Disney+配信のHuluドラマ『グッド・アメリカン・ファミリー』は、小人症を患う7歳の少女ナタリアを養子に迎えたバーネット夫妻が、次第に養女の年齢や生い立ちに疑念を抱くようになる……というストーリー。衝撃の実話を基にしたシリーズで何が起きるのか、キャストやあらすじなどネタバレあり・なしでダイブイン(考察)していきます!
【本記事の注目点】
・ネタバレを踏みたくない方へ
前半ではネタバレなしのあらすじ&海外評価・筆者の感想を紹介しますので、安心して作品を視聴すべきかどうか判断してみてください。
・ネタバレありで深掘りしたい方へ
後半ではネタバレありの全あらすじ&見どころ・考察で掘り下げ、作品の魅力を余すことなくお届け! すでに視聴済みの方も、おさらいとしてお楽しみください♪
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『グッド・アメリカン・ファミリー』の概要
『グッド・アメリカン・ファミリー』のあらすじ(ネタバレなし)
クリスティン&マイケル・バーネット夫妻は実子2人と養子ジェイコブと暮らしていたが、二人は娘を求めていた。養子斡旋会社「ファーストパス」から連絡を受けた夫妻は、7歳で小人症のナタリア・グレイスという少女を養女に迎える。
最初、ウクライナ生まれのナタリアは愛らしい態度で養父母を魅了したが、クリスティンと兄3人に攻撃的な態度を示し始める。ナタリアはマイケルだけに愛らしい娘を演じていたため、いくらクリスティンが夫にナタリアの狂暴性を訴えても一向に理解してもらえない。
ナタリアが小学校に通学し始めると、学校からナタリアの書類の不備を指摘され、クリスティンは「ファーストパス」に連絡を取るが軽くあしらわれてしまう。養子縁組に疑念を募らせ始めたクリスティンが独自の調査を始めると、次々にナタリアの真実が明らかになっていくが……。
・ダークなストーリーが好きな人へ
『グッド・アメリカン・ファミリー』海外での評価&筆者の感想(ネタバレなし)
『グッド・アメリカン・ファミリー』は実話を基にしたの衝撃作で、視聴者に「事実とは何か」、「親とは何か」という重い問いを突きつけるシリーズです。ウクライナ出身の少女ナタリアを養女に迎えたバーネット夫妻の家庭で起きる不穏な出来事の数々は、ただのサスペンスに留まらず、観る者の感情をかき乱す心理ドラマとして展開されます。
演出はあくまで冷静で、どちらの言い分にも偏らず、観る者の判断力を試すような構成が特徴。お互いの主張が異なる、ナタリアとマイケルの発言を中心したドキュメンタリー番組が下敷きになっているため、ナタリアが本当に子どもだったのか、それとも詐欺師だったのかという明確な結論を避けることで、この物語は現代社会における「信じること」の難しさや、「正義」の曖昧さをリアルに浮き彫りにしていると思いました。
単なるセンセーショナルな実録ドラマに留まらず、人間の闇と家族の崩壊、そして再生の可能性を描いた見応えある構成で、興味本位で観始めたはずが、気づけば「真実とは?」という問いに向き合わされている……、そんな体験を求める人におすすめのシリーズです。
このドラマは、観る前と後で大きく印象が変わるはず。どちらの主張を信じるのか、ご自分で答えを出してみてはどうでしょうか?
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『グッド・アメリカン・ファミリー』の登場人物&キャスト
クリスティン・バーネット(エレン・ポンピオ)
ナタリアの養母。自閉症の息子ジェイコブの子育てを記した著書がベストセラーになる。
マイケル・バーネット(マーク・デュプラス)
クリスティンの夫。ナタリアに騙されていたと感じるまでは溺愛していた。
ナタリア・グレイス(イモジェン・フェイス・リード)
7歳の少女としてバーネット家の養女になるが、バーネット夫妻により、その年齢が21歳だとされる。
ブランドン・ドライスデイル(デュレ・ヒル)
ナタリアの件を捜査する刑事。
シンシア・マンス(クリスティーナ・ヘンドリックス)
偶然知り合ったナタリアを自宅に引き取り、後に正式な養母となる。
『グッド・アメリカン・ファミリー』の全あらすじ(ネタバレあリ)
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・7歳の少女を養子に迎えたバーネット夫妻
・疑念を募らせていくクリスティン
・ナタリアは詐欺師……!?
