Netflix映画『第10号室の女』は、ベストセラー小説をもとに、豪華客船で起きた殺人事件を目撃したジャーナリストが真相を追うミステリー。本作で何が起きるのか、キャストやあらすじの紹介に加え、ネタバレなしの感想とネタバレありの考察でダイブインしていきます!
◉ネタバレなしで知りたい方へ
前半ではあらすじ・海外評価・筆者の感想を紹介。視聴前の参考にどうぞ。
◉ネタバレありで深掘りしたい方へ
後半では全あらすじと見どころ・考察をたっぷり紹介。視聴済みの方もおさらいに◎
※目次から各セクションにジャンプできます。
『第10号室の女』の概要
基本情報を押さえておきましょう♪
『第10号室の女』のあらすじ(ネタバレなし)
ロンドンで旅行ジャーナリストとして働くローラ・ブラックロックは、豪華客船の処女航海を取材する任務を受ける。雪景色と北欧のフィヨルドを背景にした豪華な船旅は、一見彼女にとって夢のような仕事だった。
しかし、旅が始まってすぐにローラは夜中に奇妙な物音と共に、乗客の女性が海へ放り出される場面を目撃したと思う。だが翌朝、乗客も乗組員も全員揃っていて、「そのような事件は起きていない」と告げられて彼女の主張は皆に否定される。
周囲に信じてもらえず、不安と孤立感に苛まれながらも、ローラはその夜の出来事の真相を追おうと決意する。証拠を集めて船内の人々と対話を重ね、見過ごされたり誤魔化されたりする手がかりをひとつひとつ検証していくが、その過程で彼女自身の過去や弱さ、恐怖が心に影を落とし、次第に危険に巻き込まれていく──。
・こちらも小説をベースにしたコージーサスペンス映画
『第10号室の女』の予告編を紹介
予告編は、豪華客船に乗り込んだローラが従業員や乗客と挨拶を交わすシーンで始まり、女性の叫び声を聞いた彼女が船室から出ると、海に落下した女性を目撃します。
すぐにローラは従業員に報告しますが、誰も話を信じてくれず、ある乗客からは「彼らはこの世界を動かしている。怒らせるな」と忠告されてしまう始末……。金髪の男性には「海に遺体はなかったんだ!」と怒鳴りつけられますが、それでも彼女は怯みません。
乗客のほとんどは富豪級の金持ちのようで、登場する人物すべてが怪しく見えてしまいます。そして、予告編の中盤ではローラは誰かに背中を押され、船の上階からプールに落下する事故が発生……!
どうやら、真相に迫りつつあるローラを誰かが消そうとしているようで、彼女が危機に陥るシーンが続きます。果たしてローラは事件を解決して、無事に下船できるのでしょうか……?
『第10号室の女』海外での評価&筆者の感想(ネタバレなし)
【現地の声:海外視聴者のリアルな反応】
海外の視聴者がどんな感想を抱いたのか、Xユーザーからいくつかご紹介! かなり意見が分かれているようですね。
『第10号室の女』は、北欧の豪華ヨットを舞台にした心理サスペンス。閉ざされた海上で起こる「誰が嘘をついているのか?」という緊張感が見どころです。
限られた空間ならではの密室的な不安や孤立感が際立つ一方、すぐに犯人が分かってしまうため、その設定が十分に活かされていないという物足りなさが残りました。また、後半になると展開が少し急ぎ足になり、事件の整合性やキャラクターの行動に説得力を欠く部分もあったのが惜しいところ。
その一方で、「目撃したのに信じてもらえない」という状況を舞台に、その心理的なサスペンスと緊張感はきちんと楽しめたし、船内のゴージャスなインテリアや建築、北欧の映像美も見逃せません。
人物描写の深さを求める人には少し物足りないかもしれませんが、テンポよく進むストーリーと、次々に明らかになる事実により最後まで飽きることなく視聴できました。密室ミステリーや心理サスペンスが好きな人には刺さる作品だと思います。
・密室で起こるドイツ発のスリラー映画♪
『第10号室の女』の登場人物&キャスト
◉ローラ・ブラックロック(キーラ・ナイトレイ)
