Netflix『賭ケグルイ Bet』ネタバレあり・なし考察【辛口レビュー】復讐劇とギャンブルの果てに残った“物足りなさ”
出展元:https://www.tvinsider.com
2025.05.16
Netflixドラマ『賭ケグルイ Bet』は、日本の人気漫画を原作にした英語実写リメイク。ギャンブルで序列が決まる学園に転入したユメコが、両親の死の真相を追って復讐に挑む物語です。過激な設定の本シリーズで何が起こるのか、キャスト紹介やあらすじを交えつつ、ネタバレあり・なしでダイブイン(考察)していきます!
【本記事の注目点】
・ネタバレを踏みたくない方へ
前半ではネタバレなしのあらすじ&海外評価・筆者の感想を紹介しますので、安心して作品を視聴すべきかどうか判断してみてください。
・ネタバレありで深掘りしたい方へ
後半ではネタバレありの全あらすじ&見どころ・考察で掘り下げ、作品の魅力を余すことなくお届け! すでに視聴済みの方も、おさらいとしてお楽しみください♪
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『賭ケグルイ Bet』の概要
製作:Netflix
ジャンル:ミステリー、サスペンス、心理ドラマ、犯罪
配信日:2025年5月15日
製作国:アメリカ
話数:全10話
クリエイター:サイモン・バリー
『賭ケグルイBet』のあらすじ(ネタバレなし)
賭け事のトラブルが理由で学校を退学になったユメコ・カワモトは、ギャンブルで生徒のヒエラルキーが決まる聖ドミニク学園に転入する。彼女は幼少時代に両親を車の爆破で殺された悲劇的な過去を持ち、同校に通っていた両親の死の真相を突き止めるために転入したのだった。
子どもの頃から母親にギャンブルの知識とスキルを叩き込まれたユメコは、ギャンブルで熾烈な競争を繰り広げる学園で徐々にランキングを上げていき、ある手掛りをもとに真相へ近づいていくが、学園を牛耳る生徒会と理事会の陰謀が立ちはだかる。
果たしてユメコは、両親の復讐を遂げることが出来るのか……!?
・犯罪&コメディ&サスペンス要素が好きな人へ
『賭ケグルイ Bet』海外での評価&筆者の感想(ネタバレなし)
【IMDb】
10点中5.5点
【筆者の評価】
総合評価:★★☆☆☆
ストーリー:★★☆☆☆
エンタメ性:★★☆☆☆
感動:★☆☆☆☆
まず最初に、筆者は原作の漫画やアニメシリーズ、日本版のドラマシリーズ&映画を未読・未観賞なため、そういった作品との比較は出来ない点を断っておきます。
したがって本作は、“原作の翻案”というより“日本作品のハリウッド版”として捉えて視聴しました。いかにも漫画的な発想と独特な演出が目を引き、「どんな物語が展開されるのかな?」と期待していました。
ところが、生徒会のメンバーであるキーラやスーキー、ドリーといった脇役の多くが過剰なほどマンガチックに描写されていて、「ここまでやる必要はある……!?」との感想を抱いてしまった筆者。ハリウッド版の世界観に、最後まで入り込むことが出来ませんでした……。
物語はユメコの復讐計画と真犯人の正体の追及が軸となり、その展開を支える形で、学園の生徒たちによる賭けバトルが繰り広げられます。賭けに負けた者は勝者の“ペット”に成り下がるという設定で、毎回異なるタイプの賭けが登場する点は新鮮ですが、勝敗後の展開がワンパターンで、やや単調に感じる部分もありました。
本シリーズは全10話構成ですが、似たような展開を半分に減らして、もう少し全体をコンパクトにまとめた方がスッキリした流れになったのではないでしょうか。
また、最終話で明かされる謎の多くはある程度予想がついてしまい、サプライズや衝撃は大きくなく、全体的にやや物足りなさが残る結末だったと感じました。
・『賭ケグルイ Bet』が好きな人は、このドラマシリーズも気に入るかも…!?
