Netflix映画『木曜殺人グラブ』は、毎週木曜日に集まって未解決の殺人事件を趣味で解決しているシニア4人組が、現実の事件に巻き込まれていくというストーリー。この記事ではキャストやあらすじの紹介に加え、ネタバレなしの感想とネタバレありの考察でダイブインしていきます♪
【本記事のポイント】
・ネタバレなしで知りたい方へ
前半ではあらすじ・海外評価・筆者の感想を紹介。視聴前の参考にどうぞ。
・ネタバレありで深掘りしたい方へ
後半では全あらすじと見どころ・考察をたっぷり紹介。視聴済みの方もおさらいに◎
※目次から各セクションにジャンプできます。
『木曜殺人グラブ』の概要
基本情報を押さえておきましょう♪
『木曜殺人グラブ』のあらすじ(ネタバレなし)
元スパイのエリザベスと元労働組合活動家ロン、元精神科医イブラヒム、元看護師ジョイスというシニア4人組は毎週木曜日に集まり、「未解決事件クラブ」を開き、楽しみながら未解決の事件を調査している。
ところがある日、彼らの住む高級シニア施設「クーパーズ・チェイス」の敷地内で開発業者が殺されるという実際の事件が発生。この出来事をきっかけに、彼らの趣味の探偵活動が、“本物”の事件捜査へと転じていく──。
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『木曜殺人グラブ』の予告編を紹介
予告編は、エリザベスとロン、イブラヒムが元看護師のジョイスに事件の写真を見せ、「木曜殺人クラブ」に誘うシーンからスタート。
そこから物語は一気に加速! 彼らが暮らす高級シニアコミュニティで殺人事件が起き、4人組はさっそく調査に乗り出すことに。けれども素人探偵団だけでは限界があると悟り、地元警察官のドナ・デ・フレイタスを仲間に引き入れます。
調査が進むにつれて犯人の影がじわじわと迫り、なんと4人組自身が容疑者にされてしまう危機に……!? 二転三転のストーリー展開で、最後まで目が離せない展開となっていそうです。舞台はのんびりとしたシニア・コミュニティなのに、そこで繰り広げられるのは“殺人事件”という非日常。そのギャップがコミカルに描かれていて、予告編からもすでにワクワク感が止まりません。
『ホーム・アローン』や『ミセス・ダウト』などで知られるクリス・コロンバス監督らしい軽快な演出も光っていて、週末にポップコーン片手に楽しむのにぴったりの1本になりそうです♪
『木曜殺人グラブ』海外での評価&筆者の感想(ネタバレなし)
【現地の声:海外視聴者のリアルな反応】
『木曜殺人クラブ』の海外視聴者がどんな感想を抱いたのか、Xユーザーからいくつかご紹介! かなり意見が分かれているようです。
人気小説シリーズの映画化となる本作は、豪華キャストが集結して贈る“コージー・ミステリー”。「コージー・ミステリー(Cozy Mystery)」とは、“cozy=居心地の良い”という言葉が示すように、血なまぐさい描写や過激な暴力・性的表現を避け、読者が安心して楽しめる“心地よい推理小説”のこと。
エリザベス役のヘレン・ミレンを筆頭に、ピアース・ブロスナン、ベン・キングズレー、セリア・イムリーが、シニア探偵を生き生きと演じているのが魅力のひとつ。筆者にしてみれば、エリザベス女王2世(『クィーン』のヘレン)とジェームズ・ボンド(5代目ボンドのピアース)、ガンジー(『ガンジー』のベン)がシニア施設で謎解きしているようにしか見えない豪華すぎる顔ぶれにクラクラしてしまいました(笑)。
とにかく、修道院を改装した高級退職者住居施設「クーパーズ・チェイス」が壮麗で美しく、まさにシニア世代の理想郷。絵本の中にいるような気分にさせられるほど美しいビジュアルが見どころです。
一方でストーリーの方は、50年以上前に起きた1973年の未解決事件がモノクロで描かれる凝ったオープニングでスタートしたものの、ミステリーとしての構成にはやや物足りなさがあり、プロットが平坦で驚きに乏しいとの印象は否めませんでした。
総じて本作は、英国風の軽やかで洗練されたミステリーを気軽に楽しみたい方にはピッタリですが、重厚な謎解きや深いドラマを期待している人は、少々物足りなさを感じるかもしれません。
・船上で起きた事件の謎に迫るミステリー映画をチェック♪
『木曜殺人グラブ』の登場人物&キャスト
