Netflix『アップルサイダービネガー』どこまで実話に近い!?ベルは精神疾患?

『アップルサイダービネガー』の主人公がスマホを手にている
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Netflixの海外ドラマ『アップルサイダービネガー』は、末期の脳腫瘍を自然療法で治したと偽り、ウェルネス起業家として成功したインフルエンサー、ベル・ギブソンの実話に基づくミニシリーズ。ドラマでは、どこまで事実に忠実に描かれているのか調べてみました!



※本記事はドラマのネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください!

『アップルサイダービネガー』のあらすじ・キャストなどをチェック

こちらの記事(↓)で、『アップルサイダービネガー』のあらすじ・キャスト・考察を、ネタバレあり・なしで紹介しているのでチェックしてみてください♪

『アップルサイダービネガー』はどこまで事実に忠実なの!?

脳腫瘍を偽装していたのは事実

『アップルサイダービネガー』で、アプリ「ホール・パントリー」を立ち上げたウェルネス・インフルエンサーのベル・ギブソンは、脳腫瘍を自然療法で治癒したと嘘をついていました。

The Australianによると、現実でもベルは脳腫瘍を偽装していたとのこと。また、心臓手術を受けて手術中に一時的に死んだたと嘘をつき、2009年に初めて脳腫瘍を患っていると主張したというから、かなりドラマではベルの嘘の歴史が忠実に描かれているようです。

ベルは精神疾患を患っているのか?

筆者は、ベルは病気を装って周囲の注目を集めるミュンヒハウゼン症候群ではないかと思ったのですが、Vanity Fairには、「ベルは、脳腫瘍について嘘をついていたことを精神疾患のせいにすることも簡単に出来たし、刑を逃れる切り札にもなったかもしれないが、断固として精神疾患であることを拒否した」とあります。

脳腫瘍だと偽っていた人が、実際に患っているかもしれない唯一の病気を否定するとは、もう皮肉としかいいようがないですね……。

ベルが実際に科された刑は?

出展:http://www.theaustralian.com.au

『アップルサイダービネガー』のラストでは、「2017年にオーストラリアの連邦裁判所は、誤解を招く行為でベルを有罪にした」との説明がありましたが、ベルは刑務所に収監されたのでしょうか?

その辺を調べてみると、2016年に豪ヴィクトリア州の消費者センターが、メルボルン連邦裁判所でオーストラリア消費者法違反でギブソンを訴えたそう。ベルは審問に一切出席しませんでしたが、責任を問われ、健康と慈善寄付に関する誤解を招く行為で41万豪ドルの罰金を科されました。しかし、それから9年経った今も、ベルは1セントも罰金を払っていないと報じられています。

ベルは慈善団体に献金したのか?

劇中では、ベルが慈善団体のため行ったキャンペーンで集めた資金を入金しなかったと描かれましたが、実際にはどうだったのでしょうか?

Herald Sunによると、ホール・パントリーが成功した後、ベルは慈善団体に30万ドルを寄付したと主張しましたが、そのうち入金を確認できたのは7,000ドルのみだったとのこと。しかも、そのお金は、自分が調査されていると知った後に振り込まれたそうです。

連邦裁判所に命じられた罰金さえ1セントも払っていない事実が、すべてを物語っているのではないでしょうか……。



ミラ・ブレイクは実在の人物ではない

Sydney Morning Heraldによると、ドラマシリーズでベルとライバル関係にあったミラ・ブレイクは、実在の人物ではないそう。ですが、実際にがんで闘病していたオーストラリア人のインフルエンサー、ジェシカ・エインズコフがモデルになっているようです。彼女は、ドラマの描写と同じように自然療法でがんを治療しようとし、29歳で亡くなる前に母親と死別しています。ドラマとの大きな違いは、ジェシカはベルと仲が良く、ライバル関係ではなかったということです。

現実でベルはメディアのインタビューで、ジェシカの葬儀に参列し、ドラマで描かれたように大声を上げて泣き、周囲の注目を集めたと語っていたそう。ミラの葬儀のシーンで、ベルが非常識なレベルでヒステリックに泣いていた描写は、事実に忠実なようです。ドラマでは、ミラに敵対心しか抱いていなかったベルの涙は嘘の塊にしか見えませんでしたが、実際にベルとジェシカが仲が良かったのであれば、現実では親しい友人の死が本当に辛くて、声を上げて泣いてしまったのかもしれません。