『賭ケグルイ Bet』の登場人物&キャスト
ユメコ(ミク・マルティーノ)
幼少時代から母親にギャンブルの知識とスキルを仕込まれ、聖ドミニク学園で両親を殺された復讐計画を進める。
ライアン(アヨ・ソランケ)
ユメコが学園で最初に仲良くなった生徒で、彼女に想いを寄せている。
マイケル(ハンター・カーディナ)
学園の方針に批判的で孤独を好むタイプ。ユメコとライアンと仲良くなる。
キーラ(クララ・アレクサンドロヴァ)
学園の生徒会長で冷徹な性格。父親は理事会の会長。
リリー(アンウェン・オドリスコール)
キーラの異母姉妹で、いつもマスクを着用していてほとんど喋らない。
メアリー(イヴ・エドワーズ)
ユメコのせいでペットに一度は成り下がるが、立場を救われて仲間になる。
ドリー(アヴィヴァ・モンジッロ)
片目の生徒会員。マイケルに恋している。
スーキー(ライアン・サザーラン)
学園のゴシップをSNSで配信している人気インフルエンサー。
『賭ケグルイ Bet』の全あらすじ(ネタバレあリ)
以下、物語の展開を時系列順にまとめました。
・復讐を胸に聖ドミニク学園に転入したユメコ
・両親を殺したのは“レイ”という男
“レイ”の正体は……
・両親の死の真相が明らかになるが……
復讐を胸に聖ドミニク学園に転入したユメコ
賭け事のトラブルが原因で学校を退学になったユメコ・カワモトは、ギャンブルで生徒のヒエラルキーが決まる聖ドミニク学園に転入する。彼女は、幼少時代に両親のケイコとジョーを車の爆破で殺された悲劇的な過去を持ち、同校に通っていた両親の死の真相を突き止めるために転入したのだった。
ユメコは学園で最初に仲良くなったライアンから、生徒たちの親は国家主席や独裁者、犯罪組織のボスなどの大物ばかりだと説明を受ける。子どもの頃から母親にギャンブルの知識とスキルを叩き込まれたユメコは、ギャンブルで勝ち進んでラインキングを上げ、生徒会に入って両親の死の真相を突き止めようと目論んでいた。
両親を殺したのは“レイ”という男
ユメコは、生徒会のメンバーであるメアリーやスー、ドリーらと対決してランキングを上げていく。ユメコは幼少時代の記憶で、両親が“レイ”という名前の男に殺されたことを知っていた。
ユメコは、昔の卒業アルバムで両親と一緒に写っていたレイモンド・ロウという同級生の写真を見つけ、彼の右手の甲には痣があった。その発見の後、ユメコのルームメイト、ブレイクの父親が娘のリサイタルを観るために学校を訪問し、ユメコは彼の手の甲に痣があることに気づく。
ユメコは友達になったマイケルに手伝ってもらい、リサイタルの会場でレイモンドの席に爆弾を仕掛けるが、爆弾は不発に終わってしまう。レイモンドを殺す機会を逃して大きく取り乱したユメコが、リサイタル後にブレイクとレイモンドを追いかけて外へ出ると、二人が乗った車が爆発する。
“レイ”の正体は……
ユメコの両親、ケイコとジョーは学園時代に賭ケグルイ部に所属していて、残りのメンバーは現生徒会員の両親で構成されていた。しかし、ユメコが見つけた賭ケグルイ部の写真にブレイクの父親はおらず、ユメコは犯人を間違えてしまったことを悟る。
その賭ケグルイ部の写真には、現生徒会員の親ではない人物が写っていて、それはマイケルの父親ガブリエルだと判明する。
マイケルは、ユメコから渡された手掛りをもとに昔の賭ケグルイ部について調べ、かつて自分の父親が“レイ”と呼ばれていたことを知る。ユメコの両親を殺したのはマイケルの父親だったのだ。
両親の死の真相が明らかになるが……
賭けで勝ち抜いて、ランキングのトップ10に食い込んだユメコは理事会の年次会に参加し、ブレイクとレイモンドの車を爆破して殺したのは、生徒会長キーラと彼女の異母姉妹リリーの父親だと明らかになる。
さらにユメコは、自分の両親が理事会のメンバーから投資してもらってビットコインを開発し、300億ドルをメンバーから盗んだと伝えられる。また、ケイコとジョーを殺した実行犯は“レイ”ことガブリエルだが、理事会のメンバー全員が関わっていたことも知る。
ユメコはガブリエルに、お金を取り戻すために必要なブロックチェーンの暗号キーをよこせと脅されるが、ユメコは暗号キーなど両親から預かっていない。ユメコは毒を塗った小剣でガブリエルを刺し、「本当のことを言え」と迫る。すると彼は、実はケイコが生きていて、その潜伏先を知っているのは自分だけだと明かすが、場所を伝える前に毒が回って命を落としてしまう。
ラストは、その場からライアンと車で逃げたユメコが「復讐は始まったばかり」だと言い、クリフハンガーで終了する。
・ダークだけどコメディ要素も投入された作品をチェック!