エリザベス・ベスト(ヘレン・ミレン)
元スパイでクラブのリーダー的存在。才覚と肝の据わった存在感を持つ。
ロン・リッチー(ピアース・ブロスナン)
元労働組合リーダー。情熱的で大胆、不屈の精神を持つ。
イブラハム・アリフ(ベン・キングズレー)
元精神科医で、分析的かつ穏やかな性格。クラブの冷静な支え役。
ジョイス・メドクロフト(セリア・イムリー)
元看護師で、優しく温かみのあるキャラクター。クラブの末っ子的存在。
イアン・ヴェンサム(デヴィッド・テナント)
クーパーズ・チェイスの共同オーナーで、施設を高級マンションに開発しようとしている。
スティーヴン・ベスト(ジョナサン・プライス)
エリザベスの夫で痴ほう症。
ドナ・デ・フレイタス(ナオミ・アッキー)
地元の警察官で、木曜殺人クラブの調査に協力する。
クリス・ハドソン(ダニエル・メイズ)
事件の捜査主任。
ジェイソン・リッチー(トム・エリス)
ロンの息子で元プロボクサー。トニーに借金を作っていた。
ボグダン(ヘンリー・ロイド=ヒューズ)
ポーランドからの移民で、トニーの部下として働く。
『木曜殺人グラブ』の全あらすじ(ネタバレあり)
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・過去の未解決事件と施設を揺るがす新たな殺人
・謎の共同オーナー
・トニー殺人事件の犯人
過去の未解決事件と施設を揺るがす新たな殺人
◉ 1973年、ロンドン東部で女性が刺殺される不可解な事件が発生
◉ 数十年後、高齢者施設「クーパーズ・チェイス」で木曜殺人クラブが活動を再開
◉ 開発業者による買収計画に住人が反発、やがて施設の共同オーナーが殺害される
1973年5月11日、ロンドン東部ブリックレーンで起きた事件で幕を開ける。ピーター・マーサーは恋人アンジェラ・ヒューズの家を訪ねていたが、突然彼女の悲鳴が響き、窓から彼女が転落してくる。アンジェラは腹部をナイフで刺されており、警察が駆けつけた時にはすでに死亡していた。部屋から物は盗まれておらず、不可解な殺人事件として幕を閉じる。
数十年後、平穏な高齢者施設「クーパーズ・チェイス」に住むエリザベス、ロン、イブラハムから成る「木曜殺人クラブ」は、新たな仲間として元看護師のチョイスを迎える。警官ドナとも交流を深め、やがて施設をめぐる開発業者の存在が彼らの生活を揺るがしていく。
開発業者イアン・ヴェンサムは、施設を買収して高級マンションを建設すると宣言するが、住人たちは猛反発。そんな中、施設の共同オーナーのトニーが何者かに殺害され、撲殺体で発見される。
謎の共同オーナー
◉ 木曜殺人クラブは警官ドナと協力し、独自に捜査を進める
◉ 施設の謎の第三オーナー「ブルーミン・マーベラス」の存在が判明
◉ 容疑者となったロンの息子ジェイソンは無実で、事件は迷走
◉ 開発業者ヴェンサムが薬物死し、鍵を握るのは行方不明の共同オーナー
クラブの面々は独自に調査を進め、エリザベスとジョイスは警察に接触し、ドナに捜査情報を共有するよう持ちかける。一方、イブラハムとロンもトニー殺害に関連する情報を持ち込んだことで、ドナは正式に捜査チームに加わることになる。
調査の過程で、施設には謎の第三のオーナー「ブルーミン・マーベラス」が存在することが判明。金融関連の書類を調べると、トニーが死ねば彼の持ち分はヴェンサムの懐に入る仕組みになっていることが分かる。
やがて警察は、トニーが殺害される前にヴェンサムと口論していたことや、ロンの息子ジェイソンが怪しい人物と関わっていた証拠をつかみ、彼を逮捕する。しかし、ジェイソンにはヴェンサムの妻と密会していたアリバイが存在し、疑いは晴れる。事件は複雑さを増す中、ヴェンサム自身もまたフェンタニルの過剰摂取で死亡。開発計画を左右するのは、行方不明の共同オーナー、“ブルーミン・マーベラス”ことボビー・ターナーだけとなる。
トニー殺人事件の真相
◉ エリザベスは移民労働者ボグダンと接触し、彼の境遇を知る
◉ 墓地から発見された遺体が40年前の事件と結びつく
◉ ボビー・ターナーによる移民搾取の事実が明らかに
◉ ボグダンがトニー殺害を事故として告白し、逮捕される
