Netflixが贈る『イカゲーム』は、巨額の賞金をめぐってデスゲームを繰り広げるキャラクターたちの人間ドラマと、衝撃の展開が世界を熱狂させた韓国発のサバイバルドラマ。シーズン3の配信に先駆けて、番組を100倍楽しむ裏話&小ネタ集を紹介したいと思います♪
『イカゲーム』ってどんなドラマシリーズ?
多額の借金を抱えた主人公ギフンは、謎の招待を受けて集まった456人の参加者と共に、子ども向けの遊びを模した命がけのゲームに挑むことになります。
勝てば456億ウォンの賞金、負ければ即死という過酷なルールのもと、登場人物たちは極限状態に追い込まれていくことに……。その中で芽生える信頼や裏切り、そして剥き出しになっていく人間の本質が、時に冷酷に、時にシュールに描かれます。
注目すべきは、子ども向けの単純な遊びが命懸けのゲームに変わるアイロニーと、それに伴う心理戦と社会批評の巧みな織り込み方です。韓国社会に根付く格差や競争主義を下敷きに、人間の欲望や葛藤がリアルに浮き彫りになり、視聴者に鋭い問いを投げかけます。単なるスリルを超え、生き残ることの意味や価値を問いかけるストーリーテリングに引き込まれてしまうでしょう。
俳優陣の熱演と美術&演出の完成度も高く、世界中で熱狂の渦を巻き起こしたシリーズです。
『イカゲーム』を100倍楽しむ裏話&小ネタ集
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殺人人形ヨンヒの由来
シーズン1&2で参加者が挑んだゲーム、「だるまさんが転んだ」のシーンに登場した巨大で超不気味な人形“ヨンヒ”は、1980年代に韓国の教科書に掲載された挿絵からインスピレーションを得たものなのだそう。
ヨンヒ人形は撮影後、忠清北道鎮川のある博物館で公開された後に非公開になり、現在、展示されているのかどうかは不明です。
ちなみに、フィリピンのマニラにあるショッピングモールにはヨンヒのレプリカ人形が設置されていて、来場者が横断歩道を渡らずにモールに入ろうとすると、ヨンヒの目が赤く光るというから怖いですね(汗)。
主なロケ地は鎮川郡
番組の主なロケ地となったのは、ソウルから車で1時間半ほどの距離にある鎮川郡。製作チームは現実世界のロケ地を厳選し、精巧なセットを構築することで、番組のディストピア的な世界を生き生きと表現しました。
鎮川郡の田園地帯は、「だるまさんが転んだ」など象徴的なシーンの撮影背景となり、地元の野原を参加者が次々に射殺されて脱落していく、不気味な“遊び場”へと変貌させたのです。
鎮川郡での撮影により、デスゲームの非現実的な世界と、日常との鮮やかな対比が際立つ仕上がりになったと言えるのではないでしょうか。
・ゲームをテーマにした作品が好きな人へ
サノス役俳優は現実でもラッパー
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シーズン2でサノス役を演じたチェ・スンヒョンは、韓国の人気グループ「BIGBANG」の元メンバー。グループを脱退後、T.O.Pという芸名でソロラッパーとして活動を開始。俳優活動にも力を入れている彼は、『同窓生』や『タチャ~神の手~』などの映画や、『シークレット・メッセージ』といったドラマシリーズにも出演しています。
ちなみに、役名の“サノス”はマーベル映画『アベンジャーズ』シリーズのスーパーヴィランから取られており、キャラの特徴である紫色にちなんで髪をパープルに染めたものと思われます。
セットデザインはM・C・エッシャーの影響大

出展元:https://www.soapcentral.com
『イカゲーム』では、パステルカラーが眩しいポップで幾何学的なデザインのセットデザインが印象的ですが、このデザインは、視覚の錯覚や幾何学的な構造を巧みに利用した版画やリトグラフ作品で知られるオランダのアーティスト、M・C・エッシャーから大きなインスピレーションを得たのだそう。
キャンディカラーが一見楽しさを感じさせるデザインですが、ゲーム参加者の方向感覚を狂わせる迷路的な構造により、閉じ込められたような感覚に陥ってしまいそうです。
一方、何段にも積まれたベッドが並ぶ共同部屋は、参加者を人間としてではなく、あたかも倉庫に押し込まれた“物”のように見せるための演出なのだとか。
アートディレクターのチェ・ギョンソンは、「現代社会は常に昇進を競い合っているため、ベッドのデザインにもその要素を取り入れようと考えました」と語っています。
デホ役俳優はコンギを猛練習
シーズン2で主人公ギフンと親しくなるデホ役のカン・ハヌルは、2試合目で見事な手さばきで“コンギ”をプレイし、チームに健闘しました。
韓国の伝統的な遊びであるコンギは小さい石を5つ地面に置き、一つ空中に投げて落ちてくる前にもう一つを拾い、次々に2つ、3つと拾う石の数を増やして5つ目を拾い、最後に石を全て手の甲に乗せ、全部を空中に投げてキャッチするというルール。
