Netflix映画『バッド・バディーズ ~最強の?ふたり~』は、優秀な警官になることを夢見るラモンと型破りな元刑事ジェイクが、麻薬密売組織の陰謀に立ち向かうバディ・アクション映画。この記事ではキャストやあらすじの紹介に加え、ネタバレなしの感想とネタバレありの考察でダイブインしていきます!
【本記事の注目点】
・ネタバレを踏みたくない方へ
前半ではネタバレなしのあらすじ&海外評価・筆者の感想を紹介しますので、安心して作品を視聴すべきかどうか判断してみてください。
・ネタバレありで深掘りしたい方へ
後半ではネタバレありの全あらすじ&見どころ・考察で掘り下げ、作品の魅力を余すことなくお届け! すでに視聴済みの方も、おさらいとしてお楽しみください♪
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『バッド・バディーズ』の概要
『バッド・バディーズ』のあらすじ(ネタバレなし)
オランダ発のNetflix映画『バッド・バディーズ ~最強の?ふたり~』の主人公は、警官だった父エシリオを超える日を夢見ながらも、現実では地域奉仕員(CSO)として地域住民の些細な問題に対処する日々を送るラモン。
彼は異母弟ケビンと店をオープンする計画で準備を進めていたが、警官のケビンは麻薬取引の捜査中に銃で撃たれて帰らぬ人になってしまう。
一方、ケビンの相棒ジェイクは、無謀な捜査を上司に咎められて降格となり、CSOに配置されて偶然にもラモンとパートナーを組むことに。こうして新たな相棒となったラモンとジェイクは、ケビンが犠牲になった麻薬取引の真相に迫っていく──。
果たして、二人は事件の黒幕を暴くことが出来るのか……!?
『バッド・バディーズ』海外での評価&筆者の感想(ネタバレなし)
『バッド・バディーズ ~最強の?ふたり~』は、異なる背景と性格を持つ二人がバディを組む、王道の“凸凹コンビ”もの。
警官の父を持つ地域奉仕員ラモンと、降格処分でCSOに回された元刑事ジャック(ジェイク)が、ケビンの死の真相を追いながら事件に巻き込まれていく……という設定は、『ラッシュアワー』や『リーサル・ウェポン』など、過去の名作バディムービーを彷彿とさせます。
ですが、残念ながら本作は、ありがちな展開やキャラクター設定の浅さが否めません。ラモンとジャックのやり取りはテンポこそ悪くないものの、性格の違いによるぶつかり合いも定番の範囲を出ず、予想を裏切るような展開や、観る者の心を掴むサプライズはほとんどありませんでした。
また、麻薬組織との対立や仲間の裏切りといった要素も盛り込まれてはいますが、どれもこれも“どこかで見たことがある”という印象。悪くはないけれど、特別良いとも言いがたい……そんな一歩足りない感が全体に漂っています。
その辺を、『バッド・ボーイズ』シリーズや『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!』といった映画と比較しながら深堀りして、その他にも気になった点を「ネタバレありの見どころ・考察」で語っているのでチェックしてみてください♪
とはいえ、バディものが好きな人にとっては、それなりに楽しめる一本ではあると思います。斬新さや深みを求めなければ、気軽に観られるエンタメ作品としてアリかもしれません。
『バッド・バディーズ』の登場人物&キャスト
ラモン(ジャンディノ・アスポラート)
地域奉仕員(CSO)で、優秀な警官だった父親を超えることを夢見ている。異母弟ケヴィンが殉職し、ジャックとタッグを組んで黒幕を追い詰めることになる。
ジャック(ヴェルナー・コルフ)
捜査課の刑事でケヴィンの元相棒。CSOに降格になり、ラモンと組むことになる。
ディラン(フロランス・フォス・ヴェーダ)
CSOのメンバーで、ラモンが想いを寄せている。
ブルーノ(フェルディ・ストフメール)
ラモンの異母弟。一緒にバーをオープンする計画を立てていて、準備を進めていた時に殉職する。
ダフネ・デ・コニング(ロマーナ・フリーデ)
ディランの上司で捜査課の部長。
『バッド・バディーズ』の全あらすじ(ネタバレあり)
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・新しい相棒
・ラモンとジャック、それぞれの正義
・暴かれる裏社会と弟の正体
・黒幕の正体
・ラモンとジャックの決断
新しい相棒