エリザベスは、トニーの部下ボグダンという移民労働者と接触し、トニーが彼のパスポートを取り上げいるため、帰国できない境遇にあることを知る。ボグダンは墓地に隠された遺体を発見し、それがかつての未解決事件の被害者の恋人、ピーター・マーサーのものであると判明する。この発見をきっかけに、クラブは40年以上前のアンジェラ殺害事件と現在の殺人事件がつながっているのではないかと疑い始める。
やがて、脅迫状や花束がエリザベスに送りつけられ、背後に暗い影の存在が浮かび上がる。調査の末、ボビー・ターナーが移民のパスポートを奪い、不法に労働させていた事実が明らかになり、ボグダンもその犠牲者だった。ボグダンはトニーと揉めている時に事故で彼を殺してしまったと認め、エリザベスの夫スティーヴンが録音した会話によって真相が明るみとなり、最終的に逮捕される。
1973年の事件の犯人
◉ ペニーが40年前の真犯人マーサーを独断で殺害していた事実が判明
◉ 墓地開発をきっかけに秘密が露見し、ペニーの夫ジョンがヴェンサムを殺害
◉ 真相を暴かれたジョンは妻と共に自死を選ぶ
◉ クラブの仲間たちはそれぞれの人生に希望を見出し、物語は幕を閉じる
一方、墓地の遺体にまつわる真実も浮上する。施設に入っている元刑事でエリザベスの友人ペニーは、アンジェラ殺害事件の真犯人がマーサーであると確信し、彼が無罪になりそうになった際に自らの手で彼を殺害していたのだった。
遺体は夫ジョンの協力で隠蔽されたが、ヴェンサムが墓地を開発しようとしたことで秘密が暴かれる危険にさらされ、ジョンがヴェンサムに薬物を注入して殺害したことが明らかになる。
その事実をエリザベスに暴かれたジョンは、最後に妻と二人になりたいと頼み、それはジョンが妻とともにフェンタニルの注射で自死することを示唆していた。
夫婦の葬儀の後、エリザベスはペニーの形見で「TMC(Thursday Murder Club:木曜殺人クラブの頭文字)」が刻まれたネックレスをジョイスへ託す。ジョイスの娘がクーパーズ・チェイスを買い取ることを検討し、住人たちの未来に希望を残す。
物語は、エリザベスが夫スティーヴンと過ごす穏やかな時間、ロンが息子と和解する姿、イブラハムとチョイスの新しいロマンスの予感とともに幕を閉じる。
・社会的なメッセージも込められた重厚なNetflixのスリラー映画
『木曜殺人グラブ』の見どころ・考察(ネタバレあり)
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・シニア探偵たちの活躍と惜しい見せ場
・年齢が生む独特のダイナミズム
・コージー・ミステリーとしての魅力
シニア探偵たちの活躍と惜しい見せ場
◉ シニア探偵クラブのメンバーは知的・経験豊富だが、能力の活かし方は限定的
◉ 登場人物のバックグラウンドが十分に描かれず、ストーリーの厚みはやや不足
◉ 温かみやユーモアが随所に散りばめられ、ほっこりとした余韻を残す
『木曜殺人クラブ』では、MI6のスパイだったエリザベス、元労働組合のロン、元精神科医のイブラハム、元看護師のジョイスという知的で経験豊富なメンバーが探偵クラブの中心を担います。
筆者は、超豪華キャストが各自の専門知識や洞察力を推理に活かして活躍することを期待していたのですが、実際にはジョイスが事件の写真を分析する場面や、ロンが組合リーダーとして開発反対運動を率いたシーンぐらいしか、その能力の見せ場は描かれていません。
探偵としての才能や、職業的バックグラウンドが十分に活かされる機会は限られていて、登場人物の深みやストーリーの厚みがやや不足している点が気になりました。筆者的には、ライアン・ジョンソン監督のNetflix映画『ナイブス・アウト』シリーズのシニア版的な作品を期待していたのです。
それでも、シニア4人組が見せる温かみや、シニアネタでクスっと笑わせてくれるユーモアが散りばめられていて、「彼らの素質がもっと存分に活かされていたら」と惜しく感じながらも、観賞後にはほっこりとした余韻が残る作品だと思いました。
年齢が生む独特のダイナミズム
◉ 高齢シニア探偵4人組が、隠居生活に甘んじることなく事件に挑む
◉ 年齢ゆえの行動や決断の重みが、若い探偵にはない説得力を生む
◉ シニアならではのダイナミズムが魅力
