フランス発のNetflixドラマ『黒き陽注ぐ場所』は、過去を断ち切って息子と逃げてきた若い母親が、就職したばかりの花農園で雇い主殺害の嫌疑をかけられ、謎が謎を呼ぶ展開で秘密が暴かれていく……というストーリー。この記事ではキャストやあらすじの紹介に加え、ネタバレなしの感想とネタバレありの考察でダイブインしていきます!
【本記事の注目点】
・ネタバレを踏みたくない方へ
前半ではネタバレなしのあらすじ&海外評価・筆者の感想を紹介しますので、安心して作品を視聴すべきかどうか判断してみてください。
・ネタバレありで深掘りしたい方へ
後半ではネタバレありの全あらすじ&見どころ・考察で掘り下げ、作品の魅力を余すことなくお届け! すでに視聴済みの方も、おさらいとしてお楽しみください♪
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『黒き陽注ぐ場所』の概要
『黒き陽注ぐ場所』のあらすじ(ネタバレなし)
フランス発のNetflixドラマ『黒き陽注ぐ場所』は、息子レオを連れて逃げるように家を出たシングルマザー、アルバの運命を描いたサスペンスミステリー。
所持金も頼れる家族もいないなか、彼女は「花農園の収穫作業員」の求人メールを受け取り、雇用主ラセール家の農園へと向かう。生活を立て直すために仕事を始めた矢先、農園主アルノーが腹を撃たれて倒れている現場に遭遇し、恐怖から逃げ出したアルバは殺人容疑で逮捕されてしまう。
その直後に、なんとアルノーが遺言状に婚外子として、アルバの名を記していたという驚きの事実が判明する。
証拠不十分で釈放されたアルバは、自ら真相を追い始める。やがて浮かび上がるのは、上流階級ラセール家に潜む深い闇……。次々と暴かれていく秘密は、アルバ自身の“出生の真実”にまで繋がっていく──。
・次に観るサスペンスドラマを見つけた人は要チェック!
『黒き陽注ぐ場所』海外での評価&筆者の感想(ネタバレなし)
『黒き陽注ぐ場所』は牧歌的な田舎の花農園が舞台ですが、その静けさはあくまで表面にすぎず、物語は冒頭から不穏な空気に包まれ、緊張感の高いサスペンスが展開されていきます。
殺人事件の発生をきっかけに、次第に浮かび上がる登場人物たちの裏の顔や、長年伏せられてきた過去の因縁が次々に明かされるドンデン返しの連続で、まさに“謎が謎を呼ぶ”ジェットコースターのようなストーリー展開です。
とはいえ、そのぶん情報量はかなり多め。登場人物も多く、それぞれに秘密や思惑が絡んでいるため、整理しながら観ないと少し混乱する場面があるかもしれません。
筆者は、記事執筆のために細かくメモを取りながら視聴したため流れを把握できましたが、リラックスモードで視聴していると、あまりのスピード感に「今何が起きてるの!?」と混乱してしまうのではないでしょうか。
それでも、アルバが少しずつ真実に迫っていく展開は手に汗握るシーンの連続で、ミステリーやサスペンス好きの心に刺さることは間違いないと思います。1話ごとの引きが強くて次が気になってしまう作品なので、週末のイッキ見にもおすすめです♪
『黒き陽注ぐ場所』の登場人物&キャスト
アルバ・マジエ(アヴァ・バヤ)
レオの母親でシングルマザー。家を逃げ出してラサール家のバラ園で働き始める。
ベアトリス・ラセール(イザベラ・アジャーニ)
アルノーの妻で、香水会社のバラ園買収を強く推している。
マチュー・ラセール(ギヨーム・グイ)
ラセール家の長男で酒と薬に溺れている。
マノン・シモニ(クレール・ロマン)
マチューの娘で一家に反発している。アルバの弁護を申し出る。
