Netflix『葬儀屋の女』シーズン2ネタバレあり・なし感想 スナッフフィルムを巡る危険なゲーム!

『葬儀屋の女』の主人公ブルムが振り返っている
出展元:https://www.heavenofhorror.com

Netflixドラマ『葬儀屋の女』は、オーストリアの田舎町で葬儀屋を営むブルムを主人公に描くサスペンスシリーズ。シーズン1では、ブルムが不審死を遂げた夫の謎に迫りましたが、シーズン2では何が起こるのか、シーズン1をおさらにしながらネタバレあり・なしでダイブイン(考察)していきます!



【本記事の注目点】

・ネタバレを踏みたくない方へ
前半ではネタバレなしのあらすじ&海外評価・筆者の感想を紹介しますので、安心して作品を視聴すべきかどうか判断してみてください。

・ネタバレありで深掘りしたい方へ
後半ではネタバレありの全あらすじ&見どころ・考察で、作品の魅力を余すことなくお届け! すでに視聴済みの方も、おさらいとしてお楽しみください♪

『葬儀屋の女』の概要

製作:Netflix
ジャンル:サスペンス、スリラー
配信日:2025年3月19日
製作国:オーストリア
話数:全6話
原作:ベルンハルト・アイヒナー
クリエイター:バーバラ・ステンパンスキー、ベニート・ミューラー、ヴォルフガンク・ミューラー

『葬儀屋の女』のシーズン1をおさらい

夫を殺されたブルム

オーストリアの田舎町で葬儀屋を営むブルムは、警察官の夫マークと2人の子ども、義父と平凡な暮らしを送っていた。ところがある日、バイクで出勤しようとしていた夫が車にはねられて急死してしまう。

夫の浮気を疑っていたブルムは、マークの死後に夫のスマホをチェックし、彼がある人物とメッセージをやり取りしていて、山小屋へ来て欲しいとの連絡を受けていたことを知る。

現地へ向かったブルムは、マークに連絡していた移民のドンニャという女性と遭遇。彼女は、動物の仮面を被った男たちに監禁・虐待されて殺されそうになったが、何とか逃げ出してマークに救出されたと打ち明ける。

独自の捜査を開始したブルム

精神的に不安定なドンニャを自宅へ連れて帰ったブルムは、彼女を助けたマークが何者かに殺されたと確信し、独自の捜査を開始。ドンニャの証言から手掛かりを辿ったブルムは、地元で権力を握るシェーンボルン家のエドウィンと教会の牧師、レストランを経営するプフが事件に関与していることを突き止める。

また、病院の医師も犯人の一人だと明らかになり、ブルムは葬儀屋で培った死に関する知識と遺体を扱うスキルで、次々に夫の死に関与した人物に手を下していく。

連続殺人鬼の一面を見せ始めたブルム

その過程で、ブルムが養父母を殺していた事実が明らかになり、彼女のシリアルキラーの性質が浮き彫りになる。

ドンニャや、他の移民女性を虐待して殺害していた男たちは4人だと思われたが、マークの同僚で、ブルムも親しくしていた警官のマッシモが5人目の犯人であることが発覚。数々の凶行に及んでいた5人は、青年時代に地元の若い女性に性的暴行を加えて殺害した過去で繋っていた。

ブルムは、葬儀屋で働くラザの手を借りてマッシモを殺害する。二人は、これまでに殺した男たちの遺体をバラバラにして、事件とは関係ない人物の棺に隠して埋葬。殺人の罪を全てマッシモに擦り付け、シーズン1は終了した。



『葬儀屋の女』シーズン2のあらすじ(ネタバレなし)

 

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舞台はシーズン1から2年後。ブルムとレザは、シーズン1で殺した男たちのバラバラ死体を入れた棺が掘り起こされると知り、深夜に墓場へ忍び込んで死体のパーツを回収する。しかし、物音に気付いた近所の人に目撃されそうなり、慌てていたためエドウィンの頭部をうっかり残したまま退散してしまう。

バラバラ死体の一部が発見され、連邦検事局のウォルナー捜査官が捜査のために再び村を訪れる。彼女は、見つかった頭部はエドウィンのものではないかと推測し、彼と最後に会ったブルムに疑いの目を向ける。

そんななか、葬儀屋に怪しい男が侵入してブルムと格闘になり、その後に彼女の娘ネラが何者かに誘拐されてしまう。ブルムは、エドウィンが撮影したスナッフフィルム(殺人の様子を撮影した映像)を渡すことを条件に、娘を返すと脅される。

スナッフフィルムを持っていないブルムは、その在りかと娘の居場所を見つけるために命がけの捜索を開始する。果たしてブルムは犯人を突き止めて、娘を救出することが出来るのか……!?