本作の主人公は、かなりの高齢シニア探偵4人組。普通なら「そろそろ隠居生活……」という年齢ですが、そんな彼らが殺人事件の真相に挑む姿は、見ていてとてもワクワクします。
年齢的に死が身近にあるからこそ、一つひとつの行動や決断に重みが出て、若い探偵や捜査官にはない説得力が生まれているように思います。特にエリザベスとジョイスが、強盗に遭った修道女の振りをして警察でドナを呼び出すシーンなどは、人生の残りが少ないからこそできる妙な大胆さが印象に残るシーンでした。
また4人が、終盤でジョンとペニーの自死を事前に察しながら通報を遅らせ、二人に最後の時間を与えた場面も忘れてはいけません。高齢である4人にとって死が身近な存在であることが、他者の最期に対する深い理解や尊重につながっていると考えられます。
高齢ならではの死生観や、年を重ねたキャラクターたちだからこそ生まれる独特のダイナミズムが、この作品の魅力のひとつと言えるのではないでしょうか。
コージー・ミステリーとしての魅力
◉リチャード・オスマン原作のコージー・ミステリー作品
◉過激な暴力やサスペンスに頼らず、人物描写や日常のユーモアで事件を描く
◉高齢の主人公たちの頭脳明晰さと行動力が安心感と親近感を演出
◉居心地の良い施設を舞台にしたコミュニティ描写が、作品の温かさを際立たせる
本作は、リチャード・オスマンのベストセラー小説シリーズを原作とした作品で、シニア探偵たちが事件を解決する物語。
“コージー・ミステリー”というジャンルに分類される本作の魅力は、何といっても“軽やかで温かな雰囲気”。残虐な描写や過激なサスペンスに頼らず、登場人物たちの人間味やユーモア、日常の小さなドラマを通して事件が描かれる点が特徴です。
上述の『ナイブス・アウト』シリーズや、ドラマ『アガサ・クリスティー ミス・マープル』なども同じくコージー・ミステリーに分類されます。
Netflixによると、原作者のオスマンは、自身の母親が暮らす老人ホームから物語の着想を得たのだそう。オスマンは、「シニアは見過ごされがちだと思うでしょう。ですが、知恵を持ちつつも目立たない存在である彼らこそ、事件を解決するのに最適な人物で、それが『木曜殺人クラブ』の発想の原点なのです。過小評価されながらも驚くべき能力を持つ人たちを集めれば、何だって成し遂げられるのです」と語っています。
まさにオスマンが言うように、『木曜殺人クラブ』は、キャラクターが高齢でありながらも頭脳明晰で行動力にあふれているという設定が、視聴者に安心感と親近感を与えつつ、キャラクターに対して好奇心を湧き起こさせるところポイントです。
老人が安心して暮らせる施設が舞台となっているため居心地の良い空間が際立ち、事件解決の過程で生まれるユーモアやキャラクターの関係性が、コージー・ミステリーならではの楽しみを提供してるところが魅力ではないでしょうか。
・犯罪捜査コメディが好きな人へ
『木曜殺人グラブ』のまとめ
『木曜殺人クラブ』は、主人公4人組の知識や経験が思ったほど捜査に活かされていなかったのが残念でしたが、それでもシニアらしい温かみや英国らしい洗練さが感じられ、軽いミステリーを楽しみたい人におすすめの作品です。ぜひ、Netflixでチェックしてみてください♪
『木曜殺人グラブ』の視聴方法
を視聴できるのはNetflixだけ! VODの中でもダントツにコンテンツ量が多いNetflix。使ったことがない方も、この機会にぜひ♪
この他にもNetflixでは同シリーズ系統のドラマが多数配信中です。「次に観たい作品が見つからない…」という方は、以下の記事も合わせてどうぞ。
『木曜殺人グラブ』系のNetflixおすすめ作品3選
『木曜殺人グラブ』のほか、Netflixには見応えある犯罪捜査ドラマやサスペンス作品が盛りだくさん! ぜひ下の作品もチェックしてみてくださいね♪



◉小説の大ファンだけど、映画版は残念。雰囲気がチープで、日曜夜のITVドラマ感が強すぎ。豪華なクーパーズ・チェイスも生かされず、メイン4人やドナ&ボグダンのユーモアも薄かった。
◉もう最高! 殺人ミステリーにコメディが絶妙に混ざってる。ジョイス&エリザベスが最高、ドナ・デ・フレイタスも好き!
◉『木曜殺人クラブ』最高すぎ😍 全部完璧にハマってたし、音楽も素敵! そしてもちろん、デヴィッド・テナントが最高!演技神で伝説級」