リュシー・ラセール(ルイーズ・コルデフィ)
ラセール家の長女。一家で一番常識をわきまえている人物。
アルノー・ラセール(チボー・ドゥ・モンタランベール)
農園主。彼の殺害後に、遺言に婚外子アルバの名前を加えていたことが明らかになる。
ヴァランタン(サイモン・エーラッハー)
農園の管理人で、真実を追求するアルバに手を貸す。
『黒き陽注ぐ場所』の全あらすじ(ネタバレあり)

出展元:https://www.tribute.ca
・殺人容疑をかけられたアルバ
・アルバを追い詰める一家の陰謀
・ラセール家の対立とアルバに迫る危機
・祝宴の裏で進む暗殺計画
・アルバの実父が明らかに
・すべての真実が明るみに
殺人容疑をかけられたアルバ
アルバは息子レオを連れて逃げるように家を出て、花の収穫求人に応募してラセール家が営むバラ園へ向かう。だが当主アノールは面接メールを送っていないという。しかし、アルバが証拠を見せて雇用が決定するが、翌日アノールに呼ばれて家を訪ねると、彼は腹を撃たれ瀕死の状態になっていた。怖くなって逃げたアルバは警察に捕まり、彼女に窃盗などの前科があること判明する。
そんななかアルノーの遺言が公開され、婚外子アルバの名があり、妻ベアトリスや子どもたちは衝撃を受ける。容疑者として拘束されたアルバのもとに孫娘マノンが現れ、弁護を申し出る。彼女は家族がバラ畑の売却を巡って対立していると明かし、凶器が見つかっていないためアルバは釈放される。
リュシーはトイレのタンクで銃を発見し、母を疑う。葬儀中、アルバがラセール家に忍び込んでパソコンにアクセスすると、自分と息子の写真が保存されていた。
彼女が家から出ると何者かに頭を殴られ、棺桶の中で目覚めてパニックになる。
アルバを追い詰める一家の陰謀
アルノーの死後、妻ベアトリスは香水会社との農園売却を進めようとするが、契約は停滞する。棺桶に閉じ込めらていたアルバは、通りすがり男性に助け出される。生還後、母に電話したアルバは、自分が養子だったという衝撃の事実を知る。
一方、アルノーが多額の借金をしていたことが発覚。バラ園の売却は返済のためだったのだ。
アルバはベアトリスの家に侵入し、家族と対峙する。警察はアルバが過去に恋人殺しの嫌疑をかけられていたことを知る。弁護士マノンは、遺言が6ヶ月前に変更されていた事実を掴み、それを知っていたのはベアトリスだけだったことが明らかになる。
さらに、ベアトリスはレオに「母アルバが犯人」だと吹き込み、アルバには自白書とレオの親権放棄書に署名するよう金で迫る。その頃レオは、母のバッグの中から凶器とされる銃を発見する。それは、銃についてリシューに相談されたマチューが、アルバに罪を擦り付けるために仕込んだものだった。
ラセール家の対立とアルバに迫る危機
回想で、若き日のアルバが、ジャンキーの元恋人ディミトリをバルコニーから突き落とした可能性が示唆される。現在、アルバは息子レオをベアトリスに渡すことを拒絶した。
農園では作業員のノールが失踪し、アルノーの息子マチューが関与した疑いが浮上。マチューは香水会社との契約再開を狙うが、焼失した畑の問題で管理人ヴァランタンを解雇し、家族内の対立が激化する。
アルバの家から凶器発見の匿名通報があり警察が捜索するも、先に銃を見つけたレオが隠していたため見つからない。母子の関係はギクシャクし始める。
アルバとヴァランタンはマチューの行動を調査し、深夜に森へ行っていたことを突き止める。森の隠れ家でカメラや虐待映像を発見するが、何者かに銃撃される。アルバを尾行していた刑事が巻き込まれ、射殺されてしまう。
