Netflixドラマ『ドラッグ最速ネット販売マニュアル』は実話を基に、ティーンエイジャーがインターネットでドラッグを販売して帝国を築くというストーリー。高校生版『ブレイキング・バッド』とも呼べるシリーズのシーズン4で何が起こるのか、シーズン3をおさらいしつつ、あらすじなどネタバレあり・なしでダイブイン(考察)していきます!
【本記事の注目点】
・ネタバレを踏みたくない方へ
前半ではネタバレなしのあらすじ&海外評価・筆者の感想を紹介しますので、安心して作品を視聴すべきかどうか判断してみてください。
・ネタバレありで深掘りしたい方へ
後半ではネタバレありの全あらすじ&見どころ・考察で掘り下げ、作品の魅力を余すことなくお届け! すでに視聴済みの方も、おさらいとしてお楽しみください♪
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『ドラッグ最速ネット販売マニュアル』シーズン4の概要
『ドラッグ最速ネット販売マニュアル』のシーズン3をおさらい
本シリーズの主人公は、オタクの高校生モーリツ・ツィマーマン。1年の留学から戻って来たモーリツの彼女リサはドラッグに夢中で、すっかり変わってしまっていた。
そんな彼女にフラれた彼が、リサのハートを取り戻すためにネットでドラッグの販売を開始。モーリツが親友レニーと始めた会社「MyDrugs(マイ・ドラッグ)」は瞬く間に成功を収め、二人はドラッグ帝国を築き上げる。シーズン4のあらすじ&考察に入る前に、まずはシーズン3をおさらいしましょう♪
シーズン3のあらすじ
シーズン2では、「ザ・ダッチ」というオランダ人の危険な女性実業家ビーケとマーレーンと関わったことで、モーリツはレニーとダンと仲間割れ。シーズン3は、モーリツが孤立したままスタートする。モーリツはザ・ダッチと手を組んで、新しいWebサイト「キャンディ・ベイ」を開設しようとしていた。
しかし、ザ・ダッチの二人は見た目に反して超狂暴な筋金入りの犯罪者。この関係から抜け出すためにモーリツは一芝居打ち、警察に密告して彼らの会社を摘発させる。
それを機にモーリツはレニーたちと仲直り。ザ・ダッチから盗んだ大量のドラッグをネットで販売し始めるが、警察の手から逃れていたザ・ダッチがモーリツたちの高校の卒業パーティーに現れる。彼らに殺されそうになった間一髪のところで、モーリツの警官の父親が現れてザ・ダッチを始末するが、モーリツがマイ・ドラッグのオーナーだと睨んでいた別の警官ベネディクト・ケンバーの手が迫り、ついにモーリツは警官に逮捕されてしまう。モーリツは、レニーと彼の恋人キーラ、ダンの関与は明かさず、一人で全ての罪を被った。
レニーは骨肉腫の症状が悪化していたが、ドラッグビジネスで儲けた金を使い、ロサンゼルスの病院で幹細胞治療を受けて病状が改善。ダンは同級生のフッリツィを同棲を始め、リサは大学でジャーナリズムを専攻し、それぞれが人生で前進したところで終了した。
『ドラッグ最速ネット販売マニュアル』シーズン4のあらすじ(ネタバレなし)
シーズン3で警察に逮捕されたモーリツは、8年の刑を言い渡されて服役していた。自分が服役している間に、レニーやダンたちはそれぞれの夢を叶えたり計画を進め、モーリツは置いてけぼりを食ったような気分になってしまう。
しかし、警察との取引きで刑期が4年に短縮されたモーリツは、出所後にプライドを呑み込んで、ダンが起業したゲーマー向け栄養ドリンクの会社「ボーナスライフ」で働き始める。レニーとダンの固い友情を受け入れられないモーリツは、その嫉妬心のせいでトンでもない計画を無謀にも押し進め、物事が次々に裏目に出て再び犯罪の世界に引きずり込まれてしまう……。
果たしてモーリツは、自分で掘った墓穴から抜け出すことが出来るのか……!?
