Netflixドラマ『ランサム・キャニオン』は、テキサス州の丘陵地帯ランサム・キャニオンで代々牧場を経営してきた3家族の衝突と恋愛、裏切りなどが描かれるメロドラマ調の現代ウェスタンシリーズ。本作で何が起こるのか、キャストやあらすじなどネタバレあり・なしでダイブイン(考察)していきます♪
【本記事の注目点】
・ネタバレを踏みたくない方へ
前半ではネタバレなしのあらすじ&海外評価・筆者の感想を紹介しますので、安心して作品を視聴すべきかどうか判断してみてください。
・ネタバレありで深掘りしたい方へ
後半ではネタバレありの全あらすじ&見どころ・考察で掘り下げ、作品の魅力を余すことなくお届け! すでに視聴済みの方も、おさらいとしてお楽しみください♪
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『ランサム・キャニオン』の概要
ランサム・キャニオン』のあらすじ(ネタバレなし)
ランサム・キャニオンで6万エーカーもの広大な牧場を運営しているスタテン・カークランドは、2年前に妻を亡くして息子ランドールと二人暮らしだったが、息子が誕生日に交通事故で亡くなるという悲劇が起きてしまう。
すっかり心を閉ざしてしまった彼を支えるために、スタテンの亡き妻の親友で、昔から彼に想いを寄せているクインがニューヨークから戻り支えてきた。そんな彼女を、スタテンの義理の弟デイビスは想い続けている。
ランサム・キャニオンでは、オースチン水道局がパイプラインを敷く計画が進んでいるが、開発に賛成のデイビスに対してスタテンは頑として土地を売るつもりはない。
義理の兄弟の対立が深まる中、謎に包まれた男ヤンシー・グレイがランサム・キャニオンの牧場で働き始め、事態が複雑になっていく。また、スタテンは息子の交通事故に疑念を抱き始め、その原因を追究し始める……。
・恋愛ドラマが好きな人におすすめ!
『ランサム・キャニオン』の海外での評価&筆者の感想(ネタバレなし)
現代西部劇というと、まずParamount+の傑作ドラマ『イエローストーン』が思い浮かびますが、この作品と『ランサム・キャニオン』を比べてはいけません。絶対に裏切られます(笑)。
『イエローストーン』は、巨大牧場を営むダットン一家が、土地開発業者や先住民の部族、政府機関と繰り広げる権力闘争が緊張感あふれるシリアスなトーンで描かれるシリーズ。
対する『ランサム・キャニオン』は、どちらかというとNetflixの人気ドラマ『ヴァージンリバー』などに近い作品と言えます。メロドラマ調で恋愛や人間関係が描かれ、そこに少しばかり『イエローストーン』のフレイバーが加えられている感じでしょうか。
視聴前に予告編を見ていた筆者は、「『イエローストーン』系だと思っちゃダメだな」と分かっていたので大丈夫でしたが、それを期待したら『ランサム・キャニオン』の評価がガクンと下がってしまうでしょう。そうでなければ、普通にメロドラマチックな三角関係や家族の軋轢を描いたストーリーを楽しめると思います。
スローなカントリーミュージックをバックに、ナイスバディな半裸のイケメンキャラクターがホースで水を浴びっちゃりとかベタなシーンも満載ですが(笑)、筆者は視聴を楽しみながら全話を完走しました。
『ヴァージンリバー』や『スイート・マグノリアス』が好きな人におすすめです♪
スクロールに疲れた方へ
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・恋愛ドラマが好きな人はチェック!
