Netflix映画『オールド・ガード2』は、不死の命を持つ傭兵たちが人類のために戦うヒーロー・アクション。大きなクリフハンガーで終わった前作に続いて何が起こるのか、続編のキャスト紹介やあらすじを交えながら、ネタバレあり・なしでダイブイン(考察)していきます!
【本記事の注目点】
・ネタバレを踏みたくない方へ
前半ではネタバレなしのあらすじ&海外評価・筆者の感想を紹介しますので、安心して作品を視聴すべきかどうか判断してみてください。
・ネタバレありで深掘りしたい方へ
後半ではネタバレありの全あらすじ&見どころ・考察で掘り下げ、作品の魅力を余すことなくお届け! すでに視聴済みの方も、おさらいとしてお楽しみください♪
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『オールド・ガード』のおさらい
『オールド・ガード』は、グレッグ・ルッカによる同名グラフィックノベルを映画化したシリーズ。物語の中心となるのは、何世紀にもわたり、人知れず戦い続けてきた不死の戦士たち。続編となる『オールド・ガード2』の考察に入る前に、2020年にNetflixで配信された前作を軽くおさらいしましょう♪
『オールド・ガード』のあらすじ
6000年以上にわたり、影から世界を救ってきた不死の傭兵チーム──アンディ、ブッカー、ジョー、ニッキー。彼らは再生治癒能力を持つ不死身の傭兵として生き続け、これまでも歴史の裏側で様々な戦いに加担してきた。
ある任務を受けた彼らは南スーダンで誘拐された少女たちを救出するが、これは旧知の元CIA工作員のジェームズ・コプリーによる罠だった。任務の依頼主で製薬会社のCEOスティーブン・メリックは、彼らの再生能力を映像で捉え、生命科学の商業利用を狙っていたのだ。
同時進行で、アフガニスタンでは米海兵隊員のナイル・フリーマンが任務中に殉職するも復活。彼女の夢を通じてアンディたちと“共鳴”し、彼女が不死身の存在として浮上する。ナイルを現場から救出したアンディはフランスの隠れ家へ連れて行き、そこで、かつて仲間だったクウィンの悲劇や各メンバーの過去が語られる。
その後、メリックの手下たちに襲撃され、ジョーとニッキーが捕えられてしまう。アンディは反撃するが自身の不死能力が減退していることに気づき、“永遠”ではなくなりつつある自身の限界を知る。最終的にジョーとニッキーの救出に成功し、その過程でナイルは初めてチームの一員になる覚悟を固める。
不死を治す方法を見つけるために仲間を裏切ったブッカーは100年の追放刑を受け、ナイルは元の人生を捨ててチームに参加。コプリーは彼らに協力することを約束し、出口の見えない不死者たちは次なる戦いに挑む決意を新たにする。
その直後、かつて水中で永遠に溺れ続けた仲間クインが復活し、続編への布石を残す形で幕を閉じる。
・アクション作品が好きな人は見逃せない!
『オールド・ガード2』の概要
『オールド・ガード2』のあらすじ(ネタバレなし)
『オールド・ガード2』の舞台は、前作のエンディングから数ヶ月後。
アンディたち不死の傭兵チームはCIAの情報をもとに、ある武器商人の拠点に潜入する。しかし、その作戦をきっかけに正体不明のブロンドの女性の存在が浮上し、チームは新たな陰謀と不可解な事件に巻き込まれていく。
一方で、かつて仲間だった者との再会や裏切り、長い年月をともにしてきた彼らの関係にも大きな変化が訪れる。さらに、不死の本質に関する新たな事実が明かされ、チームはこれまで信じてきた常識を覆されることに……。
舞台はヨーロッパ、アジアへと広がり、さまざまな勢力と思惑が交錯する中、チームは自らの存在意義と向き合いながら、仲間を守るために再び武器を手に取る。
予期せぬ襲撃や新たな敵の登場、不死という力の裏に潜む真実と代償に、彼らはどう立ち向かうのか? そして、アンディは不死の力を取り戻せるのだろうか……!?
・お気に入りのアクションドラマが絶対見つかる!