『ドラッグ最速ネット販売マニュアル』シーズン4の海外での評価&筆者の感想(ネタバレなし)
シーズン4は、2021年に配信されたシーズン3から4年の時を経て(間隔空きすぎ~!)リリースされ、30代にしか見えない高校生のモーリツが成人の服役囚として戻って来ました(笑)。
ちなみに、モーリツ役のマキシミリアン・ムントは1996年生まれで、現在29歳。2019年にリリースされたシーズン1の時からオジサン高校生にしか見えませんでしたが、意外と若くてビックリ! 今、35歳ぐらいなのかと思ってました(笑)。
話が逸れてしまいましたが、シーズン1~3はモーリツをはじめ主要キャラターが全員高校生だったので、“ドラッグの密売”という犯罪面だけでなく、彼らの高校生活もストーリー展開で重要な面を持っていました。オタクのモーリツ&レニーはスクール・カーストの底辺にいて、イケメン&体育会系のダンは超人気者といった具合に、青春ドラマとして機能していたのもポイント。
対して、シーズン4ではティーンエイジャーだったキャラクターが成人して仕事に就き、青春ドラマの側面が完全になくなった点が大きな違いです。ですが、その変化がポジティブに作用して、親の保護から離れて自由に動けるようになった彼らが、自身の選択でどのように人生を動かしていくのか、高校時代とのコントラストが強調されていました。
もちろん、モーリツは誤った選択により、以前にも増して危険な世界に引きずり込まれてしまい、前3シーズンよりも犯罪ドラマの面がパワーアップしていたのも評価したい点です。
『ドラッグ最速ネット販売マニュアル』は、巷で高校生版『ブレイキング・バッド』と呼ばれていますが、最終章となるシーズン4では、『ブレイキング・バッド』を彷彿とさせるシーンがあったのも見逃せません。犯罪ドラマや犯罪コメディが好きな人に、超おすすめのシリーズです♪
・ネタバレを知りたい方は、全あらすじ(ネタバレあり)へ飛ぶ
・ネタバレありの深堀りを読みた方は見どころ・考察(ネタバレあり)へ飛ぶ
『ドラッグ最速ネット販売マニュアル』シーズン4の登場人物&キャスト
ダニエル・リファート(ダミアン・ハルドン)
イケメンのスポーツ選手・高校の人気者で、モーリッツの元ライバル。「マイ・ドラッグ」の元パートナーで、新会社「ボーナスライフ」を創設する。
『ドラッグ最速ネット販売マニュアル』シーズン4の全あらすじ(ネタバレあり)
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・モーリツの服役中に友達は人生を前進
・レニーとダンの友情に嫉妬するモーリツ
・売人の連続殺人事件
・3人組が拉致されて砂漠へ
・自ら犠牲になったモーリツ
・ラストで起こったドンデン返し
モーリツの服役中に友達は人生を前進
モーリツは、ドラッグを違法でオンライン販売した罪で、8年の刑を言い渡されて服役中。その間にレニーは幹細胞治療を受けて骨肉腫が完治して歩けるようになり、キーラと結婚して息子が生まれていた。
ダンは、ゲーマー向けの栄養ドリンクの会社「ボーナスライフ」を設立して成功させ、ダンも彼の部下として働いている。リサはジャーナリストとして活躍中で、友達の近況を聞いたモーリツは、自分だけ世界から取り残されたような感覚に陥ってしまう。
しかし、8年の刑だったはずのモーリツは州警察に協力し、麻薬の売人の携帯にスパイウェアを仕込む作業を担うことで、刑期が4年に短縮されて出所。彼はプライドを呑み込み、会社の株2%を所有できる条件でボーナスライフで働き始める。
レニーとダンの友情に嫉妬するモーリツ
モーリツは服役中に、一緒に会社で働き出したレニーとダンの友情に嫉妬しまくっていた。あまり賢いとは言えないダンがCEOとして起業し、会社を成長させたことが信じられず、何か裏があるはずだと探り出す。そして、モーリツは会社のカメラをハッキングして、レニーはダンの部下ではなく、お互いに会社の株を49%持つパートナーだと知り、大きなショックを受ける。
しかし、ボーナスライフの経営は順調とは言えず、ダンは投資家を必要としていた。そこでモーリツは、刑務所で知り合い、彼より先に出所したエルサンのボスの冷凍食品会社「ブロフロスト」に出資させ、ボーナスライフの株49%を手に入れようと考える。自分が所有する2%を合わせれば51%になり、ダンとレニーの持ち株よりも多いため、会社を乗っ取れるからだ。
