Netflixドラマ『CAUGHT 摘発の果てに』は、人気推理作家ハーラン・コーベンの小説をドラマ化したシリーズ。アルゼンチンのパタゴニアを舞台にしたスリリングなサスペンスドラマで何が起こるのか、キャストやあらすじなどネタバレあり・なしでダイブイン(考察)していきます!
【本記事の注目点】
・ネタバレを踏みたくない方へ
前半ではネタバレなしのあらすじ&海外評価・筆者の感想を紹介しますので、安心して作品を視聴すべきかどうか判断してみてください。
・ネタバレありで深掘りしたい方へ
後半ではネタバレありの全あらすじ&見どころ・考察で、作品の魅力を余すことなくお届け! すでに視聴済みの方も、おさらいとしてお楽しみください♪
『CAUGHT 摘発の果てに』の概要
『CAUGHT 摘発の果てに』のあらすじ(ネタバレなし)
アルゼンチンのパタゴニア地方にあるバリローチェを舞台にした本シリーズは、米国の犯罪推理小説家ハーラン・コーベンによる2010年の小説『Caught』を映像化したもの。コーベン原作のドラマとしては、初めて南米を舞台にした作品となっている。
主人公は、法の網をすり抜ける犯罪者を捕えることで名を挙げた、ジャーナリストのエマ・ガライ。地元の人たちから信頼を集めるエマは、未成年の少女が性犯罪の犠牲になる事件を追っていた。
第一容疑者として浮上したのは、恵まれない子どもたちを支援する財団の運営者レオ・マーサー。彼が摘発された後、16歳の少女マルティナが失踪。エマは、彼女の行方も捜査し始める。
エマはレオが全ての事件に関わっていると信じていたが、判断を誤った彼女のせいで、衝撃的な出来事が起きてしまう。マルティナの行方を探せば探すほど、レオが犯人なのかどうか確証が持てなくなっていくエマは、さらに手掛かりを追って真相に迫っていく……。
『CAUGHT 摘発の果てに』の海外の評価&筆者の感想(ネタバレなし)
ハーラン・コーベンのドラマ化作品は、どれも二転三転するストーリーと、予想を裏切られる展開続きでハラハラドキドキが止まらないのですが、今回も存分に楽しませてくれました!
とはいえ、パタゴニアの壮大な山々や雄大な湖といった美しい自然を背景に事件が起きるので、作品としては、全体的に少し落ち着いたトーンだったかなという印象を持ちました。ですが、事件に関わった人間の闇と美しい自然が絶妙なコントラストを生み出し、良いスパイスになっていたのではないでしょうか。
筆者は本シリーズを、最近Netflixで配信された『アドレセンス』と比較しながら視聴しました。というのも、『CAUGHT 摘発の果てに』では若い女性をグルーミングする年上男性や、未成年がネットで性を売る問題が取り上げられているからです。グルーミングとは、年上男性が未成年の少女を手なづけて搾取することを意味します。
『アドレセンス』は、ここ近年ネットで蔓延っているインセルやマノスフィア文化をネットで知り、傾倒していった少年の悲劇が描かれるので、共通のテーマを持っていると言えるでしょう。この辺のところを、『CAUGHT 摘発の果てに』の見どころ・考察(ネタバレあり)でもっと掘り下げています。
「犯人は誰なのか? 一体何が起こったのか!?」という謎だけでなく、現代社会が抱える問題にも光を当てた見応えあるシリーズ。犯罪ドラマや社会派ドラマが好きな人におすすめです!
・ネタバレを知りたい方は、全あらすじ(ネタバレあり)へ飛ぶ
・ネタバレありの深堀りを読みた方は見どころ・考察(ネタバレあり)へ飛ぶ
『CAUGHT 摘発の果てに』の登場人物&キャスト
『CAUGHT 摘発の果てに』の全あらすじ(ネタバレあり)

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以下、物語の展開を時系列順にまとめました。
・未成年女性に対する連続性犯罪事件
・マルティナの失踪
・逃走するレオ
・マルティナのアブないビジネス
・マルコスの関与
・未成年性暴行事件の真犯人が逮捕
・事件の真相は!?
・マルティナを殺した犯人は!?
・ラストシーンがサプライズ!
