麻薬密売組織のリーダー、ホセフォ・ウリアスの怒りを買ってしまったメキシコ軍の大尉アルマンド・ゲレロ率いるコウモリ隊が、休暇中に組織の猛攻で追い詰められていく様が、壮絶アクション満載で描かれるシリーズ。本作で何が起こるのか、ネタバレあり・なしでダイブイン(考察)していきます!
『カウンターアタック』の概要
『カウンターアタック』のあらすじ
ある親子が田舎道をバイクで走っている時に、メキシコ軍のピエドラス・ネグラス隊のメンバー10名の遺体を発見する。部隊は、麻薬密売組織のリーダー、ホセフォ・ウリアスを追っている最中に行方不明になっていた。
メキシコ軍の大尉アルマンド・ゲレロが率いる精悦部隊のコウモリ隊は、ホセフォの部下を捕え、自由を約束する代わりに寝返らせる計画を立てる。そんななか、正義のために戦うはずの人物がホセフォに協力し、休暇中のアルマンドたちが絶体絶命の危機に追い込まれてしまう……。
『カウンターアタック』海外の評価&筆者の感想(ネタバレなし)
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『カウンターアタック』は、Netflixで2月28日に配信開始になった途端、たちまちランキングの10位に食い込んだメキシコ発のアクション映画。ハリウッド作品でもなければ有名俳優も出ていないのに、「一体どんな映画なの!?」と思って視聴を開始しました。
本作は、いきなり怒涛の銃撃戦で幕を開け、そのシーンに至るまでに何が起きたのか説明するために72時間前に一旦戻り、オープニングに追いつくというスタイルで描かれます。
1時間23分という、『ゲーム・オブ・ザ・スローンズ』や『ストレンジャー・シングス』などの長めのエピソードぐらいの尺で、映画としては超コンパクト。しかも、ストーリーも「善人の軍人グループV.S.麻薬組織」という王道な設定ながら、テンポの良い展開と緊張感あふれるアクションで、一気に最後まで引き込んでくれる作品です。
余計な要素をそぎ落とし、シンプルながらもキャラクターの魅力をしっかり描いているため、見応えは十分。まさに、「短時間で楽しめる濃密な映画体験」と言えるのではないでしょうか。
Netflixのドラマ『ナルコス』や、『ナルコス:メキシコ編』が好きな人におすすめの映画です!
『カウンターアタック』のキャスト
『カウンターアタック』の全あらすじ(ネタバレあり)

出展元:https://www.informador.mx
メキシコ軍の大尉アルマンド・ゲレロは、部下であるポロの誕生日を祝うために仲間4人と一緒に休暇を取り、ドライブしていた。そこへ、いきなり突っ込んできた車に乗っていたグループに銃撃され、何とか応戦して危機を脱する。
その72時間前。ある親子が麦畑をバイクで走っている時に、死体の山を発見する。それは、メキシコ軍のピエドラス・ネグラス隊のメンバー10名の遺体で、部隊は麻薬密売のリーダー、ホセフォ・ウリアスを追っている最中に行方不明になっていた。
目撃者の親子が誘拐される
アルマンドは仲間とバーから出ると、ある親子が道で連れ去られそうになっていた。アルマンドたちが介入すると、その親子はピエドラス・ネグラス隊の遺体を発見した母親ルシアと娘カルラで、二人を誘拐しようとしていたのはホセフォの弟だった。
そこへ警察も駆けつけて親子は保護されるが、自宅へ戻った二人の家にホセフォの部下が押し入り、親子は誘拐されてしまう。
ホセフォを追うコウモリ隊
アルマンドが率いる精悦部隊のコウモリ隊は、ピエドラス・ネグラス隊を殺した主犯で、ホセフォの部下であるエドゥアルド・メディナを捕える計画を立てていた。その後、エドゥアルドが通うレストランに張り込んでいた部隊は、彼を逮捕する。
アルマンドは軍の上司に呼び出され、ホセフォ・ウリアスを捕えるチームのリーダーだと長官に紹介される。長官はアルマンドを飲みに誘うが、アルマンドは部下の誕生日を祝うため、しばらく休暇を取ると伝える。
裏切者だった長官
その頃、ホセフォが密会していたのは、なんと軍の長官だった。彼は、ホセフォにアルマンドたちが休暇を取ることを伝え、コウモリ部隊を追跡できるスマホも渡す。
そんなこととは露知らず、久しぶりの休暇に意気揚々と出発したアルマンド一行。その道中で突っ込んできた車に乗っていたグループに襲撃され、映画のオープニングへと繋がる。