『ランサム・キャニオン』の登場人物&キャスト
スタテン・カークランド(ジョシュ・デュアメル)
大牧場主。妻と一人息子を亡くして心を閉ざしているが、クインに気持ちがある。
デイビス・コリンズ(オーエン・マッケン)
クイン・オグレイディ(ミンカ・ケリー)
ニューヨークで名声を博したピアニスト。妻を亡くしたスタテンを支えるためにテキサスへ帰郷。
エリー・カタウニー(マリアンリー・テハダ)
クインの親友で、彼女とダンスホール兼バー「グレイシーズ」の共同オーナーになる。
ヤンシー・グレイ(ジャック・シューマカー)
ランサム・キャニオンのフラー隊長の牧場で働き出した謎の男。
リード・コリンズ(アンドリュー・ライナー)
デイビスの息子。生意気だが根は優しい。
ダン・ブリグマン(フィリップ・ウィンチェスター)
ランサム・キャニオンの保安官。スタテンの息子の交通事故を捜査している。
ローレン・ブリグマン(リジー・グリーン)
ダンの娘で、リードとルーカスと三角関係になっている。
ルーカス・ラッセル(ギャレット・ウェアリング)
父親が家出して、問題ありの兄と二人暮らし。学業優秀で真面目な性格。
ポーラ・ジョー(メタ・ゴールディング)
デイビスの元妻で、オースチン水道局の役員。
『ランサム・キャニオン』の全あらすじ(ネタバレあリ)

出展元:https://www.netflix.com
・三角関係と深まる家族の溝
・謎めいた男ヤンシー
・三角関係が四角関係に
・交通事故の手掛り
・ヤンシーを疑い始めたエリー
・ハリケーンの日
・交通事故の真相
・追い詰められる水道局
・フラー隊長の死
・デイビスの裏切り
三角関係と深まる家族の溝
ランサム・キャニオンで、6万エーカーもの広大な牧場を運営しているスタテン・カークランドは、2年前に妻を亡くして息子ランドールと二人暮らしだったが、息子が誕生日に交通事故で亡くなるという悲劇が起きてしまう。
それから1年後。スタテンの亡き妻の親友クインは、悲しみに暮れるスタテンを支えてきた。彼女は昔から彼に想いを寄せていて、スタテンも同じ気持ちながらも心が開けないでいる。一方、義理の弟デイビスもクインのことが好きで、ことあるごとにスタテンと対立する関係だ。
しかも、ランサム・キャニオンではオースチン水道局がパイプラインを敷く計画が進んでいて、開発に賛成派のデイビスと、頑として土地を売るつもりはないスタテンの溝は深まるばかり……。
謎めいた男ヤンシー
ある日、フラー隊長が営む牧場でヤンシー・グレイという謎めいた男が働き始めるが、刑務所から出所したばかりのヤンシーは、自分が隊長の孫であることを秘密にしていた。彼はデイビスに雇われ、自分と母親を捨てた父親に復讐するために、土地を売る気のない隊長を説得し、土地を奪う計画を立てていた。
しかし、自分に優しくしてくれる祖父である隊長と絆を築き始め、また隊長の孫娘のような存在のエリーと恋に落ちたことで、ヤンシーの心境に変化が起こり始める。
三角関係が四角関係に
クインは、一向に心を開こうとしないスタテンに痺れを切らし、愛を告白してくれたデイビスと交際し始める。手を繋いで歩いたり、キスをしたりする二人の姿を見る度に辛い想いになってしまうスタテン……。
そんななか、オースチン水道局で役員を務めるデイビスの元妻ポーラがランサム・キャニオンに戻って来て、スタテンは過去に一夜を共にしたことがある彼女と再び関係を持ち、そのことをクインに知られてしまう。ポーラはポーラでデイビスとクインの交際が気に入らず、すでに複雑だった三角関係が四角関係になってしまう。
それと同時に、デイビスの息子リードと彼女のローラ、同級生ルーカスというティーンエイジャーも厄介な三角関係を繰り広げる。
交通事故の手掛り
スタテンは、息子の命日に事故現場を訪れた時に車のフェンダーの一部を見つけ、それが70年代のフォードのパーツだと分かる。その情報を基に保安官のダンが捜査を進め、監視カメラの映像でリードと彼の友人が問題の車を運転していたことが判明。ルーカスが池に沈んでいたトラックをの発見して、池から引き上げられる。
ヤンシーを疑い始めたエリー