・独り暮らしを始めたナタリア
・シンシアとの出会い
・自分側の物語を主張し始めたナタリア
7歳の少女を養子に迎えたバーネット夫妻
2019年、物理学の天才である自閉症の養子ジェイコブの子育てについて執筆した著書がベストセラーになったクリスティン・バー ネットが、育児放棄の容疑で逮捕される。
時は戻って2010年。クリスティン&マイケル・バーネットは実子2人と養子ジェイコブと暮らしていたが、夫妻は娘を求めていた。養子斡旋会社「ファーストパス」から連絡を受けた二人は、7歳で小人症のナタリア・グレイスという少女を養女に迎える。
最初、ウクライナ出身のナタリアは愛らしい態度で養父母を魅了したが、クリスティンと兄3人に攻撃的な態度を示し始める。ナタリアはマイケルだけに愛らしい娘を演じていたため、いくらクリスティンが夫にナタリアの狂暴性を訴えても一向に理解してもらえない。
疑念を募らせていくクリスティン
クリスティンはナタリアの初登校日に、学校でウクライナの出生証明書が偽造に見えることや、他の書類の不備を指摘される。不審に思ったクリスティンがファーストパスについて調べるうち、同社が詐欺行為でクレームを何度も受けていたことを知る。
ナタリアは床に画鋲をバラまいたり、ナイフでぬいぐるみをバラバラにしたりして問題行動が増え続けていく。そんななかクリスティンは、7歳であるはずのナタリアに陰毛が生えていることに気づいて驚愕。医師に相談するが、ナタリアの正確な年齢は分からないと言われてしまう。
ナタリアは詐欺師……!?
ナタリアの素性について独自の調査を続けていたクリスティンは、当局から届いた出生証明書の写真が別人で、ナタリアが他の子どものアイデンティティを盗んでいたことを知る。
クリスティンは前の養母を見つけ出して話をし、実はナタリアは成人で、医療費を保険局から巻き上げるためにファーストパスと結託していたと聞かされる。
クリスティンは全ての証拠をマイケルに突きつけるが、それでも彼は妻の話を信じようとしない。
独り暮らしを始めたナタリア
バーネット夫妻は、すでにナタリアと2年暮らしていた。その間にクリスティンは、出版した著書の宣伝でテレビ番組に出演するなどで多忙を極めるように。一方のマイケルは家電量販店の仕事を失い、職を探していた。そんななかマイケルは、ナタリアがクリスティンと兄3人の死を望む発言を聞いて、ようやく妻の言葉を信じるようになる。
ある日、夫妻はたまたま知り合った警官に、子どもに見えるナタリアが実は大人で詐欺師だと訴え、二人の話を信じた警官の援助で順調に法的手続きを進める。夫妻はナタリアのためにアパートを借り、法的後見人として生活費は払うが、ナタリアは独り暮らしを始めることになる。
それまで子どもとして暮らしていたナタリアは、掃除もしないし料理もできず、嫌いな風呂にも入らないし独り生活はメチャクチャだった。ナタリアは近所の少年に自分は8歳だと言って、バスでバーネット夫妻の家に連れて行ってもらうが、家は売りに出されていた。一家はナタリアに何も告げずに、カナダへ引っ越していた。
ナタリアが、再び子どもの振りをして人を騙したことを知ったクリスティンは、彼女にコミュニティカレッジに通って仕事を見つけ、自立するよう命じる。ナタリアは家族を失いたくないため、クリスティンの言う通りにすると約束する。
シンシアとの出会い
学校になじめず、友達もいないナタリアが足を怪我してホームレスのような姿で座っていると、通りがかりのシンシアという女性に声をかけられる。夫が牧師で教会を運営していると言う彼女が、ナタリアを家に連れて帰り、夕食を振る舞って一緒に過ごす。
彼女は一見親切だが、ナタリアのEBTカード(フードスタンプ)と、障がい者に送られる給付金を管理するようになる。
自分側の物語を主張し始めたナタリア
2012年にナタリアは自分側の主張を語ることに決め、シンシアと彼女の夫アントワンとテレビ番組に出演。バーネット夫妻に、「自分は8歳の子どもではなく、22歳だと言うようと強要された」と語り、バーネット夫妻は育児放棄の容疑で起訴される。
裁判が進む中、ナタリアを出産した実母が現れ、バーネット夫妻がナタリアの出生年だと主張する1989年ではなく、2003年に娘を出産したと明かす。
最終的に裁判でマイケルは無罪となり、クリスティンへの告訴は取り下げられた。ラストは無罪になったマイケルを訪れたナタリアが、「なぜ、もっと自分を支えてくれなかったのか」と問い詰め、マイケルが「自分にはそんな力はなかった」と答えるシーンで終了する。
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『グッド・アメリカン・ファミリー』の見どころ・考察(ネタバレあり)
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・どこまで実話に忠実?