ジャーナリスト。豪華客船で女性が海に放り出されたと思われる事件を目撃するが、誰にも信じてもらえず、単独で真相を追う。
◉リチャード・ブルマー(ガイ・ピアース)
ノルウェーの大手船会社の相続人アンネ・リングスタッドの夫で、妻のために財団を設立する。
◉ベン(デイヴィッド・アジャラ)
カメラマンでローラの元恋人。オーロラ号で彼女と再会し、ローラが目撃した事件の相談相手になる。
◉アンネ・リングスタッド(リーサ・ローヴェン・コングスリ)
リチャードの妻で、ノルウェーの大手船会社の相続人。
◉キャリー(ギッテ・ウィット)
事件の鍵を握る人物。
◉ロバート・メータ(アート・マリク)
医師で、健康状態や心理状態など、事件を目撃したというローラの証言について影響力を握る。
『第10号室の女』の全あらすじ(ネタバレあり)
この投稿をInstagramで見る
◉ローラがオーロラ号の初航海を取材
◉10号室の謎の女
◉金髪の女の正体と恐るべき陰謀
◉ローラがオーロラ号の初航海を取材
ローラがオーロラ号の初航海を取材
◉白血病のアンネが夫リチャードと共に豪華ヨットで慈善航海を企画
◉取材で乗船した記者ローラは元恋人ベンと再会
◉アンネはローラに全財産を寄付すると明かす
ノルウェーの大手船会社の相続人アンネ・リングスタッドは白血病のステージ4にあり、彼女の夫リチャードは妻の名を冠した慈善財団を設立する。理事や著名人を招いた一週間の航海が計画され、豪華ヨット「北のオーロラ号」はノルウェー沿岸へ向かうことになる。
ジャーナリストのローラは財団から取材を依頼され、船に乗り込むと、元恋人でカメラマンのベン・モーガンと再会する。出航初日、リチャードが挨拶を行い、乗船者はロックスターや企業家など富豪ばかりで、船上は華やかな空気に包まれる。ディナー前、ローラは廊下ですれ違いざまにベンを避けようとして誤って10号室の扉を開けてしまい、中にいた金髪の女性に謝罪する。
やがてアンネ本人から呼ばれたローラは、彼女の部屋でガラのスピーチ原稿を確認する。そこには、アンネが全財産をチャリティに寄付するという衝撃的な内容が記されていた。アンネは財団や夫ではなく「もっと賢く誠実な人」に資産を託したいと語る。
10号室の謎の女
◉深夜にローラは女性が海に落ちる瞬間を目撃するが、10号室には誰もいないと言われる
◉証拠も目撃者もなく、ローラは“錯乱している”と見なされて孤立していく
◉スパで「STOP」というメッセージを送られ、船上に潜む何者かの存在を確信する
深夜、物音で目を覚ましたローラは、バルコニーから女性が海に落ちるのを目撃する。バルコニーの壁には血の手形まで残されていたが、船長によると10号室は2日前にキャンセルされ「誰も泊まっていない」という。沿岸警備隊にも連絡を入れたと言うが、乗客は全員揃っていて捜索は打ち切られる。
翌朝、ローラはリチャードに訴えるが取り合われず、従業員との対面でも該当者は見つからない。疑念を深めたローラはベンの撮影データを調べ、数ヶ月前のパーティーの写真に10号室で見た金罰の女性が写っているのを発見する。しかし乗客たちは誰もその女性を知らず、医師から「君は以前も女性が死亡するところを目撃した」と過去のトラウマを指摘される。
次第にローラは“錯乱している”と見なされ孤立していく。リチャードの厚意でスパに案内されるが、シャワー室の曇りガラスに「STOP」と文字が書かれていて、監視カメラ映像を求めても、プライバシーのため記録は停止中だと告げられる。
金髪の女の正体と恐るべき陰謀
◉ローラは10号室で金髪の毛を発見するが、命を狙われて証拠を失う
◉金髪の女性が現れ、それはアンネの替え玉キャリーだった
◉リチャードが遺産相続を偽装する計画で、妻アンネを殺害していた真相が明らかになる
ローラは、バルコニーづたいに侵入した10号室のバスルームで金髪の毛を見つけてベンに相談するが、「下船するまで騒がない方がいい」と助言される。彼女が従業員に金髪の女性の写真を見せて調査を進めるなか、背後から突き落とされてプールに閉じ込められる事件が発生。救出されるも、コートのポケットに入れていた証拠の髪の毛は消えていた。