日本のおはじきのようなゲームですが、カンは劇中でコンギをプレイするシーンを演じるために猛練習を重ねましたが、手さばきがクローズアップになるシーンはプロのプレイヤーに交代したそうです。
・サスペンスドラマが好きな人は、絶対お気に入りが見つかるはず♪
棺桶のリボンの意味
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劇中でゲームの最中に死んだ出場者は、パステルピンクの大きなリボンをかけた黒い棺に入れられますが、このデザインとカラーにも意味があるのだとか。
美術監督のチェ・ギョンソンは、デスゲームの創設者である老人イルナムの思考を想像し、彼が用意しそうな棺を視覚化したのだそう。イルナムは自身を“神”のような存在だと考えていて、棺にリボンを結ぶ行為は、死者への“最後の贈り物”を意味しているとのこと。
そして、リボンの色にパステルピンクが選ばれた理由は、兵士のドぎついピンクのユニフォームとフロントマンの黒い衣装の中間を意識した結果で、この配色の組み合わせはシリーズを象徴するビジュアルのひとつとなりました。
カードの電話番号は本物
劇中でデスゲームに参加することになった登場人物は、〇△□と電話番号が書かれたカードを受け取って勧誘されます。
ところが、製作チームによる隠し方のミスで、偶然にも実在する番号の一部がそのまま放送されてしまう事態が発生。たまたま、その番号を持つ人物のもとに、視聴者から数百件の電話やメッセージが届いて大変な目に遭ったそう。
さらに興味深いことに、韓国の大統領候補だったホ・ギョンヨン氏が、この番号を買い取るために1億ウォンを提示したというエピソードまであるから面白いですよね。
自動車工場ストライキは実際に起きた事件が下敷き
シーズン1第5話のフラッシュバックで、ギフンが勤めていた大手自動車工場でストライキが起こり、親友が亡くなるのを目撃するシーンが描かれました。これは実際に発生した事件が下敷きになっています。
2009年、韓国の双竜自動車工場に勤務する数百人の従業員が解雇され、復職を求めた彼らが工場を占拠。しかし、警官隊が攻撃して工場を制圧し、従業員は警棒や放水法で暴行され、ヘリコプターから催涙ガスが投下されました。
77日間に及んだストライキでは死者も出て、実際に起きた事件を物語に投影した『イカゲーム』は、単なるサバイバルゲームではなく、社会の不平等や過酷な現実を突きつけるメッセージが込められた作品としても評価されています。
本来は映画になるはずだった
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『イカゲーム』で監督・脚本を務めるファン・ドンヒョクは、経済的に困窮していた自身の状況に着想を得て、2008年に脚本を執筆。しかし、あまりにも暴力的な描写が多すぎたため、製作に乗り出すスタジオが見つからなかったのだとか。
ようやくNetflixと契約を交わし、当初は映画になる予定だったとのこと。ところがドンヒョクは、ゲームの内容や登場人物の背景を描写するには2時間では短すぎると判断し、映画化に反対。その結果、Netflixはドラマシリーズ化に同意してくれたそうです。
オリジナルの脚本では、失踪した兄を探すためにゲームに潜入した刑事ファン・ジュノは描かれていませんでしたが、ドラマシリーズになったことで登場することになり、さらに物語の世界観が広がりました。
シーズン2の脚本執筆期間はわずか6ヶ月
クリエイターのドンヒュクは、シーズン2&3の配信開始日が決まっていたため、シーズン2の脚本執筆期間として、Netflixから半年しか与えられなかったと明かしています。
通常、ハリウッド作品は脚本家が数人集まったチームで物語の執筆を進めますが、ドンヒュクは『イカゲーム』の脚本を全て一人で担当しているため、半年という締め切りはメチャクチャ短い! しかも、シーズン1の世界的大ヒットを受けて、シーズン2を執筆するプレッシャーは想像を絶するほど大きかったはず……。
さらに、シーズン2とシーズン3は連続して撮影されたため、シーズン3の脚本にも着手しなければならず、かなりの激務だったのではないでしょうか。
プレッシャーと激務のなかで生み出されたシーズン3、これはもう全力で視聴するしかないですね!
Netflixのおすすめドラマ3選
『イカゲーム』はNetflixで独占配信中! VODの中でもダントツにコンテンツ量が多いNetflix。使ったことがない方も、この機会にぜひ♪
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・参照元:Screen Rant,Spy Scape, Soap Central