『葬儀屋の女』シーズン2の海外での評価&筆者の感想(ネタバレなし)

【IMDb】
10点中7.1点
【筆者の評価】
総合評価:★★★★☆
ストーリー:★★★★☆
エンタメ性:★★★☆☆
感動:★★☆☆☆

シーズン2も、スリリングな展開と満載のサスペンスで面白かったです! ただシーズン1と違い、葬儀屋感がほとんどなかったのがガッカリ……。

シーズン1は、ブルムが防腐処理剤を注入して相手を殺したり、遺体を相手にスタンガンの使い方を練習したり(←それやっちゃアカンでしょ!とツッコミ入れながら爆笑してしまった筆者)、葬儀屋であることを活かした匠(!?)の数々が面白かったのに、シーズン2ではそういうシーンが全くなくて、葬儀場もほとんど登場せず……。

また、シーズン1ではブルムのシリアルキラーの性質が浮き彫りになり、シーズン2ではその辺が掘り下げられるのかと期待していたのに、誘拐された娘を必死に捜す母親としか描かれていませんでした。

シーズン1は、女性版『デクスター ~警察官は殺人鬼』と呼びたくなるような世界観が魅力だったのに、そのトーンがシーズン2で消えてしまったのが残念でなりません。

シーズン2は「娘の救出劇」としては合格ですが、「シリアルキラー物」としては落第点という印象でした。

・ネタバレを知りたい方は、全あらすじ(ネタバレあり)へ飛ぶ

・ネタバレありの深堀りを読みた方は見どころ・考察(ネタバレあり)へ飛ぶ

『葬儀屋の女』シーズン2の登場人物&キャスト

ブルム(アンナ・マリア・ミューエ)
葬儀屋を営む女性。養父母を殺した過去があり、シリアルキラーの性質がある。
ラザ(ユーセフ・スウェイド)
葬儀屋の従業員。ブルムの殺人に手を貸し、彼女のシリアルキラーの性質も知っている。
ビルギット・ウォルナー(ブリッタ・ハンメルシュタイン)
連邦検事局の捜査官。シーズン1の時点でブルムに疑いの目を向け、執拗に追う。
ネラ(エミリア・ピエスケ)
ブルムの娘。
ヨハンナ・シェーンボルン(ミショウ・フリーツ)
エドウィンの母親。村の有力者でスキー場の開発を進めている。
バダル・サーシキアン(ペーター・クルト)

ヨハンナのビジネス・パートナー。裏で人身売買を行なっている犯罪者。

『葬儀屋の女』シーズン2の全あらすじ(ネタバレあり)

 

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以下、物語の展開を時系列順にまとめました。

・バラバラ死体の発見
・ネラの誘拐
・ブルムがいる場所に死体あり
・ネル誘拐の手がかりを追うブルム
・人質の交換

バラバラ死体の発見

舞台はシーズン1から2年後。ブルムとレザは、シーズン1で殺した男たちのバラバラ死体を入れた棺が掘り起こされると知り、深夜に墓へ忍び込んで死体のパーツを回収する。しかし、物音に気付いた近所の人に目撃されそうになり、慌てていたためエドウィンの頭部をうっかり残したまま退散してしまう。

バラバラ死体の一部が発見され、連邦検事局のウォルナー捜査官が捜査のために再び村を訪れる。彼女は、見つかった頭部はエドウィンのものではないかと推測し、彼と最後に会ったブルムに疑いの目を向ける。

ネラの誘拐

そんななか、葬儀屋に怪しい男が侵入してブルムと格闘になり、その後に彼女の娘ネラが何者かに誘拐されてしまう。警察署でウォルナーから事情聴取を受けたブルムの元に、依頼していないのに謎の弁護士が現れ、誘拐されたネラの映像を見せられる。