『賭ケグルイ Bet』の見どころ・考察(ネタバレあり)
刺激重視で共感しにくいキャラクターたち
『賭ケグルイ Bet』はギャンブルをテーマに、賭けに負けた者を“ペット”にする奴隷制や劣悪ないじめなど、明らかに青少年向けではない要素が大量に盛り込まれているシリーズ。
本来なら、学園を舞台にしているけど大人の観賞にも耐えうるはずの作品ですが、どのキャラクターにも共感できる側面が少ないうえ、心に訴えかけてくるような設定や展開もなかったため、筆者は楽しめませんでした。
学校を舞台にした青春ドラマでも、描き方や切り口によっては大人が十分に楽しめる作品は数多くあります。例えばNetflixの作品では、『HEARTSTOPPER ハートストッパー』や『私の”初めて”日記』、『13の理由』などです。
思春期の若者の葛藤や成長を繊細に描いた作品は、大人が視聴しても共感できる要素や心を動かされる瞬間がありもの。ですが、『賭ケグルイ Bet』は過激な設定ばかりが先行して、キャラクターの感情や背景の描写が浅く、物語への没入感が得られませんでした。
刺激のみを求める視聴者には合うかもしれませんが、ドラマとしての深みを期待していた筆者には物足りない内容でした。テーマと舞台設定はすごく斬新でユニークなのに、その点をもう少しヒューマンドラマに活かせていれば……と惜しさが残る作品です。
復讐心だけで動くユメコというキャラクター
ユメコは、殺された両親の死の真相を追うために聖ドミニク学園に転入し、「復讐心」のみに突き動かされるキャラクターとして描かれます。
復讐を遂げるためには、自分に想いを寄せているライアンに曖昧な態度を取って翻弄することもいとわず、そんなキャラクター像を好きになれなかった筆者……。普通なら、友達に好意を持たれた戸惑いや、自身の感情との衝突などが描かれるはずなのに、ユメコにはそうした人間らしさが希薄で魅力をを感じられませんでした。
それは、犯人捜しを手伝ってくれたマイケルの父親を、ユメコが一瞬のためらいもなく殺してしまった展開も同じです。ここで友達の父親を殺すことに躊躇したり、別の選択をしていれば人間らしさを感じられたかもしれないのに、深みのない二次元的なキャラクターに終わってしまったのが残念です。
『賭ケグルイ Bet』はシーズン2へ更新される…!?
Netflixが、日本の漫画やアニメシリーズを英語で実写化した作品には、『カウボーイビバップ』と『ONE PIECE』があります。筆者は、両作ともに原作については未読・未観賞で、前知識ゼロのままでハリウッド版を視聴しました。
その結果、『カウボーイビバップ』は第4話ぐらいで視聴をギブアップしてしまい、『ONE PIECE』は面白くてイッキに最終話まで完走! 案の定、『カウボーイビバップ』は配信から1ヶ月もしないうちに打ち切りが決定し、対する『ONE PIECE』は配信直後にシーズン2の製作が決定しました。
筆者は原作を体験していないので比較しようがないとはいえ、番組の命運を分けたのは、ハリウッド版が原作の世界観を踏襲しつつも、オリジナルなスタイルを築けていたかどうかがポイントになったのではないかと思います。
おそらく『賭ケグルイ Bet』は、そのポイントを押さえられていなかったのではないでしょうか。ラストは、ユメコの復讐劇がさらに続くことが示唆されたクリフハンガーで終了しましたが、筆者はシーズン1でキャンセルになる方に1000円賭けます(笑)。
『賭ケグルイ Bet』のまとめ
日本の人気漫画を英語で実写化した『賭ケグルイ Bet』は、過激な設定が先行して、キャラクターの感情表現や人間味が薄く二次元的で、まさに漫画的な印象が強い作品となってしまいました。
とはいえ個人の一意見にすぎないので、原作の漫画やアニメシリーズが好きな人は比較しながら視聴できるはず。ぜひ、Netflixでチェックしてみてください!
『賭ケグルイBet』の視聴方法
『賭ケグルイBet』はNetflixで独占配信中! VODの中でもダントツにコンテンツ量が多いNetflix。使ったことがない方も、この機会にぜひ♪
この他にもNetflixでは同シリーズ系統のドラマが多数配信中です。「次に観たい作品が見つからない…」という方は、以下も合わせてどうぞ。
『賭ケグルイBet』系のNetflixおすすめドラマ3選
ダークなサスペンス、ゲームやサバイバル系のドラマシリーズが好きな人は要チェックです!
・『イカゲーム』
多額の借金を抱えた人々が命懸けのデスゲームに参加して、巨額の賞金獲得を目指す韓国発のサバイバルスリラー。
・『3%』
貧困層が暮らす“内陸”と裕福な“オフショア”に分断された社会で、20歳になった若者たちが「選抜試験」に挑む近未来サバイバルドラマ。全体のわずか3%しか合格できない過酷な試練が、人間の欲望や倫理観を鋭く問いかけます。
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