モーリツは、シーズン3で「ザ・ダッチ」とのビジネスで知り合ったイルゲンをリクルートし、架空のビジネスマンを演じさせて商談を進める。
売人の連続殺人事件
そんななか、リンズルンでは麻薬の売人が殺される事件が続いていた。その犯人は、なんとブロフロストを所有するベザットだった。彼は冷凍食品を隠れ蓑に、ドラッグを密売していたのだ。ベザットは、売人の動きが警察に漏れていることに気づき、口封じのために売人を5人も殺していた。
そんなこととは露知らず、モーリツはボーナスライフへの投資の話をするために、ベザットを訪れた時に全てを知ってしまう。彼らに殺されそうになったモーリツは、売人だけが使えるチャットアプリを作れば安全にドラッグを密売できると提案し、ベザットに1週間でアプリを完成させるよう命じられてしまう。
3人組が拉致されて砂漠へ
しかし、独りでアプリを1週間で完成させることなど不可能だ。そこでモーリツは、ボーナスライフ専用のチャットアプリを開発するように見せかけ、レニーやキーラたちを総動員して何とかアプリを期限内に完成させる。
ところが、売人の連続殺人事件を追っていたリサの存在に気づいたベザットが、リサを殺した(実は死んでいなかった)と思い込んだモーリツが、銃を手にブロフロストに乗り込む。
逆にモーリツはベザットの部下に捕えられてしまい、チャットアプリを動かすサーバーを構築するよう命じられ、ボーナスライフにサーバーを盗みに入る。そこへレニーとダンが現れ、モーリツとエルサンも一緒に砂漠へ連れて行かれてしまう。
自ら犠牲になったモーリツ
3人は、砂漠でサーバーの構築を命じられるが、ダンはIT関係のことはサッパリ分からない。モーリツは、ダンが役立たずだと思われて殺されることを阻止するために、CEOが会社に出勤しないと怪しまれるとベザットを説得し、ダンは解放される。
危機的状況の中、建物で火事が起きた隙にモーリツとレニーは車で逃げるが、ガソリンが切れそうになっていた。そこで覚悟を決めたモーリツは車から降り、「僕はマルウェアだ。問題ばかり起こすし、嫌でもそうプログラムされている。マルウェアは放置せずに削除しないとダメだ」と言い、レニーに独りで逃げるよう説得する。
最初、涙ながらにレニーは反対したが車で走り去り、その後に銃声が響き渡った。
ラストで起こったドンデン返し
モーリツの葬儀で、レニーとダンは彼の妹からUSBドライブを渡される。そこには、モーリツが二人に遺した感謝と別れのメッセージが収録されていて、動画を見たレニーとダンは涙を流す。
ところが、なんとモーリツは生きていた。砂漠で何が起きたかというと、モーリツは腰に隠していた銃でベザットに狙いを定めるが、結局撃つことが出来ずに銃を落としてしまう。しかし、落下の弾みで銃が暴発し、その音に反応した部下二人が発砲するが、誤射でお互いを撃ち合って全滅するというミラクルが起きていた(←このシーンで筆者は爆笑!)。
車に残っていたエルサンも無事で、火事を起こして、レニーとモーリツに逃げるチャンスを作ってくれたのはエルサンだった。
レニーとキーラは息子を連れてシリコンバレーに移住することになり、ダンはエルサンを新パートナーに会社を改革して経営は順調にいっていた。
ラストは、ベニーのスマホに「BeReal」の「M2000」というユーザーから友達リクエストが届き、彼がハッとした表情を浮かべるシーンで終わる。「BeReal」はモーリツが使っていたアプリで、彼はいつも「M1000」というユーザー名を名乗っていた。そのことを知るレニーは、「M2000」がモーリツの新しいアカウントだと察し、親友が生きていると悟ったようだった。
『ドラッグ最速ネット販売マニュアル』シーズン4の見どころ・考察(ネタバレあり
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・実話を基にしたストーリー
・モーリツが暴走した理由
・モーリツが犯罪の世界に引き戻された原因
・犯罪ドラマとコメディ要素のバランス
実話を基にしたストーリー
DWによると、本シリーズで主人公モーリツのモデルになったのは、10代の時に麻薬王になったドイツ人のマクシミリアン・シュミット。「Shiny Flakes (シャイニー・フレイクス)」というWebサイトを開設した彼はドラッグ帝国を築き上げましたが、彼の家族は息子の“ビジネス”について何も知らなかったというから驚きです。