地域奉仕員(CSO)のラモンは、警官だった父エシリオを超えることを目標にしているが、実際には犬のフンの取り締まりなど軽微な業務ばかりをこなす特別執行官として働いている。
一方、刑事のジャックはコカインの取引を摘発する任務中に銃撃を受け、相棒のケビンを失ってしまう。ケビンはラモンの異母弟だった。その後、ジャックはラモンの所属する部署のCSOに降格となり、彼の新しい相棒となる。
ある日、ジャックとラモンは、過去の事件現場近くでコカインを乗せた車を運転していたティーンエイジャー2人と遭遇し、追跡の末に検挙。しかし、彼らはすでに罰金を払っていて釈放されていた。ジャックは「二人が警官殺しに関与している」と疑い、ラモンは「自分の弟ケビンのことを言っているのか?」と訊いて、ジャックがケビンの相棒だったことを知る。
ラモンとジャック、それぞれの正義
その夜にラモンは、街の建物に描かれている父の壁画の前でチンピラのリチーに襲われ、制服と父親の形見のネックレスを奪われるが、立ち向かってネックレスを取り返す。ジャックと組み始めて、ラモンは少し任務中も強気に出るようになる。
一方ジャックは、ケビンが殺された夜の任務に疑念を抱き、同僚を追及。すると上司デ・コニングの名が浮上し、ジャックは真相を疑い始める。
暴かれる裏社会と弟の正体
コンビは任務中に、例のティーンエイジャー二人と再び遭遇。脅しをかけたところ、二人にコカインを運ばせたのはブカーリ家だと判明する。ブカーリは家はゴーカート場のドリフトキッカー社を運営しているが、その裏の顔はロッテルダム最大のコカイン密売一家だ。
ドリフトキッカー社のオフィスに忍び込んだラモンとジャックの調べにより、ブカーリ家は敵対する車ディーラーを営むスミッツ家から被害を被っていることを知る。
スミッツ家の車ディーラーを訪れたコンビは、ブカーリ家とスミッツ家が幽霊屋敷で会合を開くことを突き止める。会合の場にはCSOの他のメンバーも応援に駆け付けるが、トラブルの発生で銃撃戦に発展。
ジャックとラモンはスピッツから、ケビンがマフィアに買収されていて、退職資金を貯めていたという話を聞かされて衝撃を受ける。ケビンは汚職刑事だったのだ。ジャックは上司のデ・コニングを疑っていたが、それは元相棒だったことが明らかになる。
黒幕の正体
二人がその話をしているところへ、走り過ぎた車が手榴弾を投げ込み、危機一髪で逃れる。車のナンバーをCSOの仲間と共有し、車が警察署に向かったこと分かる。警察の駐車場で、二人はジャックの元仲間である警官グイドとリジー、フアンに捕えられてしまうが、何とか脱出する。この3人が麻薬を密売していたのだ。
ラモンは、思いを寄せているディランと話をしている時に、ちょっとした騒動が起きた時に常に実業家のファン・デル・フルートが現場にいたことを想い出す。そこでフルートが建設中のビルに潜入するが、彼の部下に捕らえられてしまう。すべて裏で糸を引いていた黒幕はフルートだったのだ。
ラモンとジャックの決断
ラモンがフルートのビルへ向かったことを知ったジャックは、ティーンエイジャー2人に協力してもらってビルに忍び込むと、マフィア一家が会合を開いていた。
ジャックはラモンを救出し、二人はフルートの部下と格闘を繰り広げ、フルートは到着したCSOの他のメンバーに逮捕される。
全てが解決し、ラモンはディランと恋仲になっていた。彼女に連れて行かれた場所で、ラモンは彼の活躍を称えるサプライズパーティーで迎え入れられる。デ・コニングはジャックとラモンに、喜んで捜査課に迎え入れると言うが、二人はCSOに残ることを選択して映画は終了する。
・絶対お気に入りのアクションドラマが見つかる♪
『バッド・バディーズ』の見どころ・考察(ネタバレあり)
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・『バッド・バディーズ』が抱える物足りなさ
・物語のテンポとサプライズ不足がもたらす平凡さ
・笑いどころか違和感を呼ぶ下品なシーン
『バッド・バディーズ』が抱える物足りなさ
黒人コンビを主人公にした『バッド・バディーズ ~最強の?ふたり~』は、字幕には起こされていませんでしたが、劇中でラモンが『バッド・ボーイズ』の決めセリフ「Bad for life」と言っていたので、このシリーズの影響を色濃く受けていることは間違いないでしょう。