レオは祖父母の元へ戻る決意を固め、母への不信を募らせる。アルバが警察に情報提供を試みるも脅迫され、レオは祖父と帰宅中に何者かに拉致されてしまう。
祝宴の裏で進む暗殺計画
誘拐されたレオは犯人の車で目を覚ます。一方、農園ではマチューが香水会社との契約を勝ち取るため、大規模なパーティーを開催する。
その頃、アルバは「1時間以内にラセール家の弁護士ジャックを殺さなければ、息子の命はない」という脅迫を受け、パーティーに出席していた。ベアトリスもまた、ギャンブル依存と夫アルノーの借金を盾に、弁護士のジャックに結婚を迫られている状況にあった。
アルバとヴァランタンは、毒入りカクテルでジャックを暗殺しようとするが計画はうまくいかない。しかし最終的に、ベアトリスが渡した酒を飲んだジャックは心臓発作を起こして死亡する。
直後にアルバはレオの居場所の座標を受け取り、レオと行方不明になっていたナールを救出するが、到着したその場でヴァランタンに銃を向けられてしまう。
アルバの実父が明らかに
なんと、ヴァランタンはアルバを棺に閉じ込め、滞在許可証と引き換えに農園の女性たちを襲っていた犯人だったのだ。しかしアルバとノールに反撃され、彼は命を落とす。警察の捜査で、彼が労働者を薬で眠らせ、売春組織に関与していたことも明らかになる。
一方、息子と娘に精神病院に入れられたベアトリスは、かつての因縁ジョセフィーヌに襲われる。
アルバは息子レオに父ディミトリの事件について明かすが、母のせいで父親が死んだと言われて拒絶されてしまう。
調査を進めたアルバは、自分の父親がアルノーではなくマチューであると知る。過去にバラ園で働いていた母ナディアとの関係を秘密にしていたマチューは、アルバがバラ園で働き始めた後にDNA検査で真実を知ったと明かす。
その夜、ベアトリスから「お前の母は102号室にいる」との電話を受けたアルバが精神病院に駆けつけると、ベアトリスが病室で血まみれで倒れていた。
すべての真実が明るみに
若き日のナディアは出産直後、娘アルバをアルノーに奪われた。後に彼女はアルノーに手紙を送り、「アルバにふさわしい未来を与えてほしい」と託す。これがきっかけで、アルノーは遺言にアルバを加えたのだった。
何者かに襲われ、腹を刺されたベアトリスは一命を取り留める。アルバは院内でジョセフィーヌと対面し、ナディアの写真を見せる。マノンとアドリアンの母であるジョセフィーヌはナディアの元友人で、マチューが出産時に不在だったこと、そしてアルノーに口止めされていたことを明かす。マチューとアルバの血縁を知った直後、彼女は精神病棟に閉じ込められていたのだった。
その頃、アルバはアルノー殺害はアドリアンの計画で、その動機が遺産ではなく復讐だったと確信。アドリアンと一緒にいるレオの危機を知り、刑事から銃を奪って現場へと急ぐ。
だが黒幕は、なんとマノンだった。彼女はアルノー殺害、ヴァランタンとの共謀、そしてベアトリス刺傷まですべてに関与していた。アルバに農園の求人メールを送ったのも彼女だったのだ。
別々に二人がレオとアドリアンの元に辿り着くと、アドリアンが誘拐犯だと勘違いしたレオが、彼をアーチェリーで殺害していた。アルバはアドリアンに罪を着せることで決着をつけるよう持ち掛け、マノンは当初拒否するが、結末は描かれず画面が暗転する。
時が経ち、アルバはレオと新生活を送り、新しい買い手が決まったラセール家に再び呼び出される。そして最後に、その買い手として現れたのは──母ナディアだった。そしてラストは、アルバとナディアが目を合わせて微笑み合うシーンで幕を閉じる。
・北欧ノワール・サスペンスが好きな人はチェック!