未成年女性に対する連続性犯罪事件
ラド・バリローチェ誌の敏腕ジャーナリストとして地元で熱い信頼を得ているエマ・ガライは、バリローチェで多発している未成年の少女に対する連続性犯罪事件を捜査していた。
ある情報筋から、シティ・オブ・パーソンズというゲームのユーザー「ファイナルゲーム05」が怪しいと睨んだエマは、おとりアカウントを作って容疑者とチャットでやり取りしていた。なんとか相手と実際に会う段取りを整えたが、テディベアのぬいぐるみを手にした怪しい人物を見失ってしまう。
その事件の被害者の一人、カミラという少女を取材しに行った時、エマはカミラの家族の旧友だというレオ・マルセルに阻まれてしまう。しかし、その後でエマは彼から捜査に協力したいとの連絡を受け、レオが運営する青少年支援のフロンテラス財団を訪れる。その時に、お互いに惹かれ合っていることは明白だったエマとレオは、早くも男女の関係になる。
その後、チャットでファイナルゲーム05から連絡を受けたエマは、「今夜しか会えない」と言われ、指定された場所で会うことに。同僚を引き連れてカメラを用意して待ち伏せしていると、なんと現れたのはレオだった。驚いたエマはカメラを回しながら彼を非難し、動揺したレオはその場から逃げる。
マルティナの失踪
エマの息子ブルーノと同じ学校に通う、マルティナという16歳の少女がパーティーの後、行方不明になる。
パーティーの様子を撮影した動画で、彼女はボートに乗って街へ戻っていたことが分かるが、湖に浮いていたボートと彼女が身に着けていたスカーフが発見されたため、酔っ払って湖に落ちたのではないかと推測される。
逃走するレオ
エマは、事件の第一容疑者となったレオから連絡を受け、話を聞くことにする。レオは、マルティナという少女から助けを求められて待ち合わせ場所へ行くと、エマたちに待ち伏されたと説明。エマも自分も誰かにハメられたと主張する。
その時、レオが娘カミラを犯したと思っている父親ファクンドが現れ、レオに向かって発砲。レオは首を撃たれて崖から転落し、川に落ちてしまう。
警察の家宅捜索により、レオの自宅で「ファイナルゲーム05」のチャット記録が残ったパソコンや、テディベアなどの証拠が見つかり、マルティナの遺体も森で発見される。
マルティナのアブないビジネス
エマの元にUSBドライブが届けられ、その内容を見た彼女は驚く。マルティナは、SNSにエロティックな画像や動画を投稿してお金を稼いでいたのだ。諸々の手掛かりを追ったエマは、マルティナがユーザーの一人に招かれてブエノスアイレスへ行き、豪華なホテルに泊まっていたと推測。エマは現地へ飛び、マルティナが宿泊したホテルの同じ部屋に泊まるが、突然フラン・ブリーゲルという男の訪問を受ける。
彼は、パタゴニアや南米諸国で不動業を営む事業家で、マルティナの“パフォーマンス”をネットで見てファンになり、目の前で実演してもらうために呼び寄せたと説明。そのことはバリローチェの警察も知っていると言い、エマは未成年者による自慰行為の実演にお金を払った男性が、無罪放免になっていたことに驚愕する。
エマはフロント係に頼み、マルティナが宿泊した日付の監視カメラの映像を送ってもらう。すると、そこに映っていたのはレオの親友マルコスだった。
マルコスの関与
エマがマルコスに説明を求めに行くと、彼はフランが手配したブエノスアイレスへ行きの自家用機で、マルティナと出会ったと明かす。ブラウン家とブリーゲル家は、バリローチェでビジネスの競合として凌ぎを削り合う関係にあった。
フリンはマルティナと密会した後、マルコスにビジネスの取引条件としてマルティナを帰宅させるよう命じたため、マルコスは彼女を助けたとエマに説明する。
未成年性暴行事件の真犯人が逮捕
そんななか、ある少女が男との密会で再び襲われそうになったが脱出し、犯人が逮捕される。被害者の一人であるカミラが、警察の面通しで犯人を確認して真犯人が逮捕され、その事実を知ったエマは、自分の誤解でレオが濡れ衣を着せられて亡くなったことに大きな責任を感じる。
事件の真相は!?