ローラは唯一髪の毛のことを話したベンを疑うが、彼は「君を守るために言った」と釈明する。ローラは誰かに尾行され、逃げ込んだエンジンルームでついに金髪の女性と対峙する。女性は「もうやめて」と怯えた様子で言い、フードが外れると、それは変装したアンネのように見えた。
しかし、そのキャリーという女性はリチャードが顔認証ソフトで見つけたソックリさんだった。アンネが全財産を寄付すると知ったリチャードは、アンネに似たキャリーを探し出し、遺言書に偽サインをさせようとしていたのだ。
事件が起きた夜、10号室でキャリーが契約のために訪れていて、アンネがそれを目撃して騒ぎとなり、リチャードがもみ合いの末に殺害したアンネを海に投げ捨てたのだ。キャリーは生活苦から報酬のため協力していたが、ローラの言葉で罪の重さを悟り、二人で協力し合おうと約束する。
真実と最後の決着
◉リチャードがローラの命を狙う中、彼女は本物の遺言状を手に逃走
◉ベンが命を落とし、ローラは生還してガラで真実を暴露
◉リチャードは最期を迎える
ローラが行方不明となり、弱みを握られている医師はリチャードに彼女を「処分」するよう命じられる。
やがてクルーズ最終日、リチャードら乗客が上陸する準備をする中、ベンは体調不良で休んでいるというローラを置いていけずに船に残る。ローラはアンネの隠した本物の遺言書を回収するが、船長と医師に追われ、ベンが彼女をかばって命を落とす。
船長に追い詰められたローラは凍える海へ飛び込み、奇跡的に岸へたどり着く。見つけた小屋で暖を取り、生気を取り戻したローラはガラへ。警護係ジグリットに遺言書を見せ、事情を説明する。
会場では、リチャードが壇上でスピーチを始めるが、そこへローラが登場し、本物の遺言書を読み上げて夫の犯行を暴露する。追いつめられたリチャードはキャリーを人質に取り、逃走を試みようとするが、ジグリットにライフルで撃たれる。なおもキャリーの首を絞めようとしたため、ローラが背後から殴り、彼を桟橋から落下して死亡する。
事件後、アンネ財団は巨額をがん基金に寄付し、事件を報じたローラの記事が掲載される。キャリーは新しい人生を歩み、彼女と娘の元気そうな動画メッセージを見たローラが微笑み、幕を閉じる。
・大自然で起きる戦慄の殺人事件を描く!
『第10号室の女』の見どころ・考察(ネタバレあり)

出展元:https://www.netflix.com
◉「信じてもらえない恐怖」が生む極限のサスペンス
◉アガサ・クリスティ的な期待が裏切られた船上劇
◉伏線不足で腑に落ちにくい構成に
◉キャリーの成りすましを見抜けなかった富豪たちの傲慢さ
「信じてもらえない恐怖」が生む極限のサスペンス
『第10号室の女』は、「目撃したのに信じてもらえない」という孤立した状況を軸に、心理的なサスペンスと閉塞感を描いた作品です。主人公ローラは、海上という逃げ場のない環境でただ一人、目撃した“真実”を証明しようと奔走します。
ローラの不安や焦りが観る者にも伝わり、彼女が少し前に別の女性が死ぬ現場を目撃したという事実も相まって、次第に「本当に見たのか?」「錯覚しているのではないか?」という疑念が生まれていく構成は巧みです。
観る側もローラと同じ視点で混乱し、現実と虚構の境界が曖昧にになっていく感覚に引き込まれてしまうはず。筆者もローラの思い込みの可能性を考えて、女性が海に落ちたシーンを3回ぐらい確認してしまいました(笑)。
最終的にローラが恐怖に駆られながらも自分を信じ、真実に辿り着く姿は、サバイバルの物語としても楽しめると思います。
アガサ・クリスティ的な期待が裏切られた船上劇
本作の舞台は、閉ざされた豪華客船という絶好のサスペンス空間です。富豪やセレブ、ロックスターといった個性豊かで胡散臭い乗客が揃い、誰もが怪しく見える“アガサ・クリスティ的”な雰囲気を期待させます。