『黒き陽注ぐ場所』の見どころ・考察(ネタバレあり)

出展元:https://www.netflix.com
・迷走する中盤と収束しきれない終盤
・完璧ではないからこそ共感できる主人公像
・ラセール家の個性が織りなす濃密な人間模様
・牧歌的な風景と不穏な人間模様のコントラスト
迷走する中盤と収束しきれない終盤
『黒き陽注ぐ場所』は、ラセール家の遺産争いとアルバ出自の謎、そして農園で起きていた人身売買という3つのプロットが同時進行しますが、全6話という構成では明らかに詰め込みすぎの印象が否めませんでした。
特に中盤で急浮上するヴァランタンの性的加害と組織的搾取のエピソードは、物語全体の軸から大きく逸れていて、急激にスリラー要素へと傾いたことでトーンのブレを感じた人もいるのではないでしょうか。
さらに、このサブプロットが唐突に処理された後に、また物語はラセール家の内紛や血縁の真相に急旋回します。主要キャラクターの動機や背景が説明不足のまま展開される場面も多く、全体的にプロットの配分や構成にもう少し整理が必要なのではないかと感じました。
特に終盤、マノンが黒幕であることが明かされる流れも、伏線不足のまま一気に語られてしまった印象で、説得力よりも驚きの演出が優先された感がありました。力のある素材とテーマが揃っていただけに、もう2話分の尺があれば、もっと深く丁寧に描けたのではないでしょうか。
完璧ではないからこそ共感できる主人公像
主人公アルバは、過去に重い罪を背負いながらも、息子レオを守るために必死に生きる姿が描かれ、その強さと脆さのバランスが魅力です。元恋人をバルコニーから突き落として殺したとされる過去は、決して軽いものではありませんが、アルバの行動は常に息子を第一に考えていて、その“母としての本能的な善意”が視聴者の共感を呼びます。
完璧なヒロインではないからこそ、アルバの葛藤や選択には現実味があると思います。かつて息子を守るために、暴力的な元恋人を突き落とした疑いをかけられた彼女は、被害者であり加害者でもある曖昧な立場に立たされています。その過去に向き合いながらも、必死に息子の信頼を取り戻そうとする姿に応援したくなりました。
ラセール家の個性が織りなす濃密な人間模様
また、アルバが巻き込まれるラセール家の内紛も、本作の大きな魅力のひとつです。母ベアトリスの冷酷さ、長男マチューの野心と弱さ、娘リュシーの繊細さ、そして孫娘マノンの知性と執着──彼らはそれぞれが異なる価値観を抱えながら、家族というしがらみの中で衝突し続けます。
時に愛情深く、時に猜疑心に満ちた関係性は、単なる遺産争いを超えた人間ドラマとしての深みがあり、そんな一家のダイナミズムに筆者は引き込まれました。
ですが、先述したように全6話という構成では、その複雑な人間関係やキャラクターたちの背景を十分に掘り下げるには、やや窮屈だった印象が否めません。アルバの内面や、ラセール家それぞれの過去や動機に、もう少し丁寧に光を当てる時間があれば、物語にさらなる厚みと感情的な深みが加わったのではないでしょうか。
あと2話分の余白があれば、それぞれのキャラクターがもっと立体的に描かれ、視聴者により強く響く物語になったのではないかと感じました。
牧歌的な風景と不穏な人間模様のコントラスト
舞台となるプロヴァンス地方の美しい牧歌的な農園は、作品全体に静けさと優雅さをもたらす一方で、その風景とは裏腹に、ラセール家が抱える闇や陰謀と鮮烈なコントラストを生み出しています。
自然豊かな田舎に存在する閉ざされた農園では、富裕層のラセール家と、住み込みで働く季節労働者たちの間に明確な階級差があり、その緊張関係も物語の不穏さを支える重要な要素になっていると思いました。
また、労働者の搾取や黙殺される人権といった社会問題にも触れていて、階級社会の歪みを捉えた点も見どころのひとつとなっています。
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『黒き陽注ぐ場所』のまとめ
『黒き陽注ぐ場所』は、美しい農園を舞台に、家族の秘密と過去の罪が交錯する濃密なサスペンスドラマ。
支配と搾取、そして階級間の断絶という社会的テーマも描かれ、ドンデン返しの連続で息をつかせない展開が見どころ。ミスタリーやサスペンスが好きな人には刺さるポイントが多い作品なので、ぜひNetflixでチェックしてみてください♪
『黒き陽注ぐ場所』の視聴方法
『黒き陽注ぐ場所』はNetflixで独占配信中! VODの中でもダントツにコンテンツ量が多いNetflix。使ったことがない方も、この機会にぜひ♪
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