・真実はひとつではない―視点によって変わる物語
・クリスティンは名声を求める偽善者!?
どこまで実話に忠実?
『グッド・アメリカン・ファミリー』は実話を基にしたドラマシリーズですが、どこまでに実話に忠実なのでしょうか?
TIMEによると、2010年にナタリアを養子に迎えたバーネット夫妻は養女の年齢や生い立ちに疑念を抱き、2012年にナタリアの年齢を法的に8歳から22歳に変更し、彼女をアパートに一人暮らしさせたとのこと。
その後に夫妻は育児放棄で起訴されましたが、マイケルは無罪となり、クリスティンへの告訴は取り下げられました。マイケルとナタリアは、ドキュメンタリー番組『The Curious Case of Natalia Grace(原題)』で、それぞれ何が起きたかを語っています。
番組で夫妻はナタリアに脅かされたと言い、ナタリアは慢性的な痛みとトラウマを抱える自分に、夫妻が耐えられなかったと主張しました。
ドキュメンタリーでは遺伝子検査の結果、ナタリアは約22歳だと診断されたため、ナタリアの生年月日が2003年に変更されたと描かれています。そして2012年に、インディアナ州の裁判所がナタリアの出生年を2003年から1989年に変更しました。
ドラマで描かれた、ナタリアがナイフを隠し持っていたことや、クリスティンのコーヒーに毒を盛ったことなどは、ドキュメンタリーのマイケルによる証言を基に再現されました。しかし、ナタリアは背が低すぎてキッチンカウンターに届かないため、毒を盛ることは不可能だったと反論しています。
また、ドラマに登場したシンシア・マンスも実在の人物で、実際にナタリアを保護して一緒に暮らし始め、2023年に正式に養子縁組されたそうです。
真実はひとつではない―視点によって変わる物語
このドラマシリーズは実話を基にしたというだけでなく、「真実とは何か」という根本的な問いを視聴者に投げかける作品です。単純な“善”と“悪”の対立ではなく、観る者の視点によって全く異なる真実が語られるという複雑さが大きな見どころではないでしょうか。
興味深いのは関係者全員が異なる物語を信じていて、視聴者もそのどれを信じるかで感情移入の対象が変わるはず。ナタリアは本当に子どもだったのか? それとも詐欺師だったのか……!? 本シリーズは明確な答えを出すことなく、矛盾や曖昧さをそのまま残したまま終了します。
ナタリアの視点とクリスティンの視点、どちらが正しいのか……。本シリーズはその答えを見つけることが目的ではなく、「誰の物語が語られるのか」、「語る権利とは何か」を問いかけた作品だと感じました。見終わった後に残るモヤモヤやざわつく感情こそが、この作品の本質かもしれません。
クリスティンは名声を求める偽善者!?
筆者が本シリーズで一番印象に残ったのが、「クリスティンにとって、ナタリアは“新しいプロジェクト”にすぎなかった」というシンシアの言葉でした。
クリスティンは自閉症の息子ジェイコブを天才児として育て上げた実績があり、「特別な子どもを導く母」という社会的イメージを確立しました。その延長線上に、ナタリアの養子縁組があったのではないかという想いを抱いた視聴者は少なくなかったのではないでしょうか。
その言葉は、いつの間にか支援や慈善行為が、自己実現や名声の道具になってしまう危うさを問いかけているように思いました。ナタリアが“助けるべき対象”である限り、クリスティンは“良き母”で“闘う女性”というイメージを維持できますが、その“プロジェクト”が上手くいかなくなり、ナタリアは“失敗作”として切り捨てられたのではないか……? そうシンシアは問いかけているのです。
一方のシンシアもナタリアのフードスタンプや給付金を管理して、結果として彼女を新たな「管理対象」として扱っていたことを忘れてはいけません。このセリフは善意に潜む支配欲や、“誰かを救う”という行為にある権力構造を問いかけているように感じました。
『グッド・アメリカン・ファミリー』のまとめ
『グッド・アメリカン・ファミリー』は、「真実とは何か!?」を深く問いかける衝撃作。ナタリアをめぐって誰もが異なる真実を語る中で、観る者も当事者のように巻き込まれていく見応えあるシリーズです。
単なるスキャンダルの再現ではなく、現代社会のモラルに切り込むヒューマンドラマを観て自分がどう感じ、何を信じるかを問いかけてみてはどうでしょうか? ぜひ、『グッド・アメリカン・ファミリー』をDisney+でチェックしてみてください!
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