ヤンシーとエリーの関係は急速に深まっていたが、彼のムショ仲間が現れたことで、彼女はヤンシーに対して疑念を抱くように……。友人の保安官の調べで、ヤンシーが刑務所を出所したばかりだと知り、エリーはショックを受ける。
ハリケーンの日
ハリケーンがランサム・キャニオンに迫りつつあり、クインの逃げ出した犬を見つけたスタテンが家に届けに来るが、ハリケーンの勢いが増してクインの家に足止めになってしまう。その夜、二人はお互いの想いに素直になり、ついに結ばれる。
住民はグレイシーズに避難していて、デイビスに土地の売却を迫られたフラー隊長は孫がいることを知らないため、「遺書を作成していないから、自分が死んだら土地の管理は裁判所に移る」と告げる。つまり彼が亡くなったら、孫であるヤンシーが自動的に土地を相続するということだ。
交通事故の真相
リードの情報で、ルーカスの兄キットが、交通事故に関係しているトラックの処分を彼に頼んだことが明らかになる。しかし、車を運転していたのはローレンの母親マーガレットだった。キットとマーガレットは恋人関係にあったのだ。
キットはマーガレットをかばって自分が罪を被ろうしていたが、ローレンの父親が真相に気づいてマーガレットを逮捕する。
追い詰められる水道局
町の集会で、オースチン水道局の計画が多数決で承認されそうになっていた。しかしリードが、役員である母親がスタテンに土地を売らせるために仕組んだ罠を住民の前で暴露し、承認は保留になる。
リードは、交通事故の情報をスタテンに黙っていた罪滅ぼしをしたかったのだ。
フラー隊長の死
フラー隊長は、デイビスから全て事実を聞いたと言ってヤンシーを牧場から追い出した後、行方が分からなくなっていた。ヤンシーが広大な牧場を探していると、隊長は彼の息子とヤンシーの母親の写真を手に亡くなっていた。
その追悼式でヤンシーは、スタテンから隊長が孫のことを探していたと告げられる。牧場の売買を決める権利を手にしたヤンシーは、水道局に土地を売却すれば2,200万ドルを手に出来るが、自分が牧場の運営を続けることを決意する。
そしてエリーにプロポーズするが、彼女の元にヤンシーを探している女性が現れ、なんと彼の妻だと言われて驚愕するエリー。エリーはプロポーズの答えを伝えるために、ヤンシーと待ち合わせていた場所へは行かなかった。
デイビスの裏切り
クインは、水道局が出資した8万ドルの返却を迫られ、オファーされていたニューヨーク・フィルハーモニックの仕事を受けることに。しばらくピアニストの仕事をして借金を返すことに決め、エリーにグレイシーズの共同経営者になってほしいと頼む。
クインは、デイビスにスタテンとの関係を伝えて別れを告げる。スタテンとデイビスは一旦休戦し、土地を守るために水道局に対抗するはずだったが、デイビスが裏切り、スタテンから土地を奪うためにスタテンの父親と結託することが示唆されて終了する。
・恋愛青春ドラマは好きな人へ
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『ランサム・キャニオン』の見どころ・考察(ネタバレあり)
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・王道すぎるメロドラマが妙に心地良いドラマ
・キャラクターの成長に注目
・ヤンシーの再生
・スタテンの再出発
王道すぎるメロドラマが妙に心地良いドラマ
『ランサム・キャニオン』は、メロドラマに必要な愛と裏切り、秘密に三角関係、葛藤といった要素が揃いに揃っているシリーズ。
第3話ぐらいまでは、あまりにも王道すぎて少し入り込めない部分があったのですが、それ以降は交通事故の真相などサスペンス的な展開が盛り上がり始め、三角関係が四角関係になってまずます複雑になっていき、その世界観にズルズルと引き込まれてしまいました。
恋愛にすがって四角関係に陥る大人4人は、スタテンは家族を失った喪失感、クインは愛されない苦しみ、ポーラは承認欲求、デイビスは自己顕示といった具合に、孤独や喪失への恐れが根底にあるのかなと思いました。
大人4人が繰り広げる四角関係に比べ、ティーンエイジャーのリードとルーカス、ローラが繰り広げる三角形の方が潔くて、そのコントラストが興味深かったです。