アルマンドたちは2回目の襲撃も何とか応戦して敵を倒し、ホセフォの弟の息の根も止める。そこへ加勢として別のチームを率いて現れたホセフォは、弟を殺された怒りと悲しみで激しく動揺し、復讐を誓う。
アルマンドたちは、コウモリ隊の居場所を追跡できるホセフォに瞬く間に追いつかれてしまい、激しい銃撃戦に。スマホで追跡されていることに気づいたアルマンドは全員の電話をその場に残し、さらに、盗んでおいたホセフォの弟のスマホの動画を見て、長官が裏切者だと知る。
追い詰められたコウモリ隊
コウモリ隊がいたのは基地から40キロで、検問所からは20キロの場所。アルマンドはホセフォの弟の電話から陸軍に連絡するが、大佐は連邦知事との聴聞会中で電話に出られないと言われてしまう。アルマンドは、聴聞会が終わったら、大佐に救出を依頼してほしいと伝える。
コウモリ隊は、ホセフォ一味の隠れ家を発見。怪我をしたメンバーの治療をする必要があるため、敵を倒しながら潜入すると、誘拐された母娘がいた。性的暴行を受けていた二人を救出し、一行は迫りくる追っ手を迎える準備を整える。
最後の決戦
ホセフォ一行は、怪我をしたコウモリ隊のメンバーの血痕を辿り、隠れ家を包囲。超強力マシンガンを設置して猛攻を仕掛ける。絶対絶命の窮地に追い込まれるなか、自爆で敵を倒したタンケが散り、最後の襲撃でポロが命を落としてしまう。
部下を失った怒りと悲しみで、アルマンドは素手の勝負でホセフォを倒す。夜明けとともに陸軍のヘリが到着し、生き残ったメンバー3人と親子が救出される。
『カウンターアタック』の見どころ・考察(ネタバレあり)
コウモリ隊の絆が熱い!
本作がユニークだと思ったのは、キャラクターの背景についてほとんど説明がないのに、コウモリ隊5人の絆の固さと信頼の厚さが、手に取るように分かったところです。
主人公アルマンドですら、どういう生い立ちなのか、これまで軍でどんな活躍をしてきたのかといった説明もなく、5人の馴れ初めなども不明なまま。メンバーのバックストーリーといえば、コンボが最愛の妻との再会を楽しみにしていること、ポロの兄がハリケーンに巻き込まれて亡くなり、形見の腕時計を肌身離さず着けていることぐらい。
それなのに、なぜか5人の関係やキャラクター像に薄っぺらな印象がゼロだったのは、数少ないセリフの厚みと演出のなせる技でしょうか。銃撃戦後に、生存確認で各自が自分の名前を叫ぶ時、しばらく返事がないとメンバーの顔に浮かぶ心配の色に愛情が滲み出ていて、彼らがただの戦友ではなく、深い絆で結ばれた仲間であることが伝わってきました。
そして、ようやく返事が聞こえた時の安堵の表情も、緊迫した状況に温かみをもたらしていたと思います。
マッチョすぎない軍人像に好感!
普段、ハリウッド作品を観賞することが多い筆者は、まずコウモリ隊のメンバーがマッチョすぎないところに好感を持ちました。
ハリウッドの戦争映画に登場する軍人といえば、筋肉ムキムキマッチョマンや、ガッツリとタトゥーを入れまくった、いかつ~いニキたちが定番(笑)。ところがコウモリ隊は、そんなハリウッド版の軍人像からかけ離れていて、ポロにいたっては高校生にしか見えないレベル(笑)。
ステレオタイプでない軍人像だからこそ、逆にリアリティが増したと言えるかもしれません。彼らは完璧なヒーローではなく、どこか普通の人と同じような雰囲気を持ちつつも、極限状態では確かな技術と覚悟を見せ、そのギャップが戦場の過酷さや、軍人であることの重みをより際立たせていたように思います。
一点ツッコミさせて~!
「それにしても、陸軍の救出が来るのが遅すぎやしないか……!?」と思った視聴者は、筆者だけではないはず(笑)。
アルマンドは、ホセフォに襲撃された時に陸軍に救出を要請し、連邦知事との聴聞会後に大佐が応援部隊を送り込むはずでした。「一体、聴聞会を何時間やっとったん?」とツッコミたくなった筆者(笑)。
それにコウモリ隊が、麻薬組織に襲撃されて窮地に追い込まれている緊急事態ならば、別に大佐以外の上官でも、救出部隊を送ることが出来たんじゃないの~?と思ってしまいました。
『カウンターアタック』のまとめ
本作は怒涛のオープニングで幕を開け、息をもつかせぬ展開でグイグイとラストまで引っ張る壮絶アクションシーンと、仲間の熱い絆と友情を感じられる優秀アクション映画。しかも、1時間23分という短い時間で楽しめるので、ぜひNetflixでチェックしてみてください!