軽快なバディ映画の定番を押さえてはいますが、ただ全体を通して感じるのはキャラクターの掘り下げ不足です。
ラモンとジャックは、性格の違いで反発し合うというバディ映画の王道をなぞってはいますが、二人の内面や葛藤などが十分に描かれていません。なので、彼らの衝突や和解に共感しづらくて、視聴者として感情移入しにくい印象を持ちました。
例えば、『ラッシュアワー』のリーとカーター、英警官コメディドラマ『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!』のニコラスとダニーは、それぞれに強烈な個性とバックグラウンドがあって、そのぶつかり合いから自然に笑いやドラマが生まれていたところがポイント。彼らは単に“違う”だけではなく、互いの人間性に踏み込んでいくことで関係性が深まっていました。
一方で『バッド・バディーズ』は、キャラの表面的な違いに留まり、内面の葛藤や成長が描ききれていないため、結果として二人のタッグの魅力が半減しているように感じました。
ジャックと組んだことで、ラモンが住民の取り締まりで強気になっていくシーンなどがありましたが、演出不足と掘り下げ不足で二人の共鳴が響いてきませんでした。
物語のテンポとサプライズ不足がもたらす平凡さ
また物語の展開についても、「ありがちなパターン」をなぞるだけに終始している点が残念です。組織の抗争や汚職、銃撃戦、裏切りといった要素は十分に盛り込まれていますが、どれも既視感が強くて斬新さや意外性に欠けています。
『ラッシュ・アワー』はアクションとコメディを絶妙に融合させ、意外な友情や文化ギャップを活かしたサプライズが魅力でした。『ホットファズ』に至っては、パロディや強烈なブラックユーモアを交えつつ、しっかりしたサスペンス構造が秀逸で観る者を飽きさせません。
それに比べて、『バッド・バディーズ』は簡単に展開が読めてしまって、緊張感が続きにくいのがマイナス点。キャラクター同士のやり取りや関わり合いも表面的で、もっと心に響くバディドラマを求める人は物足りなさを感じるはず。
さらに、ラモンとジャックの成長や絆の強まりも薄く、物語のクライマックスでの感動やカタルシスが弱いのも惜しい点です。バディ映画に欠かせない「二人が真のパートナーになる瞬間」がもう少し丁寧に描かれていれば、より強い印象を残せたと思います。
最近では、元アクションスターの米国大統領と堅物の英国首相という、ありそうでなかった異色コンビが活躍するAmazon映画『ヘッド・オブ・ステイト』を高く評価した記事を投稿しました(考察記事はこちら)。
本作は、NATOを揺るがす陰謀に挑む二人のバディぶりが見どころで、バディ映画としての完成度の高さが際立っていました。やはり、“バディ物”という定番をテーマにするなら、新しい要素や意外性でどれだけ差別化できるかが鍵になります。
王道をなぞるだけでは、観る側の心を動かすには少し物足りないのは当然と言えるでしょう。
笑いどころか違和感を呼ぶ下品なシーン
本作でひとつ気になったのが、明らかに時代遅れと感じさせる下ネタの描写です。
特に、CSOの男性メンバーがロッカールームで全裸になり、女性メンバーの前で自分の“塔”について誇らしげに語るシーンは、あまりに古臭いうえ、時代性に逆行していて正直ドン引いてしてしまいました。
軽快なバディ映画でフェミニズムについて語るつもりはありませんが、こうした80年代的な男性優位のユーモアがいまだに“笑い”として成立するという感覚は、さすがに時代錯誤と言わざるを得ません。
バディ映画は古い型を踏襲しがちですが、こういう部分こそアップデートしてほしいと感じました。
・異色コンビが活躍するおすすめのバディ映画!
『バッド・バディーズ』のまとめ
キャラクターや物語の掘り下げ不足、時代遅れな描写など気になる点は多いものの、バディ映画としての基本は押さえられています。
新鮮さや深みを求めると物足りなさを感じますが、気軽に楽しめる一本です。辛口レビューになりましたが、バディ物が好きな方はNetflixでチェックしてみてください!
『バッド・バディーズ』の視聴方法
『バッド・バディーズ ~最強の?ふたり~はNetflixで独占配信中! VODの中でもダントツにコンテンツ量が多いNetflix。使ったことがない方も、この機会にぜひ♪
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