エドウィンが撮影したスナッフフィルム(殺人の様子を撮影した映像)を渡すことを条件に、娘を返すと脅されたブルム。しかし、スナッフフィルムを持っていないブルムは、エドウィンの凶行を知っていた母親ヨハンナの元へ押しかけるが、彼女はネラの誘拐には関与していないと答える。

ブルムがいる場所に死体あり

ブルムは、警察に現れた謎の弁護士の住所を調べて家へ行き、彼はエドウィンのスナッフフィルムを購入して、楽しんでいた消費者だと知る。ブルムは彼と格闘になり、誤って射殺してしまう。

さらに悪いことに、葬儀屋に侵入した男の遺体が発見され、男の車のカーナビにはブルムの住所があった。ウォルナーは、「ブルムがいる場所に死体あり」という状況から判断して、エドウィンの殺害や行方不明になった男たちの事件に、ブルムが関わっているとしか考えられなくなる。



ネル誘拐の手がかりを追うブルム

ヨハンナはブルムに連絡を取り、ネルが監禁されている可能性が高い場所のアドレスを教える。ヨハンナは、「子どもを失う気持ちが分かるから」と言うが、他にも思惑があった。ヨハンナは、ビジネスパートナーのバダル・サースキアンが所有している敷地で良からぬ何かかが起きていることを察し、自分のビジネスから彼を排除したいと考えていたのだ。

ブルムが、サースキアンが所有しているヤール建設の敷地に侵入すると、コンテナに若い男女が監禁されていた。シーズン1でドンニャが犠牲になった人身売買組織を牛耳っていたのは、サースキアンだと明らかになる。ブルムは若者たちを逃がすが、そこにネルの姿はなかった。

コンテナから逃げた男女が警察に保護され、ウォルナーはブルムに似た女性が少女を探していたことを知り、ヤール建設の捜査を開始。また、死んだ弁護士が所有していたUSBドライブに入っていたスナッフフィルムを見て、エドウィンが関与していたのではないかと疑う。

エドウィンたちが始めた殺人ビジネスは今も村で横行していて、しかも、村の議員で知事候補のランゲも加わっていた。

人質の交換

サースキアンの自宅を張り込んでいたブルムは、彼の妹タマラを誘拐してサースキアンに連絡を取り、ネルとタマラを交換することになる。しかし事故でタマラが死んでしまい、再びネルを連れ去られてしまう。

ついにブルムは尽くす手がなくなり、汚職とは無縁でシェーンボルン家の息のかかっていないウォルナーに、全て真相を明かすことを条件にネルの捜索を依頼する。

ブルムとウォルナーはサースキアンを捕え、彼が所有していた書類からランゲ議員の私有地が怪しいと睨み、ネルが監禁されている可能性があると見て現地へ向かう。推測通り、寂れた建物にネルが監禁されていて、再会を果たしたブルム。しかし、サースキアンの殺し屋が現れて銃撃戦となり、ウォルナーが撃たれて命を落としてしまう。

ブルムはサースキアンと格闘の末、彼の息の根を止めて無事ネルを救出。その後、同敷地でスナッフフィルムで犠牲になった女性3人の遺体が発見され、知事に当選したランゲにも警察の捜査が及ぶ。

エドウィンの殺害にブルムが関与していることを知ったウォルナーが亡くなったため、ブルムは警察の捜査の目から逃れ、シーズン2は終了する。



『葬儀屋の女』シーズン2の見どころ・考察(ネタバレあり)

『葬儀屋の女』の主人公ブルムが電話をかけている

出展元:https://www.netflix.com

以下のポイントに注目して考察を深掘りしていきます!

・対立関係にあった女二人の逆転劇
・シーズン2は不可抗力の死ばかり……
・ブルムとレザの関係
・シリアルキラー・バースを期待!