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30年前にレオとマルコスは、ブリーゲル家がネオナチの子孫であるという噂を証明するために、ブリーゲル家に侵入した。その証拠を手に入れれば、ライバル関係にあるブリーゲル家を失墜させられるからだ。しかし、その際にマルコスだけが捕まってしまい、一人で罪を負うという事件が起きていた。
エマと同僚の調べにより、そのせいで両親に見放された彼はブエノスアイレスへ追いやられ、横領罪でトラブルになっていたことが判明。マルコスは、再起のためにレオが運営する財団の土地が必要となり、30年前の事件について恩を着せ、土地を売ってほしいと懇願する。しかし、レオはマルコスの頼みを拒んだ。
財団の土地は上層部の者が犯罪を犯した場合、安く競売にかけられる契約になっていた。そのことに目を付けたマルコスは、ブエノスアイレスで出会ったマルティナとレオに面識があると知り、その関係と地元で起こっていた未成年性暴行事件を利用することを決める。
「ファイナルゲーム05というユーザーが怪しい」という情報をエマに伝えたのは、マルコスだったのだ。マルコスは「ファイナルゲーム05」を装い、餌に食いついたエマとチャットでやり取りし、その間にマルティナを心配する振りをして優しく接し、グルーミングで手なづけていった。
そして、マルティナから十分な信用を得たタイミングで、レオに電話をして呼び出すよう指示を出し、同時にエマたちもおびき寄せた。その間にマルコスはレオの家に侵入して証拠を仕込み、彼を容疑者に仕立て上げたのだった。
マルティナを殺した犯人は!?
しかし、マルティナを殺したのはマルコスではなかった。パーティーの後、マルティナと一緒にボートに乗っていたのは、レオの旧友フリアナの息子アルマンドだった。その夜、マルティナは自分が電話でレオを呼び出したせいで、彼が容疑者にされたことを知って激しく動揺。マルコスに電話をして非難している会話を、アルマンドに聞かれてしまう。
レオを父親のように慕っていた彼は、マルティナの関与に激怒して口論となり、突き飛ばした時に彼女が階段から転落。マルティナは事故で亡くなり、そこへ帰宅したフリアナは息子を助けるために、森へ遺体を運んで事故を隠蔽したのだった。事故が明らかになったことで、アルマンドは警察に逮捕される。
ラストシーンがサプライズ!
事件は解決したものの、エマはレオの遺体が発見されていないことが気になっていた。警察は、水圧のせいで遺体が浮き上がってこないからだと推測するが、川は湾曲しているためその可能性は考えにくい。自然を愛するレオは森を知り尽くしているため、エマは彼が生き延びている可能性に想いを馳せる。
それを証明するかのように、ラストシーンは馬に乗ったレオが若者を引き連れて、雄大なパタゴニアの景色の中を進むシーンで終了する。
『CAUGHT 摘発の果てに』の見どころ・考察(ネタバレあり)

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以下のポイントに注目して考察を深掘りしていきます。
・筆者が怪しいと思った人物
・私情に翻弄されたエマの判断ミス
・グルーミングの現実的な問題
・ラストシーンの意味と解釈
筆者が怪しいと思った人物
犯罪推理ドラマシリーズって、分からない時は本当に誰が犯人だか見当もつかないのですが、今回はドンピシャ!
筆者は最初からマルコスが怪しいと睨んでいて、あまり事件と関係なさそうなのにチョコチョコと登場するアルマンドも、何らかの形で事件に関与してるのではないかという勘が働いたのですが、当たっていました。
マルコスは、エマが現行犯でレオを捕えた動画もあるのに、「親友を信じる」の一点張りで、「自分が犯人だから、レオは違うと言い切れるんじゃないの!?」と思った筆者。また、彼が不動産関係の仕事をしているのも引っ掛かった理由です。
壮大な自然を誇るパタゴニアで不動産業や土地開発って相反するイメージしかないので、「土地の売買とかが事件の動機になっているのでは……!?」と自分なりに推理したのですが、これもドンピシャでした♪
簡単に犯人を推測できましたが、そのせいでストーリー展開のスリルが欠けるとか、そんなことは全くありませんでした。
私情に翻弄されたエマ
敏腕ジャーナリストのエマと、青少年のために財団を運営するレオ。両者ともに同年代で容姿端麗、しかも知的で社会に貢献する仕事をしているという共通点もあり、2回目の対面で恋の火花がバチバチと視線で飛び交う様が凄かった(笑)。