現実でもベルを告発したのはシャネル

『アップルサイダービネガー』では、ベル・ギブソンのマネージャーを務めたシャネルが内部告発しましたが、これはほぼ真実だそう。現実で、シャネルはベルのマネージャーではありませんでしたが、ベルが脳腫瘍を偽装していることを知り、その秘密を暴露しました。劇中で、シャネルはミラの親友として登場しましたが、実際にはベル以外のウェルネス・インフルエンサーと親しくしていた事実はないそうです。

また、現実でシャネルがベルについて告発したジャーナリストは、ボー・ドネリーとニック・トスカーノという人物で、彼ら以外のジャーナリストは、シャネルの主張に耳を傾けて報道しようとはしなかったのだとか。後にドネリーとトスカーノは、ベルについて執筆した「The Woman Who Fooled the World」という著書を出版しました。

ベルの母親は現実でも取材で娘の秘密を暴

劇中ではベルの母親がメディアの取材に応じ、娘が昔から病歴を偽っていたことを暴露する展開となりましたが、現実ではどうだったのでしょうか?

news.com.auによると、母親のナタリー・ダルベロは、べルが周囲の人々に語った話の大半が嘘だと明かし、幼い頃から母親と兄弟の面倒を見ていたというベルの主張も、事実ではないと取材で語っています。ドラマと同じく、母親のインタビューによりベルに対する疑念が深まり、彼女は窮地に立たされることになったそう。

世の中には子どもをかばうために、殺人の罪でさえ自ら被る親もいるというのに、「この親にしてこの子あり」ということでしょうか……。ちなみに、母親が多発性硬化症を患っているのは事実です。



ベルは年齢も詐称していた

ベルがついていた脳腫瘍の嘘に比べれば、年齢詐称は些細なことですが、実際に彼女は3歳年齢を年上に偽っていたのだとか。劇中でも出産後のママ友の集まりで、「19歳かと思ってた」と言われて「23歳よ」と返していたり、調査が入った時に生年月日にバラつきがあると指摘されていましたが、それはベルが実際に年齢を偽っていたからです。

ということは、ベルは17歳でメルボルンに引っ越して18歳で出産し、21歳でホール・パントリーを始めたことになります。ベルは人間的に許せないところだらけですが、野心旺盛で努力家なところは好感が持てたので、そのエネルギーを最初から正しい方向へ使っていれば、自分が築いた帝国を崩壊させずに済んだかもしれませんね……。

現実でもベルはAppleと契約していた

ドラマの劇中で、ベルは事あるごとに「Appleとミーティングがある」とか「Appleと契約した」と言っていましたが、現実でもAppleと契約を結んでいたとのこと。

2015年にホール・パントリーのアプリはApple Watch にプリインストールされる予定でしたが、それが実現する前にベルの嘘が暴露されたため、Appleは取引から撤退。The Ageによると、Appleはベルとの仕事にかなり意欲的でしたが、嘘が暴露されると直ちに関係を断ち切り、距離を置こうとしたそうです。

それにしても、大企業がスタートアップと契約を結ぶ際、身元調査が甘すぎやしないかと思った筆者。ドラマでは、出版社で有名なペンギン社が、疑惑が浮上したベルに身元調査の一環としてインタビューを行い、ベルが脳腫瘍を治療した医師の名前や医療機関をなど重要な質問に一切答えられなかったのに、ホール・パントリーの料理本の出版を進め、編集者のジュールスが幹部から大目玉を食らっていました。

身元調査のリサーチが甘いのは、ベルを取材したコスモポリタンやElleなどの大手メディアも同じす。『アップルサイダービネガー』を視聴して、なぜ誰もベルの身元調査をしなかったのか、疑問に思っている人は少なくないのでは? どこかのメディアが早くベルの素性を調べていたら、彼女が発信する情報に惑わされる被害者の数を抑えられたかもしれません。

『アップルサイダービネガー』は1話が約60分と長めですが、ストーリー展開と演出がエンターテインメント性に溢れているので、すぐに全6話をイッキ見してしまうはず。見応えある実話を基にした秀作ミニシリーズを、ぜひNetflixでチェックしてみてくださいね♪

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