とにかく、『ランサム・キャニオン』は王道すぎるメロドラマが妙に心地良いドラマで、エピソードが進むにつれてジワジワと夢中になっていくのではないでしょうか。
リードの成長に注目
そして本シリーズは、キャラクターの成長がしっかり目に出来るところもポイントです。
デイビスの息子リードは登場したばかりの頃は、生意気で典型的な体育会系という印象でしたが、徐々に変化を見せ始めます。
水道局の件では、母親の秘密工作を公の場で暴露して、スタテンに交通事故の情報を黙っていた罪滅ぼしをしました。また、ローレンを奪い合っていたライバル、ルーカスの良さを認めてすっかり仲良くなり、兄の逮捕で養護施設に入れられそうになったルーカスを救うために弁護士に掛け合ったり、ローレンに別れを告げられたルーカスに「追いかけろ」と励ましたり、本当に大きな成長を遂げました。
いとこを交通事故で亡くす辛い経験をし、利益を得るために裏工作をいとわない母親の行動などを見て、彼なりに正しいことをする道や贖罪の方法を見つけようとしていたのではないでしょうか。
大人げない四角関係を繰り広げ、汚い手を使い続ける父親デイビスとのコントラストが際立つようになり、恋人をライバルに奪われた父息子の立場として、リードがデイビスに「そこだけは同じだね」と皮肉っていたシーンに笑ってしまいました(笑)。
ヤンシーの再生
「成長」と言えば、ヤンシーも忘れてはいけません。彼は、「自分を捨てた父親に復讐するために帰ってきた男」として登場します。
彼は、血の繋がりを信じることも、家族という概念に心を許すことも出来ずにいました。彼にとってフラー隊長は、自分の人生を狂わせた元凶の延長線上にある存在だと言えるでしょう。
しかし、彼は牧場での生活で少しずつ変わっていきます。隊長の優しさに触れて父のように慕うようになり、エリーという存在を通して新たな“未来”を見出し始めました。復讐ではなく、愛と絆によって傷を癒し始めたのです。
そして彼は、土地を売れば2,200万ドルもの大金を手に入れられるというのに、自分が牧場の運営を続けていく決断を下しました。2,200万ドルといえば現為替で31億円……! この金額に「NO」と言えるのはヤンシーだけではないでしょうか(笑)。
ランサム・キャニオンでの経験で、ヤンシーという男が完全に再生された証だと思いました。
スタテンの再出発
さらに“再生”という観点では、息子を失なった深い悲しみかに囚われたままだったスタテンが、ついに自分の気持ちに正直になり、クインとの関係を通じて未来を見つめ直し、「愛すること」や「心を開くこと」に再挑戦を始める姿にも共感が持てました。
ライバルのデイビスにクインを奪われて、お尻に火がついてやっと行動したのはマイナスポイントとはいえ(笑)、それでも悲しみを抱えながらも歩み出すその姿には、“癒やし”と“再生”という大きなテーマを静かに語っているように感じました。
『ランサム・キャニオン』のまとめ
『ランサム・キャニオン』は、重厚な傑作ファミリードラマ『イエローストーン』を期待したら裏切られますが、『ヴァージンリバー』と同類の作品だと思って視聴したら楽しめるシリーズ。第2~3話ぐらいまではお手並み拝見的なスタートですが、第4話ぐらいかギアが入ってジワジワと盛り上がってくるので要チェックです!
『ランサム・キャニオン』は、シーズン1の配信開始当時は全く注目されていなかったのに超人気シリーズになった『ヴァージンリバー』や、『スイート・マグノリアス』のようなシリーズに成長するポテンシャルを秘めていると思いました。次シーズンに向けた伏線がいくつか敷かれているので、シーズン2への更新に期待です♪
『ランサム・キャニオン』の視聴方法
『ランサム・キャニオン』はNetflixで独占配信中! この他にもNetflixでは同系統のドラマが多数配信中です。「次に観たい作品が見つからない…」という方は、以下の記事も合わせてどうぞ♪
『ランサム・キャニオン』系のNetflixドラマ3選


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1970年代に出会ったタリーとケイトの絆と友情、再生が、過去と現在が交差しながら描かれる感動のヒューマンドラマ。