あっという間に二人が男女の関係になってしまい、その展開の速さにも驚きましたが、私情に翻弄されてしまったエマにもビックリ! というのも、レオが未成年の少女をを狙う性犯罪者だったら、中年のエマに興味を示す訳がないからです。
そこに気づいていたら、レオが犯人だとは思わなかったはず。普段は洞察力に優れているエマなのに、「なんで、その大事なポイントを見落としちゃったの~!?」と歯がゆい思いになってしまった筆者。
かなりエマはレオに惹かれているようだったので、待ち合わせ場所にレオが現れて、「まんまと騙された!」という思いになり、エゴとプライドが傷つけられたのかもしれません。
もし、エマが彼と体の関係になっていなかったら、早い段階で現場を押さえた動画を公開することはなかったのでは?と思いました。もっとエマが冷静に判断できていれば、さらに証拠集めて容疑を固めてから告発していたのではないでしょうか。
グルーミングの問題
本シリーズは、未成年の少女をグルーミングする男たちと、自分の性を軽い気持ちでネットで売るティーンエイジャーの問題を取り上げていた点が見逃せません。グルーミングとは、年上男性が未成年の少女を手なづけて搾取すること。劇中では、まさにマルコスとマルティナの関係がグルーミングに当たります。
現代のグルーミングは性的搾取に留まらず、犯罪への加担などにも及んでいて、SNSやチャットアプリなど未成年が使うプラットフォームが加害者にとって狩り場となり、未成年者が常に危険にさらされている状態です。その点では、ネットの使用により、インセルやマノスフィア文化に洗脳された少年の悲劇を描く『アドレセンス』と大きな共通点があると言えるでしょう。
また、未成年の少女がエロティックな画像や動画をネットで共有して、簡単にお金を稼げる現状も大きな問題です。匿名性に隠れて軽い気持ちで始めたことでも、大きなトラブルに繋がる危険性をはらんでいるため、親子のオープンなオミュニケーションや指導が必要になると思います。
第1話で、エマが財団で青少年に話をした時に、「グルーミングの経験者は?」と質問すると、その場にいたほとんどの若者が手を挙げたシーンにゾっとしました。現代の青少年がSNSやネット文化から身を守れるように、政府の教育機関レベルで法の制定などが必要なのではないかと感じました。
ハーラン・コーベンの原作小説『Caught』は2010年に出版されたのですが、その当時は「グルーミング」という表現は一般的ではなかったので、ドラマ化にあたり、現代が抱える問題を反映させるために翻案されたのかな?と思いました。
ラストシーンの意味は?
ラストシーンは、レオが雄大なパタゴニアの自然の中を、青少年グループを連れて馬で進むシーンで終了しました。一瞬、「これってフラッシュバックシーン?」と思ったのですが、おそらくレオは生き延びて、これまでに財団でしていたように「子どもたちを指導する」という、情熱を傾けられる仕事を続けていると示唆していたのではないかと思います。
ハーラン・コーベンのユニバース
ハーラン・コーベンはNetflixと包括契約を結んでいて、自身の小説を数多くドラマ化していますが、英語圏の国以外で積極的に製作している点が筆者のお気に入りです。
例えば、『ジャスト・ワン・ルック』はポーランドで製作・撮影されているのでワルシャワの街並みを見ることが出来るし、『CAUGHT 摘発の果てに』はパタゴニアの雄大すぎる景観を堪能できました。アルゼンチンやポーランドのドラマってナカナカ観る機会がないので、多様性を広めたり、他の国を紹介する意味でも意義があることではないでしょうか。
ちなみにDeadlineによると、これまでにNetflixではアメリカを舞台にしたコーベン原作のシリーズは製作されていないのですが、ついにアメリカを舞台にした『I Will Find You(原題)』が登場するとのこと。配信日は未定ですが、ハーラン・コーベンのユニバースが拡大中です。さらに、コーベンの代表作であるマイロン・ボライターを主人公にした小説シリーズもNetflixで製作を控えているので楽しみですね♪
『CAUGHT 摘発の果てに』のまとめ
本シリーズは、「誰がマルティナを殺したのか!?」という謎解きだけでなく、グルーミングや性を軽い気持ちで売る未成年の少女など、社会問題にも深く切り込んでいて見応えタップリ! 犯罪ドラマや社会派ドラマが好きな人におすすめです。パタゴニアの壮大すぎる絶景も息を呑むばかりで、ガッツリ目が癒されますよ♪ ぜひ、Netflixで『CAUGHT 摘発の果てに』をチェックしてみてください。