しかし実際には、物語の早い段階でアンネの夫リチャードが黒幕であることが容易に推測できてしまい、ミステリーとしての緊張感が薄れてしまいました。アンネが財産を寄付すると宣言した時点で、利益を失うのはリチャードだけだとすぐに分かってしまうからです。
その結果、せっかく登場したロックスターや理事たちは物語に深く関与せず、“豪華客船の群像劇”という設定が十分に活かされていなかったのが残念なところ。本来なら、「誰もが怪しい」という状況で犯人捜しを楽しめるはずが、その魅力が皆無だったのはかなり致命的……。
サスペンスとしてはキャラクターの書き込みが物足りず、登場人物の複雑な利害関係をもっと絡めていれば、より濃密な心理戦が描けたのではないかと感じました。
伏線不足で腑に落ちにくい構成に
劇中で、ローラが女性の死を目撃してPTSDを抱えている可能性が示唆されますが、その出来事がどれほど衝撃的だったのか、また彼女の行動や判断にどう影響しているのかが描かれず、設定が活かしきれていませんでした。
さらに、リチャードに弱みを握られていた医師の動機も曖昧で、どんな経緯で彼が殺人まで手を染めるのかが説明不足です。サスペンスの要となる“人間関係の糸”が弱く、伏線がきちんと敷かれていないので回収されないまま終盤を迎え、腑に落ちにくい構成になっているのも残念でした。
ローラの恐怖や疑念が高まっていく過程は丁寧に描かれている一方で、周囲の人物の背景や心理が浅く、物語全体の説得力を損ねてしまいました。あともう一歩、人物の過去や関係性を掘り下げるシーンがあれば、ラストの緊迫感がさらに深みを増したのではないでしょうか。
キャリーの成りすましを見抜けなかった富豪たちの傲慢さ
キャリーがアンネに成りすます場面についてですが、人は大病をすると体重の減少などで容姿が大きく変わることがあります。
キャリーは坊主頭にしてメイクを施してソックリに見せていましたが、それでも長年付き合いのある友人が近くで見たら、別人であることに気づくのではないでしょうか。それなのに、誰一人として不審に思わなかったのは不自然な気がします。
この点から考えると、富豪たちはアンネにそれほど関心を持っていなかったか、あるいは自身の権力などに目がくらみ、目の前の事実よりも自分たちの期待や思い込みを優先していたのかもしれません。
つまり、彼らがキャリーの成りすましに気づかなかった描写は、富豪特有の傲慢さや自己中心的な性格を象徴しているとも読み取れ、富裕層を風刺していると考えられそうです。
・マカオを舞台に追いつめられたギャンブラーを描く映画
『第10号室の女』のまとめ
『第10号室の女』は、閉ざされた豪華客船で真実を追うローラの孤立と心理的な葛藤を描いたサスペンス。
豪華客船の“アガサ・クリスティ的”な設定が活かしきれず、伏線回収や登場人物の掘り下げにやや不満が残ります。それでもローラが恐怖と混乱を乗り越え、真実を暴く展開の緊張感と爽快感は楽しめました。ぜひ、Netflix映画でチェックしてみてください♪
『第10号室の女』の視聴方法
『第10号室の女』を視聴できるのはNetflixだけ! VODの中でもダントツにコンテンツ量が多いNetflix。使ったことがない方も、この機会にぜひ♪
この他にもNetflixでは同シリーズ系統のドラマが多数配信中です。「次に観たい作品が見つからない…」という方は、以下の記事も合わせてどうぞ。
『第10号室の女』系のNetflixおすすめ作品3選
『第10号室の女』のほか、Netflixには見応えあるスリラーやサスペンス作品が盛りだくさん! ぜひ下の作品もチェックしてみてくださいね♪








◉「『第10号室の女』は10点満点!」
◉「『第10号室の女』酷すぎた…。最近、実力派の俳優たちが、なんでこんな微妙で安っぽい作品に出てるのか本気で分からない」
◉「『第10号室の女』を観終わった。船は豪華だしキャストも最高なのに、ストーリーが船より早く沈んでた。でもキーラ・ナイトレイは頑張ってた」