契約書にサインしてしまう。

ヌリアは、アマイアが自分の代役を探すオーディションを行っていることを知って、ショックを受ける。アマイアは、ヌリアに水中で何回スピンできる挑戦状を叩きつけるが、ヌリアが自己記録を破った後にプールに沈み、HPCの医療棟に運び込まれてしまう。

真実を探るアマイア

お見舞いに行ったアマイアは、昏睡状態に陥ったヌリアを見てショックを受け、そこにウーゴの姿があったことにも驚く。

アマイアの友人でラグビーチームのキャプテン、ロケは、競輪選手たちが“補助役”と呼んでいる薬について話しているのを耳にし、そのことをアマイアに伝える。

アマイアの彼氏クリスティアンは、体格が十分でないとの理由でラグビーチームを外され、HPCを去る。

その夜にソエのルームメイト、レナータが、担架に載せられてHPCの医療棟からヘリコプターで搬送されるヌリアを目撃。その様子をスマホで録画する。

アマイアは、再びヌリアのお見舞いに行くが彼女の姿はなく、医師から療養のために自宅に戻ったと伝えられる。アマイアはHPCがドラッグで溢れていることを察知し、学長室へ行って報告するが真剣に受け止めてくれない。

そこへ現れたレナータが、前夜に録画したヌリアの動画をアマイアに見せ、ますますHPCへの不信感が募っていく。アマイアが寮に戻ると部屋が荒らされていて、ペケから取り上げた薬が消えていた。

独自の聞き込みで競輪選手たちの後をつけたアマイアは山小屋に辿り着き、そこで選手たちがドラッグを手にしている現場を目撃。反ドーピング機構に電話をし、HPCの疑惑ついて通報する。

反ドーピング機構の調査

翌日、体格が十分でないという理由でHPCを去ったクリスティアンが、わずか2週間で超ムキムキバディになって戻って来て、アマイアはドーピングを疑う。

ところが、クリスティアンの検査の結果は陰性。しかも、ドーピングしていないアマイアのロッカーから薬が見つかり、チームを外されてしまう。一方でアマイアは、ヌリアがアンドラ公国にいるとの情報を得る。

そして、3人目のスポンサー選手にクリスティアンが選ばれたことを知り、その座を狙っていたアマイアは動揺する。



輝くはずの舞台で壊されていく夢

ロケは、彼氏との写真をSNSに投稿したことが理由で、チームキャプテンから外されていた。メディアの取材で同件について、「ラグビー協会とスペインのスポーツ業界は、同性愛者に対する偏見が強い」と発言し、HPCで罰則の対象になっていた。しかし、ウーゴは彼をスターにすることを約束し、ロケは2人目のスポンサー選手に選ばれる。

ところが、取材ではラグビーのことではなく、同性愛のことや恋愛のことばかり質問され、ドーピング問題で傷ついたイメージをアップするために利用されているのではないかと不満を覚える。

ロケは、練習中にこけた時に誰かに手の甲を踏まれて骨折。ワールドカップに出場できなくなる。

アマイアは、ヌリアの私物の中からオリンポのスポンサー選手に贈られるネックレスを発見。彼女が、スポンサー選手に選ばれていたことが明らかになる。

栄光の裏で崩れゆく肉体と信念

スポンサー選手に選ばれたソエとロケ、クリスティアンは、アンドラ公国にあるオリンポの本社で開催されるイベントに参加することになる。それを知ったアマイアはヌリアを探すために現地へ向かい、本社に潜り込む。

医療棟に連れて行かれたソエは薬を注射されそうになるが拒否し、その時に別の部屋でヌリアを見かける。アマイアはウーゴからスポンサー契約を打診されるが、信用できないといって拒否。HPCへ戻ってプールへ行くと、そこで泳いでいたのはヌリアだった。

ソエはHPCで再会したヌリアと話をし、オリンポで注射される薬は、ドーピング検査で検知されないから大丈夫だと言われる。それを知ったアマイアは、「検知されない薬で誰でもナンバーワンになれるなら、努力が何の意味もなくなる。スポーツは死んだ」と言う。

一方、ワールドカップに出場したいばかりに、ロケもオリンポでドラッグを注射されていた。腕はパンパンに腫れているにもかかわらず、普通にラグビーをプレイできるようになった。だが、チームメイトの同性愛差別発言に激怒し、相手を殴った際に腕が裂けて大量出血し、そのまま倒れてしまう。

真実に立ち向かう者と夢に溺れる者

ソエはウーゴに、「注射を受けなければスポンサー契約を取り消しにする」と脅され、再びオリンポ本社の医療棟へ戻るが、隣の部屋で「元の身体に戻してくれ」と訴えるロケの懇願を耳にする。

陸上競技の試合に参加したソエは優勝するが、注射を受けなかったためHPCから追放される。医療棟で注射されるはずだった薬を盗んでたソエは、スポンサーを辞退したロケとクリスティアンと一緒に、オリンポを告発しようと結託。反ドーピング機構の医師に薬を渡す。

しかし、あれほどオリンポの陰謀を追及していたアマイアは、オリンピックへの夢を諦めきれず、ヌリアとディエットでトーナメントに出場。前代未聞の13回転スピンを見せて大喝采を浴びるが、競技を終えてプールサイドを歩いている時にふらつき、プールに落ちて沈んでいくシーンで終了する。

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『オリンポ』の見どころ・考察(ネタバレあり)