対立関係にあった女二人の逆転劇

『葬儀屋の女』シーズン2のあらすじ(ネタバレなし)でも述べましたが、やはりシーズン2は“葬儀屋感”がほぼなかった上、シーズン1で浮き彫りになったブルムのシリアルキラーの性質が掘り下げられていなかったので、物足りなさを感じてしまいました。

とはいえ、娘の救出劇を描いた犯罪サスペンスとしては十分楽しめたので、その点では文句ナシ! 特に、ブルムを執拗に追っていたウォルナーが最後に協力し、対立関係にあった女二人が黒幕を追い込んでいく展開は爽快でした。

シーズン2は不可抗力の死ばかり……

シーズン1でブルムは、夫の死に関与した男たちを次々に自らの意志で手にかけていきましたが、シーズン2では弁護士を殺したのも過ちで、タマラの死も事故でした。サースキアン以外は不可抗力の死ばかりで、なぜシーズン2で、いきなりブルムのシリアルキラーの面が消えてしまったのか謎……。

もしかして、ショーランナーやプロデューサー陣が総入れ替えになったのかな?と思って調べてみたのですが、メンバーは同じのようです。シーズン3が製作されるのかどうかは不明ですが、新シーズンでカムバックするなら、女性葬儀屋版『デクスター ~警察官は殺人鬼』と呼びたい世界観を復活させてほしいです!

ブルムとレザの関係

シーズン1で最愛の夫を亡くし、黒幕のマッシモに不覚にも誘惑されてしまったブルムを影で支えていたレザ。ブルムの殺人と死体遺棄にも手を貸し、まさに二人は“パ―トナー・イン・クライム”といった言葉が相応しく、シーズン2で二人の関係が恋愛に発展するの気になっていました。

シーズン1から2年の月日が経ったシーズン2では、すでにレザはブルムと同居していて、子どもたちの面倒もしっかり見るイクメンパパ状態。「やっぱり二人は引っ付いたのね!」と喜んだのも束の間、なんだか二人の間で愛情表現が少なくて変だなと思っていたら、シーズンの中盤でブルムがレザにキスをして、「ゴメン」と謝っているではありませんか!

どうやら、単にレザは同居して家族の一員にはなったけど、ブルムとはずっとプラトニックな関係だったようです。いい年をして、そんな初々しい二人の関係が冷た~い雪景色の中で少しずつ温かさを帯びていく様子に、観ているこちらも思わずほっこり。こういう関係ってドラマシリーズで滅多に目ないので、素敵だなと思いました💛

下心を剥き出しにせず、心から女性を尊重するレザのようなな紳士が、もっと現実世界に増えてくれたらいいなと願うばかり。そうすれば、本シリーズに登場した人身売買や女性を性のオモチャにする男たちや組織が減り、女性が安全で尊厳のある人生を送れる世の中になるのではないでしょうか。

シリアルキラー・バースを期待!

 

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シーズン1を視聴した時、筆者は原作者のベルンハルト・アイヒナーって、マイケル・C・ホールのファンなのかな?と思いました。

というのも、マイケルは葬儀屋一家を描くHBOドラマ『シックス・フィート・アンダー』(←傑作!)で次男デヴィッド役を演じ、シリアルキラーを主人公にした『デクスター ~警察官は殺人鬼』に主演しているからです。

『葬儀屋の女』では葬儀屋一家の家族関係も描かれ、主人公ブルムはシリアルキラーの性質があり、まさにシーズン1は、『シックス・フィート・アンダー』と『デクスター ~警察官は殺人鬼』が出会ったかのような印象でした。

『葬儀屋の女』の原作小説が出版されたのは2014年。『シックス・フィート・アンダー』は2001~2005年、『デクスター』は2006~2012年にかけて放送されたので、アイヒナーが両シリーズからインスピレーションを受けた可能性はあるかもしれません。

『デクスター』といえば、後日譚ドラマ『デクスター:ニュー・ブラッド』が製作され、主人公デクスターの若かりし頃を描く前日譚スピンオフ『Dexter: Original Sin(原題)』も誕生して話題に。『デクスター』ユニバースが拡大しているので、『葬儀屋の女』とのクロスオーバーを密かに期待してしまいます。

名付けて「シリアルキラー・バース」(笑)。

国も違えばプラットフォームも違うので実現は無理だと分かっていますが、『デクスター』と『葬儀屋がの女』がクロスオーバーしたら、絶対面白いだろうな~と想像が膨らんでしまいます♪



『葬儀屋の女』シーズン2のまとめ

シーズン2は“葬儀屋感”の欠如と、ブルムのキャラクターアークが脱線してしまった印象はあったものの、犯罪サスペンスドラマとしては絶対楽しめるシリーズ。ダークなサスペンスやスリラーが好きな人は、ぜひNetflixでチェックしてみてくださいね♪