『オールド・ガード2』海外での評価&筆者の感想(ネタバレなし)
『オールド・ガード2』は、前作で不死の力を失い、6000年もの時を生き続けてきたアンディの“その後”がどう描かれるのか、多くのファンが期待していたはず。ところが、いざ蓋を開けてみると、その設定が十分に活かされていたとは言い難く、やや肩透かしな展開だったというのが率直な感想です。
アンディが不死でなくなったことは、チームのバランスや任務への影響、そして彼女自身の精神的な変化を掘り下げる大きなチャンスだったはず。それなのに、続編ではそのドラマ部分に深く踏み込まず、アクション中心のテンポで物語が進んでしまい、“不死を失う”というテーマがあまり響いてこなかったのが残念でした。
もちろん、シリーズでおなじみのスタイリッシュなアクションや、国際色豊かな舞台設定は健在です。ただ、前作が持っていた「人間とは何か?」「生きる意味とは?」というテーマを掘り下げる切り口が希薄で、せっかくの続編なのにドラマ部分の進化を感じられませんでした。
不死の力を持つ者たちが、「死ねるようになった時にに何を選ぶのか!?」という問いに、もっと真正面から向き合ってほしかった……。そんな想いが残りました。
本シリーズは3部作になる予定なので、完結編ではもう少しキャラクターの内面にフォーカスした“濃い続編”に期待したいところです。
『オールド・ガード2』の登場人物&キャスト
アンディ(シャーリーズ・セロン)
6000年以上生きる不死の傭兵部隊のリーダーで、重く孤独な歴史を背負う。
ナイル・フリーマン(キキ・レイン)
アフガンで初めて自分は“不死”だと気づき、傭兵チームに仲間入りした兵士。
ブッカー(マティアス・スーナールツ)
ナポレオン戦争時代からの不死者。シーズン1で仲間を裏切って100年の追放刑を受ける。
ジョー(マーワン・ケンザリ)
ニッキーと恋人関係にある。十字軍時代からの不死戦士。
ニッキー(ルカ・マリネッリ)
元十字軍兵士。ジョーの恋人で、長い時をともに生きてきた仲間。
ジェームズ・コプリー(キウェテル・イジョフォー)
元CIA工作員で、不死者を再び集め任務へと導くキーパーソン。
ディスコード(ユマ・サーマン)
最初の不死者で、クインを操ってアンディと敵対させる。ある思惑を抱えている。
トゥア(ヘンリー・ゴールディング)
2300年生きている不死者。世界中の書物を読んで不死を研究している。
『オールド・ガード2』の全あらすじ(ネタバレあり)
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・クインの復活
・トゥアとの再会
・アンディとクインの再会
・ブッカーの選択
・ディスコードの企み
クインの復活
続編の舞台は、前作のラストから数ヶ月後。アンディたちはCIAの情報をもとに、武器商人コンラッドの屋敷に潜入し、激戦と格闘の末、武器を押収する。しかし、コンラッドは武器の買い手ではなく、単なる仲介役だったことが判明。監視カメラにはブロンドの女性が映っており、ナイルは書物に囲まれた部屋で、その女性が男性を殺す夢を見たと語る。
一方、前作で仲間から追放されたブッカーのもとに復活したクインが現れ、彼を拉致する。
その後、ジョーがアンディたちに隠れてブッカーと接触していたことが発覚。だが、仲間たちがブッカーのアパートを訪れると、そこに彼の姿はなく血痕だけが残されていた。チームは彼の身に何か起きたのではと不安を募らせる。
トゥアとの再会
アンディとコプリーは韓国ソウルを訪れ、2300年もの時を生きる不死者トゥアを尋ねる。彼は世界各地から収集した膨大な書物をもとに、不死の本質を研究していた。トゥアによれば、かつて彼のもとから重要な書物を盗んだ女性ディスコードこそが最初の不死者であり、アンディよりも昔から存在していたという。
その後、アンディはイタリアで仲間たちと再合流するが、ブッカーが姿を消したことを知らされる。しかし間もなく彼から連絡が入り、チームは久々に顔を揃えることに。再会したブッカーは、アンディに「クインが復活した」と伝える。
海からクインを引き上げたのは、ディスコードだった。
アンディとクインの再会