マクシミリアンは1年以上にわたり、コカインやエクスタシー、処方薬など900キログラムを郵便で世界中に郵送。しかし、配達されなかった麻薬の小包からマクシミリアンに辿り着き、2015年2月、警察は20歳になっていた彼を逮捕し、彼のアパートで数百万ユーロ相当の麻薬320キロを押収しました。
この信じられないような実話は、Netflixのドキュメンタリー映画『Shiny_Flakes:こうして僕は麻薬王になった』で視聴できるので、気になる人はチェックしてみてはどうでしょうか。
モーリツが暴走した理由
本シリーズで根幹を成すのは、幼なじみとして育ったモーリツとレニーの友情です。シーズン3でモーリツはレニー&ダンと仲間割れして、シーズン4では自分が服役している間にレニーと疎遠になってしまいました。
しかも、レニーとダンが起業パートナーになったことを知って動揺したモーリツは、嫉妬のせいでボーナスライフの乗っ取りを企てるほど暴走してしまいます。「マイ・ドラッグ」を始めたのはモーリツ自身ですが、ドラッグ密売に深く関わっていたレニーとダンをかばい、自ら全ての罪を被って服役したという背景がありました。
それにもかかわらず、レニーとダンが順調に人生を前進させ、ビジネスで成功していく姿を目の当たりにして、モーリツは深い孤独感に襲われ、その反動で極端な行動に出てしまったのかもしれません。
モーリツが犯罪の世界に引き戻された原因
同性愛者でもないのに、元恋人を取り返すかのごとく、レニーとの友情に執着するモーリツは少しばかり常軌を逸しているようにも見えました。その執着心は、モーリツの自己価値観の低さが影響しているのかもしれません。
まだ、自己が確立されていない思春期にドラッグ帝国を築き上げたモーリツは、言ってみれば犯罪の世界に自分の大きな居場所を見つけた訳です。その居場所を逮捕・服役という形で取り上げられてしまい、出所後にモーリツは犯罪とは関わりたくないと言っていたのに、その世界に再び引きずり込まれたのは、他に自己の存在意義を感じられる場所を見つけられなかったからかもしれません。
そんなモーリツの精神状態は、「僕はマルウェアだ。問題ばかり起こすし、嫌でもそうプログラムされている。マルウェアは放置せずに削除しないとダメだ」というセリフに要約されていたように思います。
モーリツの最後の償い
シーズン3でモーリツは、レニーたちの代わりに全て罪を被る形で自己犠牲を払いましたが、シーズン4のラストでは、レニーを救うために自分が死ぬことで全ての罪を贖おうとしました。モーリツにとって、レニーを救うことが自己の価値を再確認する唯一の方法だったのかもしれません。
またモーリツは、みんなに自分は死んだと思わせることで「マルウェアを削除」して、自己の存在が周りにもたらす悪影響を断ち切ることが最善だと判断したのでないでしょうか。
犯罪ドラマとコメディ要素のバランス
シーズン4ではモーリツの未熟さにより、ますます犯罪面がパワーアップされ、最終話の砂漠のシーンは、『ブレイキング・バッド』の舞台になった荒涼としたアルバカーキを思わせ、オマージュを捧げているのかなと思いました。
一方、クライム・サスペンスとして緊張感が強化される中で、相変わらずコメディ要素もバリバリに健在していたのもポイント。モーリツが刑務所で見まくっていたロマコメ映画『恋のからさわぎ』や『ラブ・アクチュアリー』などのシーンを、カツラを被ったモーリツ&レニーが再現するシーンが笑えましたが、モーリツの執着心をコメディタッチで表現する良いスパイスになっていたのではないでしょうか。
犯罪サスペンスとコメディ要素の絶妙なバランス感が、作品の魅力を一層引き立てていました♪
『ドラッグ最速ネット販売マニュアル』シーズン4のまとめ
シーズン3から4年近くも待たされた最終章のシーズン4は、モーリツの“ドラッグ密売者”というペルソナを完結させる完璧なキャラクターアークとストーリー展開で、筆者は大満足でした♪
『ドラッグ最速ネット販売マニュアル』は、全シーズンが6話構成で1話が約30分と軽くイッキ見できるシリーズなので、ぜひNetflixでチェックしてみてください!