『オリンポ』の主要キャラクター

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以下のポイントに注目して考察を深掘りしていきます。
・正義か勝利か?アスリートの倫理的ジレンマ
・青春群像劇のはずが“絆”はどこへ?
・スポーツ界の偏見に切り込む社会派の要素

正義か勝利か?アスリートの倫理的ジレンマ

名門トレーニング施設を舞台に、エリートアスリートたちの栄光と闇を描いた『オリンポ』は、一見すると青春スポーツドラマの王道に見えます。

しかし、実際はドーピングやスポンサーの闇、偏見と差別、そして“夢”の危うさに踏み込む骨太なミステリードラマ。舞台となる「ハイパフォーマンス・センター(HPC)」は、オリンピックを目指す若者たちが共同生活を送りながら切磋琢磨するという、厳しい現実と憧れを絶妙に融合させた空間。まるで“合宿所×サスペンス”のような設定が、新鮮かつ中毒性のあるドラマ体験を生み出しています。

見どころは、アスリートたちの競争に潜む影。実力や成績だけでなく、スポンサー契約という“裏の評価軸”が存在し、そこに絡む広告業界やスポーツビジネスの厳しさが生々しく描かれているところがポイントです。

アスリートたちは、SNSマーケティングやイメージ戦略、メディア露出など、現代の“バズる構造”と戦わざるを得ません。こうした現実は、広告収入やブランド価値、イメージコントロールといった、現代のデジタルマーケティングの本質をよく表していると言えるのではないでしょうか。

また、ドーピング問題を通して、「スポーツにおける“正義”とは何か!?」という倫理的な問題を問いかけています。ドーピング検査で検出されない薬って、どこかの国が開発していそうな気がして怖いなと思いました。そんな物が本当に誕生してしまったら、劇中でアマイアが言っていたように努力が何の意味もなくなってしまうし、達成感も得られなくなってしまうでしょう。そうなると、まさに“スポーツは死んで”しまいます。

現実でもスポーツ選手のドーピングは常に問題になっていますが、だからこそ“勝利”の価値を問い直して、何をもって“スポーツマンシップ”と呼ぶのか考える必要があるのではないかと思いました。



スポーツ界の偏見に切り込む社会派の要素

そして、ゲイのラグビー選手、ロケのストーリーも印象的でした。彼氏との写真をSNSに投稿したことでキャプテンを外され、HPCでも“問題視”される流れは、いまだにスポーツ業界に根強く残る同性愛者への偏見をリアルに描いています。

特にモヤッとしたのは、ロケがスポンサーに選ばれてからの展開。注目される機会を得たのに、メディアが質問するのは同性愛や恋愛のことばかり……。ラグビーの実力や競技についてはほとんど触れられず、まるでLGBTQ+の選手が、ただ“ゲイであること”を切り売りされるような扱いに見ていて胸が痛くなりました。

また、ソエのルームメイトであるレナータが、性分化疾患を抱えて治療を受けていると打ち明けるシーンは、スポーツ業界に根強く残るジェンダー問題を取り上げていて好感が持てました。

性別や身体の多様性に対する理解が、まだ進んでいない現状をリアルに映し出し、視聴者に考えるきっかけを与えてくれる重要な場面だと思います。

青春群像劇のはずが“絆”はどこへ?

『オリンポ』は切り口が新鮮で、他の青春ドラマと一線を画しているところが魅力ですが、マイナス点を挙げるとすると、好きになれるキャラクターがほとんどいなかったこと。好感が持てたのはロケと、穏やかで思いやりのある陸上競技のコーチだけでした。

主要キャラクターのほとんどが、相手を卑下したり嫌がらせをしたり常に挑戦的で、青春ドラマで鍵となる“友情”や“絆”がメチャクチャ希薄だったのが残念なポイント。

特に、スポーツはチームメンバーを信頼して、心を一つにして戦う連帯感こそが醍醐味のはず。ところが、『オリンポ』ではそういった要素は描かれず、むしろ疑心暗鬼や裏切り、駆け引きが前面に押し出されていたため感情移入できませんでした。

また、キャラクター同士の関係性も打算的で、友情よりも自己保身や承認欲求が優先されている印象でした。ストーリーがミステリー中心である以上、ある程度は仕方ないかもしれませんが、青春ドラマに期待する友情や共感、絆が感じられなかったのが惜しいポイントでした。

・実話をもとにした異色青春クライムドラマは超おすすめ!



『オリンポ』のまとめ

青春の煌めきに潜む闇を、ミステリー仕立てでじわじわと暴いていく構成は、『エリート』や『13の理由』が好きな視聴者に刺さるはず。

青春×ミステリー×社会派という組み合わせが、他のスポーツ青春ドラマとは一線を画す最大の魅力です。ぜひ、『オリンポ』をNetflixでチェックしてみてください♪

『オリンポ』の視聴方法

『オリンポ』はNetflixで独占配信中! VODの中でもダントツにコンテンツ量が多いNetflix。使ったことがない方も、この機会にぜひ♪

この他にもNetflixでは同シリーズ系統のドラマが多数配信中です。「次に観たい作品が見つからない…」という方は、以下の記事も合わせてどうぞ。

『オリンポ』系のNetflixドラマ3選

『オリンポ』のような、学園ドラマや青春ドラマが好きな人は以下の作品をチェックしてみてください!

・『エリート』
スペインの名門高校で起きる殺人事件を軸に、富裕層と庶民の若者たちの愛憎と秘密が交錯する青春サスペンス。