アンディは、ローマでクインと何百年ぶりかに再会を果たす。しかし、クインはディスコードの仲間になっていて、口論の末に二人は格闘になる。
その頃ナイルは、街で見かけたディスコードを追いかけ、彼女から「あなたは最後の不死者であり、もはや新たな不死者は生まれない」と告げられる。
一方トゥアは、ブッカーから「ナイルがアンディと初めて出会った際、格闘の末にナイフでアンディを刺した」という話を聞く。それをきっかけに、アンディが不死の力を失ったのではないかと推測する。そして、最後の不死者に傷つけられた者は不死ではいられなくなることから、ディスコードはナイルを利用して、不死者たちを根絶しようとしているのではないかと考える。
さらにトゥアは、たとえ不死の力を失ったとしても、本人の意思があれば、その力を他者に譲ることができるともブッカーに伝える。
ブッカーの選択
ブッカーは、ひとりで剣の訓練をしていたナイルの相手を務める中、意図的に彼女に傷を負わされる。最後の不死者に傷つけられたことで、彼は不死の力を失う。ブッカーは自らの命と引き換えに、アンディに不死を譲る決意を固めていた。
その頃、クイン率いる部隊がインドネシアのジャカルタ近郊にあるスルポン原子力施設を襲撃。コプリーが入手した映像には、クインが原子炉の炉心に爆弾を設置する様子が記録されていた。これは、アンディたちをおびき寄せるためのディスコードの罠だったが、それでもチームは爆破を阻止すべく現地へ向かう。
しかし敵の分断作戦により、トゥアとジョー、ニッキーはコントロールルームに閉じ込められ、窒素ガスで凍結されたうえ袋詰めにされてしまう。混戦の中、ブッカーはアンディと共に敵と戦い、ついに彼女に不死を受け渡す。アンディの傷が回復し、彼女が再び“不死”として甦った一方で、ブッカーはおとりとなって敵を食い止め、その命を散らす。
ディスコードの企み
仲間を捜していたナイルはクインと遭遇し、激しい格闘の末に彼女を切りつける。その瞬間、クインは不死の力を失ってしまう。そこへディスコードが現れ、ナイルに深手を負わせて捕らえる。
一方、アンディは施設の外でヘリコプターの音を聞きつけて駆け出すが、ニッキーとジョー、トゥア、そしてナイルを連れ去られてしまう。飛び立とうとするヘリの一機に飛び乗ったアンディは、ディスコードを機外に引きずり出して地上で激しい一騎打ちとなる。その最中、ディスコードが不死者ではないことが判明。彼女の目的は、ナイルから不死の力を奪うことだったのだ。
アンディはディスコードと死闘を繰り広げるが、深い傷を負わされて逃げられてしまう。
その後、負傷したクインはアンディから手当てを受け、二人は回復後、連れ去られた仲間を救うために旅立ち、そこで物語は幕を閉じる。
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『オールド・ガード2』の見どころ・考察(ネタバレあり)
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・希薄すぎた不死にまつわる描写
・活かされなかった女性キャラクターの化学反応
・男性キャラクターの存在感が壊滅的
希薄すぎた不死にまつわる描写
『オールド・ガード2』で気になったのが、“最後の不死者”としてのナイルの立ち位置と、ブッカーの“譲渡”の描写が希薄だった点です。
まずナイルについて。彼女が“最後の不死者”であり、これ以上不死者は生まれないという事実は、物語の前提を覆すほどの大きな転換点です。
何千年も不死の運命を背負ってきた仲間たちとは違い、ナイルは不死になってから時間が浅く、その重責に対して何らかの思いを抱いてもおかしくないはず。それにもかかわらず、彼女自身の葛藤や覚悟、あるいはその意味をどう受け止めたかといった描写はほとんどありませんでした。
本シリーズは3部作になる予定なので、第3作でその辺が掘り下げられるのかもしれませんが、第2作でもナイルの心情が描かれていれば、もっとストーリーに深みが生まれたのではなでしょうか。
そしてブッカー。彼は、最後の不死者であるナイルに傷を負わされたことで自ら不死を失い、その力をアンディに譲りました。その展開は物語において重要な山場なのに、あまりにもあっさりと処理されてしまった印象が否めません。
前作でブッカーは、不死を治す方法を見つけるために仲間を裏切り、永遠に生き続けることを終わらせたいと願っていました。なので、彼がアンディに不死を譲った理由は分かるとはいえ、その展開が淡々としすぎていて、彼が命を落とす場面もアンディが不死を取り戻す場面も、感情的な盛り上がりに欠けてしまっていたのが勿体なかったです。
活かされなかった女性キャラクターの化学反応
続編は、女性キャラクターが物語の中核を担う構成で、まさに“女性パワーの炸裂”を予感させる設定でした。6000年を生き抜いたリーダーのアンディ、悲劇を乗り越えて復活したクイン、不死の力を引き継ぐ若き戦士ナイル、そして新たなヴィランとして登場したディスコード。世代も立場も異なる4人の女性たちが交錯し、それぞれの思惑や目的がぶつかる展開は、スリリングなドラマを生み出す絶好の土台だったはずです。
しかし実際には、その“ポテンシャル”があまり活かされていなかった印象でした。アンディとクインの再会は戦闘に重点が置かれて感情的な掘り下げが足りず、ナイルが“最後の不死者”であることや、他者の力を奪うという特殊性も説明的に組み込まれただけで、ディスコードはヴィランとして存在感が発揮できていなかったように思います。
多彩な女性キャラクターが揃っていたからこそ、それぞれの物語がもっと巧みに興味深く絡み合っていれば、シリーズ全体の深みも増していたはず。設定の力強さに対して、ドラマの掘り下げが追いついていなかった点が惜しまれるポイントです。
しかも監督は女性なのに、女性キャラクターの演出が驚くほど淡白で、せっかくの重要な視点が物語で十分に活かされていなかったのが残念でした。
男性キャラクターの存在感が壊滅的
続編では、女性キャラクターが前面に押し出された一方で、男性キャラクターたちがあまりにも“背景”に退いてしまい、物語全体のバランスに物足りなさを感じました。
特に、ニッキーとジョーというシリーズを象徴する同性カップルは、前作では戦闘力と愛の物語の両面で強い存在感を放っていたのに、今作ではストーリー上で推進力をほとんど持たず、もはや“なんか画面に映ってるな”程度の扱いになってしまっています。
また新登場のトゥアも、その設定だけを見れば非常に魅力的なキャラクターです。2300年という圧倒的な寿命を持ち、世界中の書物を読み漁りながら“不死とは何か”を研究してきた知的な学者肌で、戦闘力で勝負する他のキャラクターとは一線を画し、作品に新たな視点を加える絶好のポジションでした。
しかし実際には、彼の知識がストーリーに十分活かされることはなく、彼が語る「不死の起源」や「譲渡の理論」などの設定も断片的で、科学的・神秘的に深堀りされることなく終わってしまったのは残念です。
コプリーに至っては、前作で“裏切り者からの改心”という変化を担ったにもかかわらず、今作では単なる便利屋的な存在にとどまり、物語を動かすキーパーソンとは程遠い状態に。結果として主要な男性キャラクターたちは、物語の中で“お供え物”のようにしか映りませんでした。
続編は女性主導の物語でしたが、それゆえに男性キャラクターにも別軸で深みや存在意義を与えることで、全体の世界観に奥行きを持たせることが出来たはず。その点で、続編は全体的にキャラクターの多層性を十分に活かしきれなかった印象を受けました。
・フィルムノワール系のアクション映画が好きな人へ
『オールド・ガード2』のまとめ
少し辛口なレビューとなってしまいましたが、切れ味のあるスタイリッシュなアクションシーンは見応えがあり、第3作が予定されているので今作は見逃せません!
ぜひNetflixで、『オールドガード2』をチェックしてみてください♪ 第3作での巻き返しに期待したいところです。
『オールド・ガード2』の視聴方法
『オールド・ガード』シリーズはNetflixで独占配信中! VODの中でもダントツにコンテンツ量が多いNetflix。使ったことがない方も、この機会にぜひ♪
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